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『アヒルと鴨のコインロッカー』映画感想(ネタバレあり)


■あらすじ『仙台の大学に進学し、初めて一人暮らしを始めた青年・椎名。ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら引越の片付けをしていると、アパートの隣人・河崎から唐突に「本屋を襲撃しよう!」と誘われる。理由は、同じアパートに住むブータン人留学生が落ち込んでいるから広辞苑をプレゼントするのだとか。困惑しながらも襲撃の手伝いをしてしまう椎名に、河崎は「ペットショップの店長・麗子には気をつけろ」と忠告する。ますますワケが分からなくなってくる椎名だったが、やがて意味不明な言動の裏に隠された衝撃の真相を知る事に!斬新なプロットと軽妙な文体で若者の圧倒的な支持を集める人気ミステリー作家・伊坂幸太郎の同名小説をミステリアスかつトリッキーに綴る、切なく爽やかな青春ミステリー!』



本日、WOWOWシネマにて『アヒルと鴨のコインロッカー』が放映されます。これ、最初の30分ぐらいは「ヘンな映画だなあ」って思いながら観てたんですよ。「広辞苑を盗むために本屋を襲撃する」という意味不明な犯罪計画を持ちかけられ、そのまま実行してしまうという展開はどう考えてもコメディですよね(普通は行かないだろw)。

しかし、そう思って観ているとどうも様子がおかしいというか…。全体の雰囲気があまりコメディっぽくないし、謎の隣人(河崎)やブータン人留学生、そしてペットショップの女店長(麗子)など、登場人物は皆それぞれ”秘密”を抱えているし。

実は、この街では2年前にある”事件”が起こっていて、その事件にはどうやら河崎と彼の元恋人が絡んでいるらしい。そしてその元恋人は河崎と別れ、ブータン人と付き合うようになったという。さらに、河崎から「麗子には気をつけろ」と忠告を受ける椎名。

しかし、麗子からは「河崎君の話は信用しないで」と逆に忠告されてしまいました。いったい誰を信じればいいのか?やがて、物語は河崎と麗子の回想シーンから、徐々に”事件”の核心へと迫っていくのですが、そこにはある”衝撃の真実”が待ち受けていたのですよ。

いや〜、この結末には思わず唸ってしまいました。本作は実に良く出来たミステリーであり、高度な”どんでん返し映画”だったのです。一つのシチュエーションを別の視点から見ると全く違う真実が浮かび上がってくるというトリッキーな構成を用い、至る所に散りばめられた伏線をそれと気付かせない配置でさりげなく見せる絶妙のバランス感覚。

ちょっと誉めすぎかもしれませんが、『ユージュアルサスペクツ』を彷彿とさせるような見事な展開にビックリ仰天!まんまと騙されてしまいましたよ。

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以下、ネタバレあり


椎名の隣の部屋に住み”河崎”と名乗っていた人物(瑛太)の正体は、実はブータン人のドルジで、椎名がブータン人だと思っていた人はただの日本人大学生だったのです。「隣の隣に住んでるのはブータン人って言ったじゃないか!」と問い詰める椎名に対し、「そうだよ。隣の(椎名の部屋を指差し)隣だ(自分を指差す)」と堂々と言い放つドルジ。なるほど、確かにウソはついてない(笑)。

つまり、彼が椎名に語った出来事は基本的には事実なんですが、それは全て本物の河崎(松田龍平)を彼(瑛太)に置き換えたものだったのです(彼の回想シーンでは彼自身が河崎だったのに対し、麗子の回想シーンでは松田龍平になっている)。

事件の真相は”ドルジの復讐劇”でした。2年前、麗子のペットショップで働いていた琴美は、付近で多発していた動物虐待・惨殺事件の現場に遭遇し、犯人達の車に撥ねられ死んでしまいます。

そこで、琴美と親しかったドルジと河崎は琴美の敵討ちを計画。犯人の一人が本屋の息子ということを突き止め、二人で本屋を襲撃しようとしたものの、その直前に以前から病気を患っていた河崎も死んでしまいました。大切な二人を失ったドルジは失意のどん底に沈みます。

そんな時、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら引越しの荷物を片付けている椎名を見つけたドルジ。ブータンからたった一人で異国の地にやって来た彼にとって、「風に吹かれて」は河崎と琴美との大切な想い出の曲だったのです。そして、椎名を仲間に引き入れて復讐を成し遂げることを決意。広辞苑を盗むために本屋を襲撃するのでした。

単なるサスペンスではなく、余韻を残す終わり方になっているところもいいですね。切なく、哀しいラストシーンに至ってはもう、涙腺が緩んでしかたがなかったよ…。一見、意味不明なタイトルも、映画が終了する頃にはちゃんと意味が分かるようになっているし、なによりも「映像化は極めて困難」と言われていた原作小説を、ここまで上手く映画化したことが本当に素晴らしいと思いました。


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