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キアヌ・リーブス主演SF映画『JM』感想

コンスタンティン

■あらすじ『西暦2021年。ジョニー・モネック(キアヌ・リーブス)は脳に移植したシリコン・チップに情報を記憶し運搬する、“記憶屋”である。ある日彼は“極秘情報”を北京からアメリカまで運ぶ仕事を引き受ける。だが、インプットした情報があまりにも大容量だった為、「24時間以内にアウトプットしなければ命が危ない」という大変な事態に陥ってしまった。しかも日本のヤクザが極秘情報を狙ってジョニーの追撃を開始したのだ!果たして彼はこのピンチを脱出し、無事にデータを取り出す事が出来るのか!?』

『JM』の原作はウィリアム・ギブソンの「記憶屋ジョニー」である。ギブソンといえば、「ニューロマンサー」などで多数のSFに関する賞を獲得し、サイバーパンク界のカリスマとして世界中にその名を轟かせた超人気SF作家だ。

本作は、そんなギブソンが自ら脚本を手掛けた大作SF映画であり、“脳に直接コードを接続してデータをダウンロードする”というサイバーな描写を、『マトリックス』より5年も早く実現した画期的な作品なのだ。さらに、ヴィジュアル・コンサルタントとしてシド・ミードが参加しており、SF的な小道具も満載で見た目にも大変楽しめる。

しかし、キアヌ・リーブス北野武ドルフ・ラングレン、日米豪華3大スター夢の初共演!」と大々的に宣伝されたものの興行的にはさっぱり振るわず、世間の評判もイマイチで、『マトリックス』が大ヒットしてからは皆の記憶からも抹消されつつあるような気の毒な作品でもある。

確かに今観てみると、でかいヘッドギアを装着して空中キーボードを叩くキアヌの姿は、SFと呼ぶにはあまりにもベタな表現で失笑ものだ。またストーリーにもまとまりが無く、ヴィジュアルも全体的に貧乏くさく、アクションも中途半端で、総合的に見て「う〜ん、なんだかな〜」という仕上がりになっているのは非常に残念だと言うしかない。

だがバーチャル・リアリティのSF設定や、個々のパーツなどには目を見張るものがあり、本作があったからこそ後の『マトリックス』が生まれたのだ、と言えなくもないだろう。では、この映画の見所はどこか?と言えば、それはズバリ前半の30分である。

ジョニーは仕事の為に、指定されたホテルへ向かう。そこで彼は脳の記憶容量をアップするために、ある装置を受け取るのだ。その装置を使ってアップされた容量は160ギガバイトえ、たったそれだけ!?少ないなあ!アップする前は80ギガバイトだったので倍になっているわけだが、今までいったいどんな情報を運んできたのだろうか?

そして依頼主が待っている部屋に入ると、ジョニーは自分を“スミス”と名乗る。ここでの彼は“ネオ”ではない。ちなみに、部屋のTV画面には川尻善昭のアニメが映っている。しかも『妖獣都市』ではなく、続編の魔界都市:新宿』を敢えて選んでいるあたりに、監督のただならぬオタク・マインドを感じずにはいられない(笑)。

ジョニーは凄まじい激痛を伴って、160ギガの容量に無理矢理320ギガの情報をダウンロードする(壊れるぞ!)。さらにジョニーがトイレで鼻血を出している間に、ヤクザが殴り込みをかけてくる。敵の武器はなんと“光線状のムチ”だ。

ライトセーバーのムチ・バージョン”とでも呼ぶべき画期的なテクノロジーで、ヴィジュアル的には非常にインパクトがあるものの、どういう原理なのかは全く分からない。物凄い切れ味であらゆるものを切りまくるが、油断してると勢い余って自分の体も切れそうだ。ジョニーはヤクザをあっさり倒して逃げ出し(ヤクザ弱すぎ!)、バレバレのカツラを被った変装でまんまと脱出に成功するのだ。

と、ここまでが前半の見せ場である。この後ジョニーは自分の脳に入っている情報を取り出す為に四苦八苦するわけだが、物語的にはあまり面白くない。北野武はともかく、ドルフ・ラングレンはいったい何の為に出てきたのか、さっぱり意味不明だし、映画的な見どころもあまりない。

しかしサイバー・スペースの描写などは、『マトリックス』よりもむしろ本作の方が原作版の『攻殻機動隊』に近いような気がするんだよねえ(『マトリックス』は押井守のアニメ版を元ネタにしているので)。『GHOST IN THE SHELL』のアメリカ公開は確かこの映画の後だったはずだけど、もしかしたらロバート・ロンゴ監督は士郎正宗の原作を読んでいたのかもしれないなあ。