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『バタフライ・エフェクト』ネタバレ映画感想

バタフライ・エフェクト

■あらすじ『幼い頃から度々記憶を失っていたエヴァン(アシュトン・カッチャー)は、治療のため日記をつけていた。そして13歳の頃、エヴァンは幼なじみのケイリー(エイミー・スマート)たちと悪戯をして大事故をひき起こす。やがてエヴァンは引っ越すことになり、虐待傾向のある父と乱暴な兄トミーと暮らすケイリーに、「きっと迎えにくる」と言い残し街を後にした。時が経ち、大学生となったエヴァンは、記憶を失う事もなくなっていた。しかし、昔の日記を見つけた時から、エヴァンの意識に再び変化が起き始める。「もしも、過去を変える事ができたら・・・」映画史上最も切ないハッピーエンドの物語が、今始まる・・・!』




ようやく待望の『バタフライ・エフェクト』を観る事が出来た。予告編を見た時から、早く観たくて観たくてしかたがなかった映画だ。なんせ、大きな宣伝こそされてないもののクチコミの評判も上々で、多くの映画ファンたちが口を揃えて「傑作だ!」と絶賛している有様である。どんな凄い映画なのかと期待は高まる一方だったのだ。その結果は…
「フツーに面白い映画」でした。いや、確かにその辺のサスペンス映画よりは遥かに面白いけど、「傑作!」というほどでもないんじゃないかなあ。まあ、僕が必要以上に期待し過ぎたせいかもしれないが、それにしても前田有一氏の99点はいくらなんでも評価高過ぎだろ!?(笑)そりゃあ、こっちも期待するよ!
本作はいわゆる”タイムトラベルもの”の一種だ。SF映画としてはかなり確立されたジャンルで、有名なのはやっぱりバック・トゥ・ザ・フューチャーだろう。映画自体の完成度も高く、タイムトラベルものとしての面白さも群を抜いていることに異論はあるまい。

で、本作の大きな特徴は、主人公がタイムマシンなどの道具を使わず、自分の意識だけが過去の自分の体にタイムスリップする、という点である。過去に戻った主人公は、未来に何が起こるか知っているので何とか未来の状況を変えようと四苦八苦するわけだ。そして、過去でしでかした事によって未来が予想外の変化を遂げてしまう、という展開も「タイムトラベル」もののお約束であり、『バタフライ・エフェクト』というタイトルの意味でもあるのだ。
ドラマの展開も早く、サスペンス的な要素も満載なので最後まで飽きずに鑑賞できる。またストーリーも、さすが6年も掛けただけあって良く出来ていると思う。「なんかファイナル・デスティネーションに似てるな〜」と思ったら、監督であり脚本も手掛けたエリック・ブレスとJ・マッキー・グラバーは、『ファイナル・デスティネーション』の続編であるデッドコースターの脚本を書いていたのだった。なるほど、「わずかな出来事をきっかけとして、後に大変な事件が勃発する」という展開はそのまんまだ。
というわけで、「フツーに面白い映画」としてなら文句は無いが、「傑作!」と呼ぶには少し異論がある。それはSF映画的に、あるいはキャラクター的に見て納得できない点がいくつか見受けられるからだ。以下、ネタバレが含まれているので、映画を観ていない方はご注意下さい。



オープニング直後、主人公はあわててメモを書いているが、そもそもあのメモは誰に、そして何の為に書いていたのか?
何かの伏線だというのは分かるんだけど、映画を最後まで観てもあのメモの使用目的がはっきりしない。アメリカで発売されたDVDには、「もう一つのエンディング」が入っているらしいが、もしかしてその為の伏線なのだろうか?


刑務所に入っている時にタイムスリップして過去に戻り、子供の頃の自分の手を傷つけると、現在の手にも傷が出てくる。
それを見てカルロスは驚いているが、過去を変えたのならその傷は“子供の頃からついている傷”でなければならないハズだ。急に傷が浮き出てくるのはおかしい。


「あのイラスト」は、何の為に描いたのか?
子供の頃に戻った時に、“包丁を持って人を殺しまくるイラスト”を描くのだが、何の目的で描いたのか?ストーリー的には色々考えられるが、どうもはっきりしない。


エヴァンは本当にケイリーの事を好きだったのか?
僕が一番疑問に思った点がここである。本作は、基本的には「ラブストーリー」だ。主人公がどれだけヒロインの事を愛しているか、その想いの強さがそのままラストの感動につながっていると言っても過言ではない。しかし、エヴァンは子供の頃に引越ししてから大学生になるまで、ケイリーの事などすっかり忘れていたのである。たまたま、彼の女友達がベッドの下から日記を見つけたから思い出しただけにすぎない。

もしあのまま日記を見つける事が無かったら、エヴァンは一生彼女を思い出すことは無かったかもしれない。そんないいかげんな事で「彼女を愛している」と言えるのだろうか?「タイムスリップして過去を変えよう!」と思ったきっかけも彼女が自殺したからで、「それは愛じゃなくて”罪悪感”では?」と言いたくなる。本当にエヴァンの行動は、彼女を愛する故なのだろうか?どうにも釈然としない「主人公の行動原理」のせいで、感情移入が中途半端になってしまったのだ。


ラストのオチが読める
というか、CMや宣伝チラシでラストカットをバラしてるじゃん!あれじゃ、分かるよなあ。しかし、エンディングの作り方としてはなかなか良い。特に最後に流れる音楽がイイね〜。確かに切ない終わり方でした。



ちなみに、僕が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』以外に「タイムトラベル」モノの傑作と思っている作品はオーロラの彼方へだ。この映画は厳密に言えばタイムトラベルしてないんだけど、“過去の行動が未来の状況に大きな影響を及ぼす”というお約束は、『バタフライ・エフェクト』と同様にしっかり描写されている。内容は「主人公が古い無線機を通じて、過去に死んでしまった父親と時間を飛び越えて交信する」というもの。とにかく、父と息子の感動ドラマ、手に汗握るサスペンス、SFファンをも唸らせる奇抜なストーリー展開など、エンターテイメント要素が満載の娯楽映画だ。僕の周りでは誰も観た人がいないというぐらいマイナーな映画だけど、メチャクチャに面白いので是非観て下さい(^_^)