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『ロボ・ジョックス』映画感想

ロボ・ジョックス

■あらすじ『核戦争によって破壊しつくされた近未来の地球。戦争に懲りた人類はロボット同士を戦わせる事によって領土を奪い合っており、「ロボ・ジョックス」と呼ばれるパイロット達は国民の英雄となっていた。全長20メートルを超える巨大ロボットが想像を絶する凄まじいバトルを展開する!戦え、ロボ・ジョックス!!正義を守るために!』



本日ワールド・レコーズというTVを見ていると、自作したロボット同士を戦わせる「ロボット・バトル」を放送していた。「個人でこんな高性能なロボットを作れるようになったのか!」と技術の進歩に驚かされる。

中でもマジンガーZそっくりのロボットにはびっくり仰天!何と操縦者の体の動きをそのままトレースするマスタースレイブ方式なのだ。動きも早く倒れてもすぐ起き上がるなど、まさにリアル「プラレス三四郎」である。すごい時代になったもんだ。

さて、ロボ・ジョックスはそんなロボット好きにはたまらん映画ではあるものの、はっきり言って大変マイナーな映画である。知名度の点から言えばB級どころかD級と呼んでも差し支え無いほどで、存在自体を知らない人が大半だろう。

この映画を一言で言えば「とてつもなく安い映画」だ。衣装や背景セットや小道具に至るまで、ありとあらゆる部分にびっくりするぐらいお金が掛かっていない(パイロットのヘルメットはどう見てもバイクのヘルメット)。映画というよりは子供向けTVシリーズを見ているようなセコさを感じさせる。まさに「チープという概念」を骨の髄まで叩き込まれるような映画だと言っても過言ではないだろう。

しかもドラマがさらに輪をかけて安い。なんせ「でかいロボットが戦う」というバカバカしい話を大真面目に映像化しているのだから、まともな映画ファンに無視されるのも当然と言えよう。

しかしこの映画にはそんなハンデなど軽く吹き飛ばすような素晴らしい見所が存在するのだ。それはズバリ、「ロボット・アクション」である。実は監督のスチュアート・ゴードンは大のロボットアニメ・ファンで、「トランス・フォーマー」や「マクロス」が大好きという正真正銘のオタクだったのだ。「どうしてもロボットアニメを実写化したい!」という彼の熱意に負けたプロデューサーのチャールズ・バンドは制作を許可した。

ところが、映画を制作中にエンパイア・ピクチャーズがまさかの倒産!絶体絶命の危機的状況に陥ってしまう。しかし、その後別の会社で制作を続行し、苦難の末に何とか完成にこぎつけたのだった。

この映画のバトルシーンには、そんなロボットアニメ・オタクの夢と願望が目いっぱい詰まっている。特に後半のクライマックスでは「イデオン」や「ザブングル」を彷彿とさせるような大迫力のバトルが炸裂し、マニアにはたまらん仕様となっているのだ。

一体何故これほどまでにかっこいいヴィジュアルになったのだろうと疑問に思っていたが、メイキングを見て仰天した。なんと全て「本物」だったのである!普通、ロボットのミニチュアを撮影するときはスタジオを使うのが常識だ。ところがこの映画では実際に砂漠へロボットの模型を持って行き、本物の太陽光線を浴びて、本物の背景をバックに、本物の火薬を使って戦闘シーンを撮影していたのである!

CGどころか通常合成さえ使用しない究極の「リアルタイム特撮」であり、まさに「本物」だけが持つ迫力が画面から溢れ出ていたのだ(戦闘シーンの撮影だけで一年以上もかかったらしい)。まさしくロボット好きは必見の映画である!ただし、ロボット以外には全く見どころが無いので、ロボットに興味が無い人はスルーの一択だろう。