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嵐:大野智の主演映画『忍びの国』 評価/感想(ネタバレ)

忍びの国:大野智

映画『忍びの国』より

本日、大野智さんが主演した忍者アクション映画『忍びの国』が地上波初放送されます。

大野智といえば、ジャニーズの人気アイドルグループ「嵐」のリーダーですが、今年の1月に「何事にも縛られず、自由な生活がしてみたい」と告白し、2020年12月末で嵐が活動休止になることが発表され話題になりました。

そんな大野さんが演じる本作の主人公は、「伊賀一の忍び」として恐れられた”無門(むもん)”。その名の通り「どんなに堅牢な門でも彼の前では意味を成さない」と言われるほど凄腕の忍者ですが、普段は無類の怠け者で、女房の”お国”に頭が上がらないなど愛嬌のあるキャラです。

そして、石原さとみさんが演じるお国は、無門が一目惚れして伊賀に連れて来た「安芸の武将の娘」で”お姫様”なんですけど、非常に自立心が強く、夫の無門に対して「もっと働いてお金を稼いでちょうだい!」と叱責するなど、完全に「ダメ亭主を尻に敷く鬼嫁」と化してます(笑)。

忍びの国

映画『忍びの国』より

つまりこの物語は、「怠け者の夫と強い妻が織り成すラブ・コメディ」であり、そこへ「戦国時代の勢力争い」や「忍者アクション」などを加えた娯楽性の強い時代劇なのですよ。そういう意味では多少(?)リアリティに欠けているかもしれません。

原作小説の方は、筆者の和田竜さんが「忍者の実像に触れられるような物語にしたくて、過去の史料を調べていくうちに第一次伊賀攻め(天正伊賀の乱)という史実に突き当たった」と述べているように、1579年に起きた”実話”を元にしてるんですが、映画版の世界観はかなりユルいというか現実離れしてますから(笑)。

完成した映画を観て原作者の和田先生も驚いたらしく、以下のようにコメントしていました。

「よくこんな風に作ったな」と思いました。面白くて、観客が喜ぶ作りになっていて、オープニングも楽しいし、この映画のトーンをタイトルの出方が一気に決定づけていて、「この映画は馬鹿みたいな冗談みたいな映画です」と宣言している感じが小気味よかったです。

そんなわけで、全体的に”お笑い要素”が強い映画なんですけど、伊賀と対立している織田の軍勢は割とシリアスで、皆さん真面目に”時代劇の芝居”をしているところがギャップを感じる部分かもしれません。

特に、無門のライバル的な存在となる日置大膳は、天下無双の力を持つ最強の武将で、演じた伊勢谷友介さんも「オーソドックスな”THE武将”としてやるべきなのかなと。忍び軍の空気感とは真逆の要素も強かったので、時代劇らしいアカデミックな部分を意識しました」と述べています。

そういう”コメディ”と”シリアス”のギャップも、本作の見どころの一つでしょう。

忍びの国

映画『忍びの国』より

さらに大きな見どころなのが、忍者たちの繰り出すアクションの数々です。スタントコーディネーターの吉田浩之さんが手掛けた無門のアクションは、「相手を打ちのめすというより、余裕をもって攻撃をかわすイメージ。ダンスのような動きで敵を翻弄しながら、相手の力すら利用して追い込む戦い方なんです」とのこと。

今回のアクションについて、無門を演じた大野智さんは以下のように語っていました。

余裕でかわす動きは、過去に舞台でもやったことがあるので懐かしい感覚でしたね。ワイヤーアクションは(嵐としてデビューする前の)京都での舞台でやってたし、嵐のライブでも使ったりしてたんですが、タイミングを合わせるのが意外と難しかったです。あとはワイヤーを体にグルグル巻き付けて、それを一気にほどく力でクルクル横に回転する動きがすごく大変で。ワイヤーに体が締め付けられてアバラが折れるんじゃないか?と思うぐらい痛くて。リハーサルで監督に「これマジですか?」って聞いたら「マジだ!」って。しかも「笑顔でやって」と言われて…死ぬかと思いました(笑)。

中でも特にすごかったのが、ラストで無門と下山平兵衛が一騎打ちするシーン。至近距離で互いの力をぶつけ合う緊張感溢れるこのアクションは、フィリピンの”カリ”という格闘技をベースにしているそうです。

スピードも速く、300手を超えるほど複雑な動きのため、わずか数分のシーンを撮影するのに3日もかかったらしい。殺陣の段取りを覚える役者さんも大変だったようで、平兵衛を演じた鈴木亮平さんは以下のようにコメントしていました。

このアクションは本当に難しかったですね。ただ、僕が3日ぐらいかけて覚えた殺陣を、嵐のツアーを終えて練習に合流してきた大野くんが1日で完璧に覚えてたんです。ダンスをする人は覚えるのが早いとは聞いていましたが、それにしても早いから、隠れて練習してるんだろうと思ってました(笑)。

忍びの国

映画『忍びの国』より

たしかに、映画の世界では昔から「ダンス経験者はアクションも上手い」と言われていたので、中村義洋監督も大野智さんをキャスティングする際にそれを見越していたのかもしれませんね。

ちなみに本作には、知念侑李、マキタスポーツ、でんでん、満島真之介、きたろう、立川談春國村隼など非常に豪華なキャストが出演していて、それも見どころの一つと言えるでしょう(^.^)