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ホアキン・フェニックス主演『炎のメモリアル』映画感想

炎のメモリアル

■あらすじ『新米消防士のジャック・モリソン(ホアキン・フェニックス)は、先輩からの強烈な“洗礼”を受け、ボルティモア消防署に温かく迎え入れられる。消火活動にあたるポンプ隊に配属された彼は、署長のマイク(ジョン・トラボルタ)の指導の元、一人前の消防士へと成長してゆく。使命感に燃え、誇りをもって仕事に打ち込むジャックは、やがて街で一目ボレした女性と結婚。二人の子供にも恵まれ私生活でも順風満帆の日々を送っていた。しかし、そんな消防士の仕事には辛い出来事も待ち受けていたのだった・・・!レスキューに命を捧げる消防士たちの人生を描き、全米を熱い涙で包んだ感動大作!』



この作品を一言で言うならば「走馬灯映画」である。映画が始まるといきなり巨大な倉庫が炎上中。ホアキン・フェニックス演じる主人公のジャックは果敢にも燃え盛る倉庫に飛び込み、現場に取り残された人たちを救出する。

しかし、突然ジャックの足元が崩れ、数階下のフロアへ落下してしまう!薄れゆく意識の中、ジャックの脳裏には消防署に配属された頃の懐かしい思い出が次々と浮かんできていた・・・。というわけで、この映画の大部分はジャックの過去の思い出(回想シーン)で構成されているのである。

しかも、初めてジョン・トラボルタ演じる署長と会った時、なぜかトラボルタの下半身がパンツ一丁だったり、ジャックのロッカーにガチョウを入れられたりといった、消防署仲間のしょーもないイタズラばっかり思い出しているのだ。おかげで話がちっとも前へ進まない。

いや、そもそもこの映画は「消防士たちの生活を、美化することなく淡々とリアルに描き出す」というコンセプトで作られているらしい。なるほど、言われてみれば登場人物たちの日常を細部まで(どーでもいいような部分まで)丁寧に描写しており、リアリティだけは抜群だ。

しかし、細かいエピソードをたくさん入れ過ぎているせいで、全体を貫く大きなドラマが存在しないのだ。だから、観終わった後の満足感が薄い。ストーリーにもひねりが無く、ドラマチックな展開も皆無。別に、「ドラマチックな展開が無ければダメだ」と言うつもりは無いが、サスペンス的要素と絡めて素晴らしい“兄弟愛”を見事に描き切った傑作『バック・ドラフト』と比べた場合、“エンターテイメント的な面白さ”という点では本作の方が完全に負けていると言わざるを得ない。エンディングもハリウッド映画らしからぬ終わり方で、非常に地味な印象を受けてしまう。

また、キャラクターもそれぞれ個性的ではあるが、物語も含めて全体的にオーソドックス過ぎる為にイマイチのめり込めないのが残念だ。決して悪い映画ではないけれど、何だか「消防士PR映画」を観ているような白々しさを感じてしまうんだよなあ。

それにしても、マイク署長は新人が入ってくるたびに、毎回あのイタズラをやっているのだろうか?あの地区の消火活動が不安だ(^_^;)