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『パーフェクトブルー』映画感想

パーフェクトブルー

■あらすじ『B級アイドルグループ“チャム”のメンバー・未麻は女優へ転身する為、アイドルの卒業を宣言。しかしその直後から彼女の周りの人が次々と惨殺されるという不気味な事件が発生、彼女自身もストーカーに狙われるようになってしまった。果たして犯人は誰なのか!?衝撃の結末まで目が離せないサイコ・サスペンス!』


パーフェクトブルーは「東京ゴッドファーザーズ」の今敏監督が初めて監督した劇場用アニメーションである。だが、初監督というだけあって制作中に次から次へとトラブルが発生し、現場は最後まで混乱を極めたそうだ。

そもそもこの企画は当初「予算9千万円のオリジナルビデオ」として立ち上がったものだった。ところが制作を開始してからいつの間にか(監督も知らないうちに)劇場用作品に化けていたのである。しかも制作期間はたったの一年というハードスケジュールだ。

作業開始直後は余裕をかましていた監督も、描いても描いても一向に終わる気配が無い作画状況に焦り始め、ついに事務所に寝袋を持ち込んで不眠不休で頑張るようになる。

しかしそれでも全然終わりそうも無いということが判明すると、やむを得ず「難しいカット」や「時間が掛かるカット」に欠番を出しまくり作業時間の短縮を図る、という苦渋の選択を強いられる。

さらに作画チェックの基準を緩くして一日にできるだけ多くのカットを仕上げるようにひたすら努力を重ねた。だがそこまでしてもまだまだ絶望的に間に合いそうにないのだ!

挙句の果てには、あまりにも過酷な作業に耐えかねて作画監督が腱鞘炎になってしまうという最悪のアクシデントまで発生してしまった。「どーすりゃいいんだ!」という監督の絶叫が聞こえてきそうな悲惨な状況だが、結局スケジュールを大幅にオーバーして、2年近く掛かってようやく完成したそうだ。

しかし出来上がった映画はそんな酷い制作状況など想像も出来ないほど見事な完成度である。たいしたものだ。

ちなみにアニメの制作においてはこんな話は珍しくないらしく、もっと過酷なスケジュールを切り抜けてきた強者も多数存在するようだ。かの宮崎監督は「ルパン三世カリオストロの城」をなんとたったの3ヶ月で作ってしまったのである。いったいどんな魔法を使ったというのか!!??宮崎駿恐るべし!