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トム・クルーズ主演『マイノリティ・リポート』映画感想

宇宙戦争

スティーブン・スピルバーグ監督(57)、トム・クルーズ(42)主演のSFパニック大作『宇宙戦争』のワールドプレミアが、6月13日に東京・日本武道館で開催されることになった。米ハリウッド・メジャーの超大作が、日本で初披露されるのは極めて異例の出来事だ。

世界的なビッグ・イベントになることは必至で、当日は両雄に加えて娘役のダコタ・ファニング(11)らが一堂に顔をそろえる。スピルバーグ監督は3月初旬に、『宇宙戦争』の自身の撮影現場を日本の報道陣にだけ初公開。その際、「トムと一緒に日本に行くよ」と封切りに合わせての来日を公言していたが、その公約どおり大きな手土産を持ってくることになったのだ。

製作のパラマウントとドリームワークスは、スピルバーグ監督作品としては最高の製作費1億3300万ドル(約144億円)を投じた『宇宙戦争』のお披露目に当たり“新たな試み”を検討。2人が大の親日家で知られることから、ワールドプレミアという晴れの舞台に日本が指名されたのである。来日が6月中旬と打診された時点で、配給のUIPは、トムの出演作が上映されたことのない日本武道館を会場に決め、数日間にわたって予約を入れる万全の受け入れ態勢を整えた。そして4日までに「キャンペーンは6月13日」という明確な返答があり、ワールドプレミアの開催が正式決定した。


ハリウッド・メジャーの超大作が日本で初披露されるという快挙は、過去には97年の東京国際映画祭のオープニングを飾った『タイタニック』と、主演のトムが映画の舞台となった日本に敬意を表した03年の『ラスト・サムライ』がある程度だ。 当日の演出に関しては、今後日米間で煮詰めていくが、約7000人を招待する予定で、海外メディアの取材も殺到するのは必至と思われる。さらに武道館前にはレッドカーペットを敷き、入場の際に2人のファンサービスも予想されることから、警備態勢も「100〜200人が通常といわれるが、それをはるかにしのぐ強化態勢になるだろう」(UIP)。日本で披露された後の19日に、ロサンゼルスでのプレミアが開催される。公開は全世界同日の6月29日になる予定だ。


宇宙戦争』はSF作家のH・G・ウェルズが1898年に発表した小説が原作で、設定を現代に置き換え再構築。人類をはるかに上回る知能を持つエイリアンが5000年前から計画していた地球侵略計画が、世界16カ国で同時に決行される。エイリアンは、地中と上空から襲来。突然、街が廃虚となった現実を目の当たりにしたトム・クルーズが、娘(ダコタ・ファニング)と息子(ジャスティン・チャットウィン)を連れて、生き残るために懸命に戦う姿を描く。凶暴なエイリアンの造形に関しては、厳重な緘口令がしかれている。「スポーツニッポン」 2005年4月5日より

それにしても、何というシンプルかつストレートな題名だろうか。原題をそのままカタカナに置き換えただけの題名と比べると実に分かりやすく、そして潔い!天晴れだ!しかし、同時期に公開される『スター・ウォーズ』と、タイトルもタイミングも完全にかぶってるぞ!いいのか、ルーカス!?

■あらすじ『2054年のワシントンD.C。そこでは殺人予知システムのおかげで、殺人事件の存在しない社会が確立していた。ところが犯罪予防局の犯罪取締チームの主任、ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)が、システムにより殺人事件の第一容疑者に挙げられてしまう。彼は自分が事件を起こすことになる36時間後までに、真実を暴かねばならなくなった。ライバルのダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)率いる元部下たちの執拗な追跡をかわしながら、都市の探知網をかいくぐって逃げるアンダートン。そして彼は、殺人予知システムを考案したアイリス・ハイネマン博士(ロイス・スミス)から、冤罪のケースがあり得ることを知る。プリコグと呼ばれる予知能力者3人のビジョンが一致しない時、少数報告(マイノリティ・リポート)の方は棄却されてしまうのだ。アンダートンはプリコグの女性アガサ(サマンサ・モートン)を連れ出し、謎の解明に奔走する。果たして真犯人は誰なのか!?巨匠スティーブン・スピルバーグトム・クルーズが誰も見た事が無い斬新なヴィジュアルで描き出す、衝撃の近未来SFミステリー!』



この映画はフィリップ・K・ディックの短編を原作に、スピルバーグが40年代のフィルム・ノワールへのオマージュをふんだんに取り入れた作品だ。最大の特徴としては、映画全編が青白く影がくっきりしたコントラストの激しい映像で綴られている、という事が挙げられる。

本作において近未来ノワールとしてのヴィジュアル・イメージを決定づけたのは、「ブリーチバイパス」と呼ばれる独特の現像処理方法である。それは市川崑監督作品などで「銀残し」という名で知られるフィルム脱色法の一種なのだ。

撮影監督のヤヌス・カミンスキーは『プライベート・ライアン』をはじめとする過去の5作品において、現像段階で手を加えてきた。しかし本作では映像そのものから色彩を40%抜き取ったのである。

撮影時にはライティングによって色味を加えておきながら、現像時にある工程を飛ばしてフィルム上の銀の粒子を残し、完全に発色させないように施す化学的な視覚効果を実現したのだ。この独創的なヴィジュアル・イメージは、近未来社会の不安感を表現する上で大きな役割を果たしていると言えるだろう。

もちろん『ファイトクラブ』をはじめとして、色彩を抜く手法は今までにも使用されてきたが、本作では近未来社会のダークネスさをより強調する為に、これまでで最もざらついた質感を求められたのである。

撮影には3種類のコダック・フィルムと1種類のフジ・フィルムを使用。アンダートンとプリクライムが繰り広げる昼間のチェイスでは「ブリーチバイパス」との相性が良く、シルバーな感じが強調されるフジ・フィルムが使われた。それはまさに『ブレード・ランナー』とは異なる、新たな未来観を描き出す決め手となったのである。

また、この2054年の未来社会はスピルバーグシンクタンクを編成して徹底的にリサーチしたもので、ビルの側面を走るリニア・カーや、電子新聞にインサートされる速報の映像、ゴキブリのような探査ロボット、パントマイムのような動作で操るホロ・スクリーンなど、細部に至るまで作り込まれている。メカのデザインや描写もオリジナリティに溢れ、見た目にも非常に楽しめるヴィジュアルに仕上がっているのだ。

ただし、内容に関しては多少異論が無くは無い。この映画は「SF」と「ミステリー」という二つの異なるジャンルをドッキングさせたものであるが、そもそもこの組み合わせ自体どうなのか?観客はSF的ガジェットを理解しながら、同時にミステリーの謎を推理しなければならない。つまり、通常の映画以上に、観客に頭を使う事を余儀なくさせる映画だと言えるのだ。

例えば「SF・アクション」なら、取りあえずSF部分に意識を集中していれば、アクションは観ているだけで何となく頭に入ってくるだろう。しかし、ミステリーの場合は物事の事象に対していちいち推理しなければならない(別にボーっと観ていてもかまわないけど、それじゃあミステリー映画としての醍醐味は味わえないハズだ)。ただでさえ頭がフル回転して忙しい状態なのに、画面に溢れかえるSF設定を同時に理解しなければならないので、観ていて非常に疲れると言わざるを得ない(実際、僕も疲れた)。

「SF・ミステリー」というジャンルの映画が少ないのは、「観る側にある程度の努力を強いる必要がある」からだと思う。映画としての完成度は非常に高いが、本作はどちらかといえば、家でじっくり鑑賞するタイプの映画なのかもしれない。