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『アントマン』ネタバレ映画感想/解説


■あらすじ『窃盗で警察に捕まり、奥さんとも別れた無職の中年男スコット・ラング(ポール・ラッド)。サーティ・ワンのバイトもクビになり、このままでは養育費も払えず、最愛の娘キャシーにも会えなくなってしまう。人生まさに崖っぷちのスコットだったが、ひょんな成り行きから天才科学者ハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)に頼まれ、彼が開発した特殊なスーツを着て、身長1.5cmの“アントマン”になってしまった。こうして、ハンクの娘ホープヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)の厳しい指導の下、正義のヒーローになるための猛特訓を開始。しかし、彼の行く手には大いなる強敵が待ち構えていた…!「アベンジャーズ」シリーズを手がけるマーベル・スタジオが贈る異色のヒーロー・アクション超大作!エンドロールの後もお見逃しなく!』



今年の9月に日本でも公開されたアントマンが、早くもブルーレイ化されることになりました。様々な「マーベル・コミック」の実写映画を、同一の世界観で描く『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズとしては第12作品目になる『アントマン』ですが、最初は”史上最少のヒーロー”という触れ込みに、「めっちゃ弱そうwww」などとバカにしてたんですよ。でも実際に観てみたら、非常に良く出来たヒーロー映画で面白かったです(^.^)

まず、主人公の設定がいいですねえ。窃盗の前科持ちで服役中に奥さんと離婚し、出所してからもまともな仕事にあり付けず、再び犯罪に手を染めてしまう40代無職の男という、非の打ちどころのないダメ人間なのですよ(笑)。この設定が斬新すぎる(^_^;)

ヒーロー映画の主人公って、アイアンマンやキャプテン・アメリカやマイテ・ソーなど、基本的に何か凄い能力を持っているじゃないですか?でもアントマンは何も無いんです。スーツの機能で強くなるだけ。まあアイアンマンも同じですけど、トニー・スタークの場合は本人が超天才で、自分でスーツを作ってますからね。

それに比べると、スコット・ラングは本当に普通のおっさん……というか普通以下のおっさんです。まさに社会の底辺で暮らす人(笑)。そう考えるとアメコミ映画のヒーローとしては極めて異色ですが、逆にそのダメさ加減が”人間らしさ”を漂わせ、観客からの共感を得ているのかもしれません。

また、主人公以外にも色々楽しいキャラクターが揃っていて、個人的には主人公の友人ルイスを演じたマイケル・ペーニャが最高でした(笑)。この人がとにかくおしゃべりで、「いい話があるんだよ!」と嬉しそうに説明し出すんだけど、話が長くてなかなか本題に辿り着かない。聞いてた主人公も段々イライラしてきて「いいから早く本題に入れよ!」とキレる(笑)。そういうのを何度も繰り返すという。

実は、当初の脚本ではルイスの出番は2〜3シーンしかなかったそうです。ところが、マイケル・ペーニャの演技を見たペイトン・リード監督が「こりゃ面白い!」と大絶賛。急遽、ルイスの登場シーンを大幅に追加したらしい。監督曰く、「マイケル・ペーニャは最高だ!彼はシリアスなドラマをやらせてもコメディをやらせてもピカイチだ。特にラッドとの相性がとてもよかった。あの2人の絡みは凄く気に入ってるよ」とのこと。

それから、ストーリー面に関しては話のテンポが早いのも良かったです。なんせ『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の141分に対して、本作はたったの117分!2時間を切るコンパクトな尺数の中に、アクション、親子愛、ヒーローのかっこ良さ等がぎっちり詰め込まれ、濃厚かつスピーディな展開になっているのだからたまりません。途中で停滞することなく次から次へとドラマが進むので、最後まで飽きずに楽しめますよ。

ただ、正直「短すぎて物足りない」って意見もあるかもしれませんねえ。117分ってホントあっという間に観終わってしまうので。あと、「テンポが早すぎて全くタメが無い」という点も問題だったりして…。タメが無いとどうなるか?というと、ドラマをじっくり見せることができないのです。

例えば、本作では「スコットとキャシー」あるいは「ハンク博士とホープ」のように、”父親と娘”の関係性が重要なテーマの一つになっているのですが、あまりにも展開が早すぎて「もうちょっとじっくり親娘の愛情を描けばドラマが盛り上がったのに…」と思う場面もありました。

あと、アントマンがイエロー・ジャケットと戦うシーンで、卓球のラケットで叩かれて吹っ飛ばされたイエロー・ジャケットが、なぜかその後、スコットの娘(キャシー)を襲いに行くという、良く分からない展開になってるんですよね。しかもキャシーの家に行くまでがメチャクチャ早いし。いったい何を考えていたんだろう?途中の流れをすっ飛ばしてるんじゃない?

という具合に「ちょっとスピーディすぎるかな〜」と思う部分もありましたが、『アントマン』は基本的にコメディの要素が強いので、説明シーンやドラマをじっくり描いて話の流れを停滞させるよりも、”勢いとテンポ”の方を優先させたのでしょう。なので、深い人間ドラマを期待する人には向かないかもしれませんが、軽いタッチのアクションコメディが好きな人には最適かと思われます。

あと楽しいのはやっぱり、”マーベル・ネタ”ですかね〜。今回の物語は、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の続きであると同時に、そのまま次回作の『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』へ繋がる”前日譚”的な内容になっているのです。

なので主人公が、「そういう仕事ならアベンジャーズに頼んだ方がいいんじゃない?」と言ったら、それに対してハンク・ピム博士が「どうせ奴らはまた空から街を落とすに決まってる!」と言い返すなど、『エイジ・オブ・ウルトロン』のエピソードを入れてるんですね。

どうやら博士はアベンジャーズを嫌ってるらしく、中でもアイアンマンことトニー・スタークに対しては強い敵対心を抱いている様子(昔、トニーの父親と喧嘩したから)。なので、「アントマンのスーツはアイアンマンのとは違うんだ!」「スタークに技術を知られたくない!」と凄く警戒しています。

また、「壁に貼り付く男」というワードが出てくるんですけど、これは恐らく『シビル・ウォー』に登場予定のスパイダーマンのことではないかと。他にも、ハンク・ピム博士が隠してあったスーツを出して、ホープヴァン・ダインがワスプになる伏線を見せたりするなど、ファンがニヤニヤする仕掛けが盛りだくさん。こういう”マーベル・ネタ”は前の作品を観ていると余計に面白いんですが、観ていなくても十分に面白いので問題無いでしょう。

というわけで、今後は新しくアベンジャーズに加わる予定のアントマン。今回はお試し編(?)として軽くファルコン(アンソニー・マッキー)と戦うシーンがあるぐらいですが、本格的にメンバーに参加したらどのように活躍するのか、今から楽しみです。

なお、例によってエンドロールの最後に次回作への伏線があるのですが、何とバッキー・バーンズことウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)の姿が!まさかこんなところで登場するとは!『シビル・ウォー』ではキャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)をリーダーとして、ホークアイ(ジェレミー・レナー)、ファルコン、アントマンなどが同じチームになるようなので、ここにウィンター・ソルジャーも加わるということなのでしょう。

ちなみに、アイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)が率いるチームは、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、ウォーマシン(ドン・チードル)、ヴィジョン(ポール・ベタニー)、ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)などが一緒になって戦うらしい。あれ?『エイジ・オブ・ウルトロン』でアベンジャーズに加わったスカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)はどちらのチームに付くんだろう?












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