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カイル・マクラクラン主演『ヒドゥン』ネタバレ映画感想

ヒドゥン

■あらすじ『犯罪と欲望の街ロサンゼルスで、物静かな紳士が突然、白昼堂々と強盗殺人を犯して逃亡するという事件が発生した。ロス市警のトム・ベック刑事は男に重症を負わせ病院に収容するが、今度は意識不明だった同室の患者が病院を脱走、次々と凶行を犯し始める。そんな時、ベックの前にFBIのロイド・ギャラガー(カイル・マクラクラン)と名乗る男が現れ、捜査協力を依頼してきた。不気味な事件を追ううちに徐々に明らかになっていく衝撃の事実。果たして彼の正体とは…!1988年のアヴォリアッツ映画祭で『ロボコップ』を押さえグランプリを獲得。SF、ホラー、アクションのすべてがスピード感たっぷりに絡み合った大傑作! 』



本日CDを買いに家電店に行き、ついでにDVDの新作をチェックしていて仰天した。「ああっ!ヒドゥンのDVDが出てる!」もう何年も前の映画だし、知名度もないので「きっとDVD化される事はないんだろうな…」と完全にあきらめていたのに(なんて勇気の有るメーカーだw)。

見つけてしまったからには仕方がない。「こんなの俺が買わなかったら誰が買うのだ!」と使命感にも似た勢いで即購入。久しぶりに見てみた感想は……やっぱりメチャクチャに面白いよ!

本作の魅力を一言で表現すると、「様々なジャンルの要素の見事な混合体」であると言えるだろう。実際この映画は「何映画」に分類されるべきなのか、非常に悩んでしまうのだ。

物語のベースは紛れも無く「刑事モノ」である。2人の警官が、当初はいがみ合いながらも次第に協力し合うようになり、最終的には友情が芽生え…という典型的な「バディ・ムービー」のスタイルだ。

当然そこにはカーチェイスや銃撃戦などの「アクション映画」的な要素も入ってくる。そして、2人の主人公の内、1人は「宇宙人」で「犯罪者の宇宙人」を追って地球にやって来た、という設定はSF映画そのものである。

また、宇宙人のナメクジを思わせるグロテスクな姿形や、銃で全身を撃ち抜かれて血まみれになりながらも迫ってくる恐ろしい姿はまさに「ホラー映画」のテイスト全開!

さらにカイル・マクラクラン演じる宇宙人のどこかとぼけたリアクションは「喜劇映画」であり、緊迫した物語の中で常に一定のユーモアを生み出している。

そして、「次々に人間に乗り移る宇宙人」という設定において「サスペンス映画」的な緊張感をも内包しているのだ。しかも本作の主題は、「家族や友を殺された主人公が復讐を果たす物語」であり、根底にあるのは「人間ドラマ」なのである。映画のラストで全てを失った彼は「ある選択」を迫られる。その時彼が下した決断とは…!実に美しく、そして心温まる素晴らしいラストシーンだと思う。

これだけ様々な要素を節操無くぶち込みながらも、絶妙のバランス感覚でまとめ上げ、無駄の無い演出とスピーディなアクションで一気に最後まで見せ切ってしまう監督の手腕は、「実に見事だ!」としか言いようがない。

なので、初めて観た時は「こんな凄い映画を撮るなんて、ジャック・ショルダー監督は天才じゃなかろうか?」と割と本気で思ってたんだけど、これ以降の作品ではあまりパッとせず、後に「アレ(ヒドゥン)はマグレだった」と陰口を叩かれていたのは気の毒だったなあ。

ところでこの『ヒドゥン』、その「面白さ」もさることながら、圧倒的な知名度の低さも特筆すべき点だと思う。「観たことがない」というより存在自体を知らない人の方が多いんじゃないだろうか?実にもったいない!というわけで、気になった人がいたら是非一度ご覧ください。決して損はさせませんよ(^_^)