どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
さて本日、金曜ロードショーで『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』が放送されます。1作目の大ヒットを受けて制作が決まった続編ですが、当初は「とりあえずパート2を作ろう」という話でした。
ところが、脚本を書いているうちにどんどんストーリーが長くなり、「どう考えても1本に収まらない」ということが発覚。そこでロバート・ゼメキス監督はスティーブン・スピルバーグに電話し、「予算とスケジュールを増やしてくれ。パート2とパート3を同時に撮りたい」と伝えたそうです。
今では「2本~3本の映画を同時に撮って別々に公開(シリーズ化)する」という形式は(予算の節約にもなるため)当たり前ですが、当時は前代未聞の試みでした。当然、会社側は「もしヒットしなかったらどうするんだ?」とビビリまくり。
しかし、公開されるやいなや『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』は世界中で大ヒットを記録(1作目よりは落ちましたが)。そして、パート2の公開からわずか半年後に公開された続編が『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』なのです(こちらも大ヒット!)。
というわけで先週に引き続き、今回は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』に隠された様々な小ネタやトリビア、撮影裏話などをストーリーの時系列に沿ってご紹介しますよ。
●ドクの家が違う
1955年のドクの家は1作目にも登場してるんですが、よく見ると家が違います。実は1作目で使用した”ブラッカー・ヒル・ハウス”は映画の撮影後に売却され、新しい家主が改築したため使えなかったのですよ。
そこで、3作目では別の家を探してロケすることになりました。結果、”ギャンブル・ハウス”と呼ばれるこの家を見つけ、しかも持ち主が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の大ファンで「好きなように使ってください」と非常に協力的だったそうです。
●ドクのイニシャル
マーティとドクが坑道に埋められたデロリアンを探していると「E.L.B」と書かれた文字を発見。これはドクの本名「エメット・ラスロップ・ブラウン」のイニシャルで、ドクの大好きなジュール・ヴェルヌのSF小説『地底旅行』にも同じシーンがあり、1885年に飛ばされたドクが「絶対に自分なら気付くはずだ」と考えて書き残したメッセージだったのです(この「E.L.B」というイニシャルは、ラストの機関車型タイムマシンにもエムブレムとして描かれている)。
●二つのポスター
ドライブインシアターに貼られている『半魚人の逆襲』と『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』という二つのポスターは、クリント・イーストウッドが若手時代にノンクレジットで出演した映画です。ちなみに、1885年の世界でマーティは「クリント・イーストウッド」を名乗りますが、ちゃんとイーストウッドに名前の使用許可を取っているそうです(イーストウッドも『BTTF』の大ファンらしい)。
●マギー・マクフライの謎
1885年の世界で気絶したマーティを助けてくれたシェイマス・マクフライはマーティの祖父の祖父。つまり、血の繋がりがあるので顔がそっくりでも問題ありません。しかし、妻のマギーはロレインの親戚でも何でもないのに、なぜかロレインにそっくりなのです。一体どうして?脚本家のボブ・ゲイルは「マクフライ家の男は昔からリー・トンプソンみたいな顔の女性に惹かれるんだろう」と言ってますけどw
●ヒルバレーを丸ごと作った!
本作を撮影するために、物語の舞台となる1885年のヒルバレーがゼロから作られました。建物の外観だけでなく内部まで精巧に作り込まれ、現場を訪れたスティーブン・スピルバーグも「すごい!西部の街並みが完璧に再現されてる!」と驚いたそうです。
ロケ場所になったのはカリフォルニア州のジェームズタウンで、近くにある線路は撮影当時、実際に使われていました。1日2回機関車が通るため、助監督はその時間を把握し、機関車が来る10分前になると周辺の小道具をどかしていたらしい。
また、クリント・イーストウッド監督が『ペイルライダー』を撮影していた場所の近くだったので、『ペイルライダー』の建物が映っているシーンもあるそうです。さらに酒場のシーンでは、『ペイルライダー』に出演したリチャード・ダイサートが”有刺鉄線のセールスマン役”で参加しています(彼も『BTTF』のファン)。
なおロバート・ゼメキス監督は、大金をかけてヒルバレーの巨大なオープンセットを作ったことについて以下のように説明しています。
町を丸ごとセットで作る利点は、好きな場所に建物を配置できることだ。例えばドクとマーティが倉庫でデロリアンを時速140キロまで加速させる方法について議論しているシーンでは、ドクが窓のところまで来ると、ちょうどいいタイミングで背景に機関車が見えてくる。あれは合成じゃない。時間と金があり、セットを自由に作れる時はこんな映像が撮れるんだ。機関車が現れるタイミングを合わせるのには苦労したけどね。
ちなみに、土地を提供した地主は撮影終了後にオープンセットをそのままもらい受ける契約を交わし、その後、別の映画やCMの撮影などに活用しましたが、数年後に火災で全て焼失してしまったそうです。あ~、もったいない!
