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妻夫木聡主演実写映画版『どろろ』感想

■あらすじ『とある時代のとある国。戦乱が続き、荒廃が進む世を憂う武将・醍醐景光は、国を治める力を手に入れるため、生まれてくる我が子の体48箇所を、48体の魔物に差し出した。醜い姿で生まれ、そのまま捨てられた赤ん坊・百鬼丸は、医師・寿海に拾われる。寿海は百鬼丸に失われた部位の代わりとなる作り物の体と護身の妖刀を与え、大切に育てるのだった。立派な青年に成長した百鬼丸は、魔物を倒すごとに失われた部位を一つずつ取り戻すことを知り、魔物退治の旅に出る。やがて、そんな百鬼丸と出会ったコソ泥・どろろは、百鬼丸の不思議な妖刀を手に入れたくて彼の後を追い始めた。戦の業を否応無く背負わされた二人は、己が未来を掴む為、戦乱の荒野を駆け抜ける!手塚治虫の同名漫画を妻夫木聡柴咲コウ主演で映画化した、VFX満載の冒険活劇超大作!監督は「黄泉がえり」「この胸いっぱいの愛を」の塩田明彦



さて『どろろ』であるが、僕は手塚治虫の原作を読んでいないし、アニメも見ていない。よって、「原作と比べて」という見方はせず、単純に「映画としてどうか?」という点でのみ評価している。

結論から言えば、意外と面白い映画だ。話は単純で分かり易いし、エンターテイメント的な見せ方も悪くない。少なくとも、マンガを原作とした実写映画の中では、そこそこの出来栄えと言えるだろう。もちろん、文句もいくつかあるワケだが(笑)。

まず第一に、尺が長い。この手の内容で2時間18分は長過ぎだ。途中、妙にテンポが悪くなるシーンが出てきたりするので、もっと切り詰めて2時間以内に収めれば、さらに良くなったと思う。また、チン・シウトンがアクション監督をやっている割には、アクションがイマイチ。

これは、妻夫木君本人がアクションシーンを演じている所為かもしれないが、それにしてももう少しどうにかならなかったものか?半裸のマギー・Q(『M:I-3』に出演)が大暴れする『赤裸特工』(チン・シウトン監督作品)の方が、数倍カッコよかったぞ。

更に、柴咲コウがウザい。いや、正確には柴咲コウが演じているどろろがウザい」のだ。元々、どろろのキャラクターは小学生ぐらいの小さな子供らしい。それを、二十歳をとっくに過ぎた柴咲が演じているのだから、無理が生じるのも当然と言える。一生懸命テンションを上げている彼女が、だんだん痛々しく見えてくるぞ、トホホ。

だが最大の問題は、中井貴一演じる醍醐景光が全然強そうに見えない、という点ではないだろうか。普通、こういった“冒険活劇映画”の場合、最後に主人公が強い敵をやっつける事によってカタルシスが得られるものだ。つまり、ラスボスが強ければ強いほど、爽快感も大きいのである。

ところが、本作のラスボス:醍醐景光は、ちっとも強そうではない。己の野望を実現するために48匹の魔物と取引したにもかかわらず、何か特別な魔力を得たわけでもないし、20年経っても天下統一すら成し得ていないのだ。

おまけに、最後は“あんな感じ”になっちゃってるし。う〜ん、ちょっと中途半端でもったいない。ミスチルの主題歌は良かったけどね。まあ、続編があと2本作られるらしいので、そっちに期待しよう。

ところで、本作を観ている間、「なんかどこかで見た事あるなあ・・・?」と気になっていたのだが、映画終了後に友人と話している時、その疑問は解消した。今から約20年前に某ファミコン雑誌(古!)に連載されていた冒険活劇マンガ魍魎戦記MADARAにそっくりなのだ。ストーリーはこんな感じ。↓

主人公のマダラは、生まれながらにして強大な力を持っていた。その力を恐れた父親の策略によって、体の8箇所を8匹の魔物達に奪われてしまう。生身の体を持たないマダラのために、錬金術師のタタラ爺は武器を内蔵した人工の手足を造って彼に与えた。やがて時が経ち、失った身体を取り戻すには魔物を一匹ずつ倒していかなくてはならないことを知ったマダラは、一人魔物退治の旅に出る。

基本設定は『どろろ』とほとんど同じで、ヘタすると「リメイクか?」と勘違いするぐらい良く似ている。映画『どろろ』の中で、魔物を退治した後、百鬼丸の耳がボトっと落ちて生身の耳が生えてくるシーンがあるが、実は『魍魎戦記MADARA』にも全く同じシーンが存在するのだ。

当時、僕は原作の『どろろ』を知らなかったので気にしていなかったけど、こんなに似ているとは・・・。原作者の大塚英志は堂々とパクリを認めているらしいが、よく手塚治虫からクレームが来なかったなあ。


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