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高畑勲監督について

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、「アニメーション監督の高畑勲さん死去」のニュースが流れ、日本のみならず世界中で大きな話題となりました。

高畑勲監督といえば、『アルプスの少女ハイジ』や『火垂るの墓』など、数々の優れた作品を生み出し、宮崎駿監督と並んでスタジオジブリで活躍した巨匠です。

当ブログでも過去に何度か高畑勲作品を取り上げていますが、個人的には「アニメ作りに取り組む高畑監督の姿勢」にすごく興味があるのですよ。

例えば、初の長編映画太陽の王子 ホルスの大冒険』の場合は、高畑監督のこだわりが強すぎて(というか東映動画労働組合の問題もあったりして)、製作スケジュールが延びまくり&予算も増えまくり、なんと完成まで3年もかかってしまいました。

当然、制作中は東映動画の偉い人たちから「映画を1本作るのにいつまでかかってるんだ!」「早く仕上げろ!」と厳しく責められていたようですが、高畑監督は最後まで初志を貫き、でもやっと完成したのに全くヒットせず、最終的には会社を辞めるハメに…。

しかし、アニメーション映画としての評価は非常に高く、「楽しくて分かりやすい子供向けのファンタジー・アニメ」からの脱却を図ろうという高畑監督の意図が全編に反映され、宮崎駿大塚康生小田部羊一森康二など凄腕アニメーターを集結して作り上げた本作は、今観ても色褪せない迫力を感じさせます。

また、『アルプスの少女ハイジ』を作る時は、プロデューサーに対して「アニメを週に1本作るのは無謀すぎる」「作品の完成度を維持するために、もっとスケジュールを確保してくれ」などと激しい議論を繰り広げていたそうです。

その様子を見ていた宮崎さんは「もう製作が始まって現場が動いてるのに議論しているのが信じられない。そんな暇があるなら早くこっちに絵コンテをくれよ!と言いたくなった」と非常に頭に来たそうです(笑)。

さらに『火垂るの墓』を作る際は、戦時中の状況を徹底的に調べ上げ、街の様子や爆撃機の飛んで来る方向に至るまで、ちょっとでも事実と違っている個所は全てリテイク。なんと、背景に生えている草の種類まで丁寧に描き分けていたそうです。

しかし、あまりにも完璧を求め過ぎた結果、とうとう映画の公開日までに間に合わせることが出来ず、一部を未完成のまま公開するはめになってしまったのですよ(ソフト化の時点で修正されましたが)。

このような高畑監督の「アニメ作りに対する姿勢」を見ていると、”商業映画監督”とは思えないんですよね。決められた期限内に完成させることよりも、作品のクオリティを何よりも優先するその姿勢は、明らかに”芸術家”の考え方です。

だから、鈴木敏夫さんの「良い芸術作品を作るためにはパトロンが必要」というコメントは非常に的確だと思うし、高畑勲の制作スタイルは、もはやそれでなければ成立しない次元にまで到達していたのでしょう。

そういう貴重なアニメーション作家がいなくなったのはアニメ業界にとっても大きな損失であり、今後、高畑監督の新作を観られないのは非常に残念と言わざるを得ません。ご冥福をお祈りいたします。

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