●クララがチラッと映る
メアリー・スティーンバージェン演じるクララ・クレイトンが登場するのは、乗っている馬車が暴走し、渓谷に落ちる寸前でドクに助けられるシーンですが、実はその前に画面に映ってるんですよ。それは、ドクとマーティが駅で相談している場面。奥で背中を向けて立っているのがクララなんですけど、さすがにこれじゃ分かりませんよね(笑)。
●ロナルド・レーガンが出演するはずだった?
ヒルバレーの町長の役は、当初はロナルド・レーガンに演じてもらう予定でした。レーガンは『BTTF』の大ファンで、ホワイトハウスで1作目の『BTTF』を上映した際、「大統領はロナルド・レーガンだって?役者のか!?」というドクのセリフに大爆笑(笑いすぎて後のセリフが聞き取れず、一旦上映をストップさせたぐらい大ウケだったとかw)。
また、1986年に行われた演説で「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中でも言っているように、”Where we're going, we don't need roads.(これから行く所に道など必要ない)”」などと本作のセリフを引用するほどお気に入りだったらしい。
これを聞いたボブ・ゲイルは「我々が大統領から苦情以外のコメントをもらうなんて初めてだよ!」と感激したそうです。そこでロバート・ゼメキス監督が直接レーガンに出演を依頼し(当時は大統領職も辞めていた)、本人も前向きに検討していたようですが、結局スケジュールの都合で実現しませんでした。
もし実現していたら、マーティの「あれ?あの人ロナルド・レーガンにそっくりだけど、まさかご先祖様?」みたいなセリフが聞けたかもしれませんね。う~ん、残念!
有名なトリビアですが、ダンス会場で「オクラホマミキサー」や「いとしのクレメンタイン」などを演奏しているのは、ロックバンドのZZトップです(彼らも本作の大ファン)。主題歌の「Doubleback」を提供し、本編でもカントリー調にアレンジしたアコースティック・バージョンを披露していますが、撮影時はまだ曲が出来ていなかったため、違う曲を演奏して編集時に音を入れ替えたそうです。
●実は死んでいた?
ダンス会場に入ろうとしているビュフォード・タネンに「銃を置いていけ」と命じるストリックランド保安官は、前2作でジェームズ・トールカンが演じたストリックランド教授のご先祖様。ところが後半になると、なぜかストリックランド保安官が出て来ません。
実はタネンがマーティとの決闘のために町へ向かう途中、たまたまストリックランド保安官に出くわし、射殺してしまったのです。このシーンは実際に撮影されたんですが、ロバート・ゼメキス監督の「本作で人が死ぬシーンを見せるのは良くない」との判断でカットされました。
●西部劇ネタが満載!
これも有名なトリビアですが、「マーティが服の下に鉄板を仕込んでタネンを欺く」というアイデアは『荒野の用心棒』のオマージュです(マーティが着ているポンチョもクリント・イーストウッドのスタイルをマネしたもの)。
さらに、「足元からのカメラアングル」や「決闘の前の緊張感」など、西部劇映画でよく見かけるシチュエーションにこだわった場面が満載で、ロバート・ゼメキス監督の”西部劇愛”が伝わってきますね(本人も「3作品の中で一番撮影が楽しかったのはパート3だ」とコメントしている)。
●ミニチュアとは思えない!
クライマックスで爆走しながら谷底へ落下していく機関車は、ILMが作った4分の1スケールの非常に精巧な模型です。しかし、あまりにもミニチュアの出来が良すぎたため、本物の機関車と勘違いした愛好家たちから「貴重な機関車をあんな風に壊すなんて許せない!」などと苦情が殺到したそうです。まあ、このクオリティじゃ間違えても仕方ない(笑)。
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