ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

韓国SF映画『リザレクション』ネタバレ感想

リザレクション

■あらすじ『青年ジュは“マッチ売りの少女”からライターを買った直後、ヴァーチャル世界へ足を踏み入れた。だが超人的なパワーを手に入れて喜んだのもつかの間、闇の軍団から命を狙われるハメに。そして、少女を助け出す使命を与えられるが、ヴァーチャルの世界で死闘を繰り広げるジュの知らぬ間に、少女の体には異変が起き始めていた。可憐な“マッチ売りの少女”を救うために仮想現実の世界に飛び込んだ青年と、人工知能で完全管理された闇の軍団との壮絶な戦いを描いた斬新なストーリー。ダイナミックな銃撃シーンと、アクロバティックな超絶バトルを交えて異世界に送り込まれた若者を描いたサイバーパンクSFアクション!総製作費90億ウォン(約9億円)、製作期間4年、撮影期間14カ月を要した超大作韓国映画の誕生だ!(以上、DVDのアオリ文句より抜粋)』



本作のキャッチコピーは『韓国版マトリックス。その、自らオリジナリティを放棄するような志の低さに半ば呆れながらも、とりあえず鑑賞。この映画の存在はかなり以前から知っていたのだが、気になっていたのはその評判の悪さだ。

韓国で公開されるやいなや前代未聞の酷評を受け、韓国映画史上空前絶後の赤字記録を叩き出したという伝説的な問題作なのだ。いったいどんなとんでもない映画なのかと、ストーリーよりそちらの方に興味が湧いたぐらいである。さてその結果は……ぎゃあああ!!!なんなんだこの映画は!?

想像力の限界をブッちぎりで超越する凄まじい展開の数々に思考回路はショート寸前!これは狙いなのか、それとも無意識の産物なのか?どちらにしろタダ事ではない(今回はかなりネタバレしていますが、まあ、あまり問題ではありません。むしろネタバレを読んでも尚、ストーリーが良く分からない事の方が問題かとw)

オープニング直後、BGMには演歌が流れ、背景は昭和初期のイメージ。「マッチ売りの少女」はマッチの代わりにライターを売っている。しかし、誰も買ってくれる人はおらず、とうとう少女は倒れてしまう。この後お伽話ではマッチをすって暖まろうとするが、本作ではなんと少女はライターのガスを吸ってラリってしまうのだ!冒頭の3分間で早くもド肝を抜かれまくるが、本編はもっと酷かった。

場面が変わって合コンシーンから物語が始まるわけだが、なぜか背景にはキューティーハニーの巨大なポスターが!しかも良く見るとるろうに剣心などのアニメのポスターが大量に貼ってある。いったいどこで合コンしてるんだ!?

要するにこの映画は、「現実世界と区別がつかないほどリアルなゲームに参加した主人公が、謎のマッチ売り(ライター売り)の少女の愛を求めて戦う」というSFなのだが、そんなストーリーは途中でどうでもよくなってくる。

一応、序盤で「マッチ売りの少女の再来」というゲームのルールについて説明されるんだけど、クリアの条件は「少女を凍死させること」。しかも「マッチ売りの少女があなたの夢を見ながら死ぬこと」となっているのだ。どーゆーこっちゃ!?

さらに映画の特徴として、“いくつもの異なったエンディング”が用意されているのである。つまり、アドベンチャーゲームみたいに「複数の結末が大量に用意されているパターン」を“映画でやろう”としているのだ。

例えば、主人公が間違った選択をすると「バッド・エンディング」と表示され、少し前のシーンへ強制的に巻き戻されてしまう、という具合である。はっきり言って、猛烈に分かり難い!

さらに、主人公やその他の登場人物の行動パターンも支離滅裂。感情移入は至難のワザだ。おまけに、“謎の組織”の存在も、その正体が解明されることなく“謎のまま”で終わってしまう。 いったい誰が何の為にこんなゲームを作ったのか、ストーリーの背景が一切見えてこないのだ。

まさに、観る者全てを突き放さんばかりの勢いに溢れかえっている傍若無人な映画と言えよう。だがしかし!『リザレクション』の本当の凄さはこんなものではなかったのである!

映画のクライマックス、主人公は少女を救出する為に、危険を顧みず敵の本拠地に侵入しようとしていた。その時、仲間が主人公に“最強の武器”を渡す。

主人公:「何だ、これは!?」
仲間「鯖だ!」
主人公「……さ、鯖?」

それは「サバ」という名前の銃だったのだ。なぜ、銃の名前が魚の「サバ」なのか、当然一切の説明は無い。しかし、“最強の武器”と称されるその銃の外観は、どう考えても夏祭りの夜店で売られているプラスチックのおもちゃの銃にしか見えない。

主人公「……これ、おもちゃじゃないの?」
仲間「バカ野郎、敵の目を欺くためだ!」
主人公「………」
さらにこの銃には弾が無く、エネルギーは「光」と「風」。しかも念じるだけで撃てるので、引き金すら無いのだ。サバ、ブラボー。

しかたなく、主人公はおもちゃにしか見えない“最強の武器”「サバ」を片手に、敵の本拠地に乗り込んでゆく。だが、“最強の武器”であることに間違いはなかったようだ。現れる敵を片っ端から撃ち殺し、ロケット砲台をぶっ壊し、大型トラックを撃破し、挙句の果てには戦闘用ヘリコプターさえも一撃で木っ端微塵に粉砕する!まさに史上最強の破壊力!

そう、この「サバ」はそのトイザらスに売ってそうな安っぽい外見とは裏腹に、とてつもない攻撃力を持っていたのである。これなら楽勝だ!しかし、何事も油断は禁物。一瞬の隙を付かれ「サバ」が敵に奪われてしまった。主人公、大ピンチ!だが、その瞬間、「サバ」に隠されていた“恐るべき機能”がついに発動した!その機能とは……銃が突然「鯖」に変形したのである!

敵「………え?」
主人公「………え?」
観客「………え?」

観る者の意識を宇宙の彼方まで吹き飛ばすかのような衝撃的な展開に言葉も出ない。というか、映画を観ていない人には何がどうなっているのかさっぱり分からないだろう。だが、ここに書いたことは嘘ではない。ホントに銃が魚の「サバ」に姿を変えたのである。もはや常人の発想では到底太刀打ちできない神秘の世界だ。

ドラマはこの後も延々と続いていくわけだが、もうこれ以上僕には書けない。いや書く自信が無い。「エンドクレジットの最後まで、我が目を疑うような展開が続出する」とだけ言っておこう。

ちなみにDVDのパッケージには、少女がかっこいい戦闘服に身を包んで銃を構えている姿が映っているが、こんなシーンは一秒たりとも本編には存在しない。そして少女の背景には『ブレードランナー』を思わせる近未来的なビルが立ち並んでいるが、当然こんな場面も皆無。JAROってなんじゃろ?

以上、かなりネタバレ的な事まで書いてしまったが、この映画の凄さを言葉で伝えることは非常に難しい。なにしろ、繰り出されるイマジネーションがどれもこれも尋常ではないのだ。「アクションシーンが全て『マトリックス』のパクリである」ことなど全く気にならなくなってくる。

むしろこれほどデタラメで、これほど破天荒な映画が作られた事にある種の感動を覚えずにはいられない。もう、突っ込みどころは限りなくある。いやこの際、映画全体に突っ込むべきだろう。よくこんな映画に9億円も掛ける気になったもんだ。紛れも無く怪作!ある意味奇跡!そして、「サバ」に幸あれ!