ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

なぜエヴァンゲリオンの庵野秀明は自殺しようとしたのか?


先日、『新世紀エヴァンゲリオン』の監督として有名な庵野秀明氏が、東宝ゴジラ』シリーズ新作映画の総監督・プロデューサーを務めることが発表された。この突然のニュースに驚いた人もいただろうが、もっと驚いたのは同時に公表された庵野氏のコメントである。


エヴァ:Qの公開後、僕は壊れました。」


なんと庵野氏は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の公開後に鬱(うつ)病を患い、精神的に不安定な状態に陥っていたという。しかも「妻や友人らの御蔭で、この世に留まることが出来た」という言葉からは、自殺未遂にまで至っていたことをうかがわせる。まさかそんなに苦しんでいたとは……。

だが、これを聞いて古くからのアニメファンは思ったはずだ。「ん?この人、前にも同じようなこと言ってなかったっけ?」と。実は1996年、『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビシリーズが終わった後、庵野氏は精も根も尽き果て、抜け殻のようになっていたのである。そして深刻な鬱状態を患い、飛び降り自殺を図ろうとしていたのだ。以下、庵野氏のインタビューより抜粋↓

エヴァ』が終わった後、なんか、ものすごく怖い考えに捕らわれたことが一度だけある。それから鬱が激しくなった。死にたくなることもあって、愛を求める絶望的な叫びっていうんですか(笑)。そこまで行って、自分の孤独に耐えられなくなって、先が全く見えなくなったんです。

その時、ガイナックスの屋上に立って、実際に飛び込めるかどうか試してみた。死にたい気分じゃなくて、本当に死にたいのかどうか、それを試したんです。その時は、死ぬのが怖くて痛そうだってことで、物理的な苦痛から退いたんですよね。その後、一人でオイオイ泣いて寝たんです。

そんな状態を引きずってアニメの打ち合わせに出席して、何も頭に入らない。とにかく気が狂いそうになって、どうしたらいいのかわからない!って打ち合わせの席上で突然叫び始めてしまったこともありました。その後、一人になってみようと思って、久しぶりに自分のアパートに帰ってみたら、もう恐怖そのものみたいな感じに包まれてしまって。

本当に自分の存在が消え失せてしまうように感じられて、言葉にならない。このままだと自分が何をするかわからないんで、着替えて外へ飛び出して、「タクシー!」って大声で叫んでから、ガイナックスに来て明かりの中で人に近付いてね、自分を落ちつけることにしたんです。 (「スキゾ・エヴァンゲリオン」)より

どうやら庵野氏は、『エヴァ』の新作を作るたびに凄まじい激務とプレッシャーに晒され、精神をやられていたらしい。ただ、あまりにも自殺未遂の頻度が多いもんだから、ガイナックスのメンバーはこの件に関して「ああ、また言ってるよ…」と冷ややかな目で見ていたようだ。以下、キャラクター・デザイナーの貞本義行や、アニメーターの摩砂雪の発言(「パラノ・エヴァンゲリオン」)より↓

摩砂雪:俺はみんなに聞きたいんだけど、庵野の自殺未遂に惹かれちゃうのが、ちょっとあいつの罠なんじゃないかなって(笑)。

貞本:そんなに苦労してるとは、思っちゃいけないんですよ(笑)。

摩砂雪:俺たちはそれをわかってるんだけど、他の客がいる飲み屋の席で、庵野「俺は自殺したい」とか、とつとつとやり出すわけよ。これはまずいなと思って、それを打ち消すためにこっちはフォローしてさ。「お前、人前でそんな話するな」って。

それでその場で終わると思ったら、今度はスタッフの打ち上げでまたそれを言うんだよ。なんてカッコ悪い奴だと思って(笑)。俺とマッキー(鶴巻和哉)はあれを聞いて、もう頭抱えてしゃがみ込んじゃって。庵野、それを言わなきゃお前はカッコいい男なのに、なんで皆の前で言っちゃうんだって(笑)。

貞本:しょっちゅうそういうの、僕ら真っ先に聞かされるじゃない?「中央線に飛び込みたくなったんだ」とかさ。「ここで飛び込めば死ねると思ったんだよね」とか言って(笑)。

摩砂雪:だってもう、山賀(博之)なんか…

貞本:「どうしてお前、そこで飛び込まなかったんだ」と(笑)。

摩砂雪:「お前が飛び込んだら、俺、絶対拍手しちゃうよ」って(笑)。

貞本:ガイナックスの屋上から飛び降りようと思ったって言っても、「あんた、あそこから飛び降りても、足が折れるだけだよ」って、ノドまで出かかったんだけど(笑)。

庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン Kindle版

庵野監督のロングインタビュー&エヴァ制作スタッフによる”暴露話”を掲載
う〜ん、どうやら庵野氏の自殺未遂は”毎度お馴染みの恒例行事”らしく、周囲のスタッフもあまり真剣に受け止めていないような感じだ。一体なぜ、毎回”自殺未遂騒ぎ”を起こすのか?実は庵野氏は一作一作が常に全力投球で、自分のそういう姿勢を野球漫画の『アストロ球団』に例え、「一試合完全燃焼」を信条としている。それ故に試合(映画制作)が終わった後は精も根も尽き果て、心身ともにボロボロになってしまうそうだ。だから『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を作り終えた直後に鬱病がぶり返し、何もできない状態がしばらく続いていたらしい。しかし、その間に宮崎駿監督の『風立ちぬ』に声優として参加したり、「特撮博物館」の企画を立ち上げたり、『シン・ゴジラ』を作ったり、アニメ制作以外の仕事に関わることで徐々に回復していったのである。

そして庵野氏は再びアニメの世界に戻り、ついにシリーズ完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に着手するという。「自殺未遂」を乗り越えた庵野秀明が果たしてどんな結末を見せてくれるのか?期待して待ちたい。

●関連記事
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
●人気記事一覧
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com