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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』って駄作呼ばわりされてるけど、実際どうなの?


■あらすじ『1957年、アメリカ国内で米兵に扮した女諜報員スパルコ率いるソ連兵の一団が米軍基地を襲撃。彼らは、宇宙の神秘を解き明かす力を秘めている秘宝”クリスタル・スカル”を探し求め、その手掛かりを辿っていた。とろこがなんとインディ・ジョーンズが捕らえられ、秘宝の捜索を強要されてしまう。米ソ冷戦下の1950年代を舞台に、インディが秘宝をめぐって熾烈な争奪戦を繰り広げる。ハリソン・フォードスティーヴン・スピルバーグジョージ・ルーカスの黄金トリオが19年ぶりに復活した人気シリーズ第4弾のアクション・アドベンチャー!』


本日、日曜洋画劇場インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国が放映されます。ちなみに僕は本作を劇場で観ました。そして思い起こせば過去の三作品のうち、『レイダース』以外の全作品を劇場で鑑賞し、非常に興奮したのをよく覚えています(『レイダース』はビデオ観賞)。

中でも僕のお気に入りは2作目の『魔宮の伝説』ですね。もう、序盤からいきなりゴムボートに乗って飛行機から飛び降りるなど、最後まで息も吐かせぬアクションがテンコ盛りという、文字通りの”ジェットコースター・ムービー”に大満足でした(ちなみにスピルバーグ自身は2作目が一番嫌いらしいんだけど、いやアナタが撮ったんでしょw)。


そんなインディ・ジョーンズ好きな僕が『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』を観た時、「う〜ん、まぁこんなもんかな…」という感じで、あまり興奮しなかったんですよね。

いや、そこそこ面白いんですよ。面白いんだけど、なんというかこう……安定しすぎてパターン化しちゃってる感じが、どうもハラハラドキドキ感を阻害しているような気がして…。

1作目の『レイダース』の頃は雰囲気が結構シリアスで、ストーリー展開も「この先何が起こるかわからないぞ!」的な不安定さが画面全体に満ちていたため、終始ハラハラドキドキしながら観ていられたと思うんですよ。

でも、シリーズも回を追う毎にどんどん対象年齢が下がってきたことに加え、「家族連れでも安心して鑑賞できるアドベンチャー」を目指した結果、もの凄く展開が分かり易い映画になってしまったのは、果たしていいことなのかどうなのか?

今回の『クリスタル・スカルの王国』の場合もその傾向が顕著で、お決まりのドタバタ活劇がルーティン化しすぎてちっとも興奮できません。

おまけに、例の「インディが冷蔵庫に入って核爆発を回避する」というギャグがあまりにもしょーもなくて愕然。「リアリティのレベルがメチャクチャだ」という突っ込み以前に、道義的にどうなのよ?っていう。

アメリカでは、映画シリーズがピークを過ぎてつまらなくなった状況を表す「nuke the fridge(核の冷蔵庫)」という造語が生み出されたほど、このシーンに対する批判が大きかったようですが「そりゃそうだろう」と言わざるを得ませんよ、トホホ。

ちなみに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の初期のシナリオでは「過去に行ったマーティが核実験施設に侵入し、核爆発のエネルギーを利用して未来に帰ってくる」というストーリーだったそうです。

また、タイムマシンもデロリアンではなく冷蔵庫だったらしいので、スピルバーグは昔からこういうことをやりたかったのかもしれませんねぇ(笑)。


あと、問題になったのはラストシーン。「最後に宇宙人が出てきて地面がグワーってなって何もかもが空中に吸い込まれて終わる」という雑なオチに対して全米から苦情が殺到したらしく、なんと「スティーブン・スピルバーグ自身が謝罪する」という前代未聞の珍事が勃発しました(以下、スピルバーグのコメントより)。

マクガフィンが嫌いな観客のみなさんには本当に申しわけないと思っています。私自身、マクガフィンが大嫌いです。マクガフィンに関してはジョージ(ルーカス)ともずいぶん議論しました。エイリアンだろうが謎の箱だろうが、とにかく嫌だったんです。でも、私は友情を大事にする人なのでね。最終的にはジョージの案に従いました。

どうやら、あの”宇宙人オチ”はジョージ・ルーカスの発案だったようですが、スピルバーグは気に入らず、製作中に何度も脚本を書き換えるように提案したものの、結局はルーカスの案が採用されてしまった…ということらしい。

また、脚本を書いたデヴィッド・コープも「僕が参加する前から宇宙人の設定等は決まっていたが、納得できなかったのでルーカスに”変えてくれ”と頼み込んだ。『インディ・ジョーンズに宇宙人が出てくるなんておかしいって言ったんだ。でも拒否されたよ」と2022年に証言しています。う~ん、そこまで宇宙人オチにこだわっていたとは…。

ただ、「酷い結末」と言えば確かにそうなんだけど、『レイダース』も聖櫃から光(霊体)が飛び出してドイツ兵をドロドロに溶かすというとんでもないオチだったし、もともとインディ・ジョーンズのシリーズ自体が「オカルトや超常現象を肯定するような内容」だったので、本作も落とし所としてはそれほど意外ではないのかもしれません。

むしろ、シリーズ映画の作り方としては保守的というべきでしょう。なにしろ「コミックのような前3作のルックスを変えたくない」というスピルバーグの意向に従い、音楽から画質に至るまで旧三部作の雰囲気をそっくり再現したぐらいですから。

でも結局、『クリスタル・スカルの王国』の問題点ってそこだと思うんですよ。つまり「全体的に古臭い」。前作から19年も経っているのに昔のままの作劇やテンポで物語を見せられたら、そりゃあ今の観客にしてみれば「なんか、かったるいなぁ」って感じでしょう。

昔からのインディ・ファンに言わせれば、この古臭さが「懐かしい!」ってことなんでしょうけど、そこは時代に合わせてアップデートした方が良かったのでは(僕も昔から観ているファンの一人なので「変えたくない」という気持ちは分かりますが…)。

他にも、シャイア・ラブーフ演じるインディの息子が『最後の聖戦』の親子関係に比べて魅力が弱いとか、色々乗り切れなかったところが残念でしたねぇ。


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