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『アメイジング・スパイダーマン』ネタバレ映画感想


■あらすじ『幼いときに両親が失踪し、心に傷を抱えたまま伯父夫婦のもとで育った内気な高校生、ピーター・パーカー。彼は、NY市警警部を父に持つ同級生グウェン・ステイシーに秘かな想いを寄せていた。そんなある日、父の鞄を見つけたピーターは、父のことを知るオズコープ社のコナーズ博士を訪ねる。しかしそこで、遺伝子実験中の蜘蛛に噛まれてしまう。翌日、ピーターの身体に異変が起こり、超人的なパワーとスピードを身につけることに。やがて彼はその能力を正義のために使うことを決意し、スーパーヒーロー“スパイダーマン”となって街の悪党退治に乗り出すが…。マーヴェル・コミックスの人気キャラクターを、「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ監督、「ソーシャル・ネットワーク」のアンドリュー・ガーフィールド主演で装いも新たに3Dで再映画化したアクション・アドベンチャー超大作!』



どうも最近のハリウッド映画を観ていると、「仕切り直しで、一旦全てをリセット!」的な企画ばかりが目について仕方が無い。世間ではこういう企画を「再起動(リブート)」と呼んでいるそうだが、ちょっと多すぎないか?例えば、有名な『スーパーマン』のリブート計画として『スーパーマン リターンズ』が製作されたが、期待したような成果を上げることができず計画は頓挫。

そこでワーナーは「よし、一旦リセットだ!」とまたもやリブート計画を立ち上げた(再再起動?)。どうやら業界では「行き詰まったらとりあえずリセットしとけ」みたいな風潮が蔓延しているらしい(ちなみに、『マン・オブ・スティール』と題された新生スーパーマンは2013年6月14日に公開が予定されている)。

また、2003年にアン・リー監督で製作された『ハルク』も大ヒットには至らず、スタッフ・キャストを一新し、『インクレディブル・ハルク』としてリブート。間もなく新作が公開される『ダークナイト』も、元は旧『バットマン』のリブート作品だ。

更に、今後は『ロボコップ』、『トータル・リコール』、『ハムナプトラ』、『ヴァン・ヘルシング』など、過去の人気作が続々とリブートされる予定になっている。なんかもう、「ハリウッド、どんだけネタ切れなんだよ!」って感じで悲しくなってくるな(苦笑)。

そして今回の『アメイジングスパイダーマン』もそんなリブート企画の一つなんだけど、本作はこれまでのパターンとちょっと事情が異なっている。サム・ライミが作った3部作はどれも大ヒットしており、本来なら同じスタッフ・キャストでパート4が作られる予定だったのだ。

ところが、制作会社から予算や脚本について色々な注文を付けられたサム・ライミがブチ切れて降板。主役のトビー・マグワイアも1本2500万ドル(22億円)という高額なギャラを理由にクビを切られてしまう。

こうして、『アメイジングスパイダーマン』の製作が決定。ただし、サム・ライミ版の一作目と同じく、スパイダーマンが誕生する過程から再び描き直すっていうのだけはカンベンして欲しかった。いや、マジでその辺の展開はもう知ってるから飛ばしてくれよ!ベン叔父さんが死ぬ場面とか、辛いから何度も見たくないんだよ!

また、前の『スパイダーマン』も「特殊な蜘蛛に噛まれてスパイダー・パワーを身に付けたピーター君が様々な苦難を経験しつつヒーローとして成長していく姿」をライミ監督がじっくりと描いていたが、「じっくり描き過ぎてダルい」と感じる部分もあった。それと同じことが『アメイジングスパイダーマン』にも当てはまっている。

まず、スパイダーマンになるまでの展開が異様にダルい。さすが『(500)日のサマー』を撮ったマーク・ウェブ監督だけあって、アメコミ映画とは思えぬほど人物描写にたっぷり尺を使っている。しかも、せっかく超人的なパワーを手に入れたのに、最初のうちはどこかの廃工場で飛び回ったり壁に張り付いたりしているだけ。本格的に活動し出すのはベン叔父さんが死んだ後だ。

おまけに、自分のせいでベン叔父さんが死んだというのに、悪人退治の時のスパイダーマンがふざけ過ぎててイラっとするなど、どうにも主人公の言動に感情移入しづらい。

総合的に見て、今回のスパイダーマンはキャラクターが軽いのだ。どうやらマーク・ウェブ監督はサム・ライミ版の「大いなる力には、大いなる責任が伴う」的な暗くて重いドラマとは違ったスパイダーマンを描こうとしているらしい。なので悩んだり葛藤したりする場面は一応あるものの、あまり重要視されていない。

にもかかわらず、尺だけ間延びしてテンポが悪くなっているのはいかがなものか。軽いのはべつに構わないが、それなら話をもう少しスピーディに描いて欲しかったなあ。

3Dの効果はなかなか良かったと思う。ビルの屋上から落下するシーンとか、高低差がリアルに表現されていて結構怖い。糸を使って飛び回るアクションも迫力倍増でグッド。と言っても、それぐらいしか3Dの見どころは無いんだけど(笑)。


以下、ネタバレ


その他、アメコミの設定に無理矢理科学的な考証を付加している所為で、逆に説得力が減退している点も気になるところ。遺伝子レベルで人体を変化させる薬を使っているのに、「解毒剤」であっさり中和できてしまうってどういう理屈だよ?

ウェブ・シューターは無限に糸が出るし、高校の理科室に侵入したリザードがビーカーに入った液体を混ぜ合わせて投げたら爆発って、何かのギャグなの?あと、エンディングの主題歌がやけに日本語っぽいなと思ったら日本人だった。曲自体は悪くないけど、洋画に日本の楽曲って絶対に合わないよ!

というわけで、色々不満点が多い映画ではあるが、設定を高校生に戻したことやキャストの若返りなど、本作は『トワイライト』シリーズみたいに「青春モノ」 + 「アメコミ・アクション」という方向性を狙っているのかもしれない。だとすればラストの「守れない約束もあるもんね〜」的なチャラいセリフもまあ納得できなくはない。

ただ、仮にそうだとしてもヒロインとの恋愛物語があまりにもあっさりし過ぎじゃないか?つまり、この映画はサム・ライミ版と比べて「面白くなくなった」というよりも、対象年齢を下げたために「深みがなくなった」と言うべきであろう(青春ドラマとして見れば「こんなもんかな」というレベルだが)。本作の印象をまとめると以下の通り。


●良かったところ
アンドリュー・ガーフィールドが演じるピーターは、トビー・マグワイアよりも繊細な感じが出ていて良かった(ただしイケメンに限る)。
・「息子を助けてくれた恩返しだ!」とクレーンを操縦するおっさんが良かった。
・アクションが派手になった。
・ヒロインが美人になった(←重要)。

●悪かったところ
・頭はいいのにやってることがバカな主人公。
・すぐに自分の正体をバラす主人公。
・約束を守らない主人公(←ダメだろ)。


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