■あらすじ『異変は、ある日突然アメリカ東部の町に起こった。立ちこめる暗雲から稲妻がほとばしり、落雷地点が脈打つように震動する。その直後、人々の眼に信じがたい光景が映った。地中深くから巨大な三本足の“物体”が姿を現し、人間を手当たり次第に抹殺し始めたのだ。一部始終を目撃した港湾労働者のレイ(トム・クルーズ)は、別れた妻から預かった息子と娘、ロビー(ジャスティン・チャットウィン)とレイチェル(ダコタ・ファニング)を連れて町を脱出。安全な場所を探して車を走らせるが、“物体”は世界各地に同時多発的に出現していたのだった。人類が初めて体験する宇宙からの侵略。最期の時を前に、人々に残されたものは愛と勇気だけだった・・・』
『エピソード3』と同時期に公開される為に、どうしても比較されてしまう事は避けられないスティーブン・スピルバーグ監督の最新作。思い起こせば、27年前にも『スター・ウォーズ』とほぼ同時期に『未知との遭遇』は公開されているのだ。何かの因縁か?当のスピルバーグ本人は「『エピソード3』も素晴らしい映画だよ。出来れば両方観て欲しいね!」と余裕のコメントを述べている。ふ〜む、そんなに自信があるのか、と観てみたその結果は…
冒頭の30分はメチャクチャに面白い。晴れていた空が突然曇り、風は吹き荒れ雷鳴が轟き、いきなり地面に落雷する。すると、地面が割れて巨大なトライポッドが出現し、町中の人々を次々と虐殺し始めるのだ!その殺戮シーンたるや、「凄まじい」の一言では済まされないほど凄まじい!『プライベート・ライアン』で観客の度肝を抜いた“人体破壊描写”を、さらにスケールアップさせた空前絶後の残酷描写が炸裂する!
その状況を文字で表すと「ズドドドド!!!!!」「バリバリバリ!!!!!」「ドガガガ〜ン!!!!!」「シュババババ!!!!!」「うぎゃあああああ!!!!!」と、こんな感じである。浜村淳の映画解説みたいで、本作を観ていない人には何が何やらさっぱり分からないと思うが、雰囲気だけは伝わるのではないだろうか。天空の城ラピュタ風に言うならば、「まるで人がゴミのよう」に殺されていくとてつもない状況なのだ。もはや、何がCGで何がミニチュアで何が実写なのか全く区別がつかない。さすが、1億3300万ドルの製作費を掛けただけのことはある。
だが「すげえぜ、スピルバーグ!」と興奮したのも束の間、ここが本作のピークだった。この後の展開は、トムとその家族がひたすら異星人の襲撃に怯えながら逃げまくるのみ。いくらH・G・ウェルズの原作に忠実とはいえ、ここまで捻りが無いとは思わなかったよ。テーマは「家族愛」らしいけど、描き方が実に中途半端。ティム・ロビンスとのやり取りも、何だか長いだけで必要性に欠ける。
しかも、オチの付け方まで原作と全く同じとはいかがなものか?僕は原作を知っていたので「あ〜あ、そのまんまだ」と思っただけだったが、一緒に観た友人は「え?これで終わり?マジで?」と、そのあまりにもあっけないエンディングに拍子抜けしていた。少しは現代風のアレンジを加えて欲しかったなあ。
しかし、これだけの迫力描写はやはり劇場の大画面で観てこそ価値があるというもの。う〜ん、オススメするべきかどうか悩むところだ。というわけで、以下にこの映画の見所をいくつか挙げてみたので、何かの参考にしてみて下さい(何の?)。
①トライポッドの描写
ビルを破壊しながら「ズシンズシン」と街中を突き進む姿や、山の向こう側から「ぬっ」と姿を現すシーンは、完全に怪獣映画のスタイルを踏襲している。最新VFX技術を惜しげもなく注ぎ込んだ驚愕ヴィジュアルは、文句の付けようが無いほどに素晴らしい。そのテの映画が好きな人は、観て損は無いと思う。デザインもグッド。
②ダコタ・ファニングの演技
もはや、子役とは思えぬ驚異の演技力で他の俳優を圧倒するダコタ・ファニング。彼女の存在感だけが、この映画のリアリティを根底から支えていると言っても過言ではない。一緒に観た友人は「ダコタたんの叫び声だけで、ゴハン3杯はいける」とワケの分からない事をほざいていた。トライポッドに踏まれてしまえ!
③大阪人、最強
世界最強の軍隊:アメリカ軍が束になってもかなわなかったトライポッドを、たちどころに倒してしまった大阪人。いったいどんな必殺技を使ったのかは全く不明だが*1、まさに向かうところ敵無しだ!全人類の運命は、今や大阪人の活躍にかかっている!ゆけ、スーパー大阪人、地球の平和を守る為に!
④こ、こんな所にもフリーマンが!
最近、どの映画を観ても必ず顔を見かけるモーガン・“出たがり”・フリーマン。別に嫌いではないのだが、こうも立て続けだとさすがにちょっと飽きてくる。今回は出演しているという話を聞いていなかったので安心していたら、なんとエンディングテロップにモーガン・フリーマンの名前が!ど、どこだ!?どこに出ていたんだ!?もしかしてエキストラ?*2そんなにしてまで出たいのか!?まったく、油断も隙も無いおっさんだッ!
⑤『キング・コング』の予告編が凄い
ダイエットに成功した為かどうかは分からないが、別人のように痩せ細ってしまったピーター・ジャクソン監督。「想像を絶するほどに撮影が過酷だったのか、それともヤバい病気にかかっているのか?」と見る者を不安にさせるほどの激ヤセぶりだ。そんなやせた高木ブーみたいなジャクソン監督が、自ら新作『キング・コング』の予告編に出演している。
ナオミ・ワッツ、ジャック・ブラック、エイドリアン・ブロディなど豪華キャストで送る、総製作費1億5000万ドル(約163億円)を掛けたVFX満載のアドベンチャー超大作だ。予告編ではコングと対決する恐竜などのモンスターをバッチリ見せており、「こんなに見せちゃって大丈夫なの?」と余計な心配をしてしまうほどのド迫力!うおおお、これは是非観たい!って『宇宙戦争』と1ミリも関係ねえよ!!!
以上、独断と偏見で『宇宙戦争』の見所(?)を挙げてみたので、後は皆さん自己責任で観るか観ないか判断して下さい(笑)。