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『ミリオンダラー・ベイビー』映画感想

ミリオンダラー・ベイビー

■あらすじ『トレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)は、23年来の付き合いとなる雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)と、昔ながらのジムでボクサーを育成している。ところが有望株のウィリーは、教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、別のマネージャーの下へと去ってしまった。そんな折、フランキーの前に現れた女性ボクサー・マギー(ヒラリー・スワンク)。マギーはフランキーの指導を乞うが、昔気質のフランキーは女のボクサーを認めようとしない。だが連日ジムに通い詰めるマギーのひたむきさに、徐々にフランキーの心も揺り動かされ始める。やがて彼女はボクサーとしての優れた才能を発揮し、次々と試合に勝ち進んでいった。そしてついにラスベガスで行われる女子ボクシング界の最高峰にして、100万ドル(ミリオンダラー)の賞金が懸かったタイトルマッチに出場が決定!だがそんな輝かしい栄光の日々もつかの間、ある衝撃的な運命が彼らを待ちうけていた!アカデミー賞主要4部門を独占し、ゴールデングローブ賞2部門を受賞!『ミスティック・リバー』から1年、ハリウッドの頂点を極めたクリント・イーストウッドの、まさに最新作にして最高傑作がここに誕生!それは心が、そして魂が涙する、至高の瞬間。二人が命を懸けて守り抜いた誇り高き魂は、永遠に輝きを失う事は無いだろう・・・』




この映画、なんだか異常に評判が良く(宣伝が入っているとはいえ)、あちこちで絶賛賞賛の嵐が吹き荒れている。おまけにアカデミー賞ゴールデングローブ賞まで取っているとなれば、「さぞかし素晴らしい映画に違いない」とミーハー根性丸出しで観に行きました。その結果は・・・。
「えええええ!!!!????」
あまりにも衝撃的なストーリー展開に思考が停止した。なぜなら、前半と後半で映画のテイストが全く違っていたからだ。前半は、ウエイトレスをしながらプロボクサーを目指して日夜練習に励むマギーの姿を丁寧に描写するなど、いわゆる典型的なサクセス・ストーリーのスタイル。

クリント・イーストウッド演じる老トレーナーとマギーが次第に心を通わせていく様子や、厳しい練習を耐え抜いてどんどんランキングを上げていき、ついにタイトルマッチへ挑む様子など、完全に“スポーツ・エンターテイメント”のセオリーを踏襲している。

ここまではミッシェル・ロドリゲス主演の『ガールファイト』と同じく、女性が主人公の“正当派ボクシング映画”以外の何者でもない。事前情報を全く入れていなかった僕は、途中までは「なんだ、普通のスポ根モノか〜、にしてもえらく地味な映画だなあ」とポップコーンを貪り食いながら余裕をぶっこいていたのだ。

ところがなんと!そんな「スポ根テイスト」は単なる前フリにすぎなかったのである!この映画の本当の凄さは、中盤からクライマックスにかけて炸裂する驚愕のドラマ展開であり、ラストシーンにおける「ある決断」こそがまさに『ミリオンダラー・ベイビー』の真骨頂だったのだ!

ぎゃあああ!なんて映画だ!感想を書こうとすると、何を書いてもネタバレになるので何も書けない!ただ一つだけ言えるのは、「この映画をデートムービーなんかに選ぶとドえらい目に遭う」という事だけだ!決して気楽な気持ちで観に行ってはいけません!

それにしても、あの終わり方はどうなのかなあ〜・・・。個人的には、アカデミーの最優秀作品賞は、ないんじゃないかと思う(賛否が分かれるところだろうけど)。事実、公開直後のアメリカでは「あの結末」をめぐって凄まじい大論争が巻き起こったそうだ。特に宗教関係者からの抗議が物凄かったらしい。

最優秀主演女優賞(ヒラリー・スワンク)と最優秀助演男優賞モーガン・フリーマン)は納得の素晴らしさだった。もちろんクリント・イーストウッドもね。ただ、じわじわと心が痛くなるような映画だ。製作費がたったの3000万ドルというのも驚いたが、その資金が中々集まらずイーストウッドが苦労したという話もハリウッド映画にしては珍しい。

だが、そんなエピソードも本作を観れば納得できる。あのエンディングでは、お金を出そうという人も出てきにくいだろう。単なる娯楽映画ではなく、色々な事を考えさせられる想像以上にヘビーな映画でした、ふう。