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『スターシップ・トゥルーパーズ』ネタバレ映画感想

スターシップ・トゥルーパーズ

■あらすじ『遥かな未来、地球連邦政府の支配の下、一般民は市民権を得るためには軍隊に志願し、兵役につくことが必要とされていた。ブエノスアイレスのハイスクールを卒業したジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)は、宇宙海軍のパイロットを目指す恋人のカルメン・イバネス(デニス・リチャーズ)、俊才にしてエスパーのカール(ニール・パトリック・ハリス)と共に軍を志願。最も苛酷な機動歩兵部隊に配属されたリコは鬼教官ズィム軍曹(クランシー・ブラウン)の下、彼に恋する同級生のディジー(ディナ・メイヤー)と猛訓練の日々を経て優れた兵士に成長する。その矢先、異星生物バグズとの戦争が始まった。故郷ブエノスアイレス壊滅を知ったジョニーは仲間たちと戦地、母星クレンダスへ向かう。果たしてバグズの脅威から地球を救う事が出来るのか!?全人類の存亡を掛けた空前絶後の全面戦争がついに開始された!』



スターシップ・トゥルーパーズ』は、ハインラインの『宇宙の戦士』を原作に、オランダ出身の変態映画監督ポール・バーホーベンがブラックな笑いと残酷描写を満載に映像化したSF戦争アクション超大作である。

物語前半は一昔前の「青春ドラマ」みたいな描写が延々と続き少々退屈するものの、バグズたちとの戦闘シーンが始まったとたん、状況は一変する!下手なスプラッター映画顔負けの衝撃映像が炸裂!鮮血が飛び散り人の手足が豪快に吹き飛ぶ、死屍累々たる壮絶なヴィジュアルが続出するのだ!

これまでもバーホーベンの作品は暴力描写が強かったが、本作における死体の数は尋常ではない。見渡す限り死体の山、山、山!これらおびただしい数の死体のダミーを作り上げたのは、特殊メイクアップ・アーティストのケビン・イェーガーである。

彼はバーホーベンの要望に従い、およそ考え付く限りの人体破壊を実現した。その結果、体が二つに引きちぎられたり、腕を解かされたり、生きたまま脳味噌を吸われたりといった想像を絶する阿鼻叫喚の地獄絵図が誕生したのである。イェーガー曰く、「バーホーベンは血みどろが大好きなんだよ」。カンベンして下さい。

またこの映画には、原作の目玉であるパワード・スーツが一瞬たりとも出てこない。その為原作ファンからは不評を買ってしまったのだが、そもそもバーホーベンは原作を一度も読んだ事が無く、撮影が終了してから初めて読んだというのだから呆れ返って言葉も出ない。

まさに原作に対するリスペクトはゼロであり、「俺が撮りたかったのは、人がリアルに死にまくるシーンなんだ!」と言わんばかりの潔さには頭が下がる思いである。

そんなバーホーベン監督は演出面においても決して妥協を許さない。たとえば本作の中に“全裸の男女が同じシャワールームでシャワーを浴びる”という、SF映画とは思えないシーンが出てくる。その撮影時、俳優たちが服を脱ぐのをためらっていると、いきなりバーホーベンが全裸になってしまったのである。

しかも驚いているカメラマンに向かって「何をしている、君も脱げ!」と平然と言い放ったらしい。この為、“出演者及びスタッフが全員全裸”という、前代未聞の異様な撮影現場となったそうだ。

自分の演出プランを実現させる為には全裸になる事すら厭わない、その断固たる監督根性にはもはや脱帽するしかない(単に脱ぎたかっただけかもしれないが)。

なんかマイナスの要素ばかり書いてしまったような気もするが、宇宙空間で繰り広げられる巨大宇宙船同士の戦闘シーンや、迫り来るバグズの群れなど、ヴィジュアル的見せ場は筆舌に尽くし難いほどに素晴らしい。

ILMフィル・ティペットなど超一流のVFXリエーターたちが集結して作り上げたのだから当然かもしれないが、ブラックユーモアを含んだ内容と合わせて一見の価値はある映画だと言える。

唯一残念な点は、他の俳優たちが脱ぎまくっているというのに、デニス・リチャーズだけが脱いでないという事だ。そんなバカな!巨乳自慢のお前が脱がんでどうする!?