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ガン=カタ最強!『リベリオン』ネタバレ感想/評価

リベリオン
映画『リベリオン』より
■あらすじ『第3次世界大戦後、人間は戦争の根源である「人間の感情」を抑制する薬、“プロジウム”を開発。人々は毎日薬の投与を義務付けられ、本や絵画、音楽は一切禁止されていた。主人公のジョン・プレストン(クリスチャン・ベール)は、違反者の取り締まりを行う聖職者(クラリック)である。そして彼は銃の威力を最小限の空間で最大限に発揮させる究極の武道「ガン=カタ」の達人だった。ある日プレストンは、誤ってプロジウムの瓶を割り、投与をしないまま仕事に就く。しかしそれは、プレストンが長い間忘れていた「感情」のかけらを、ゆっくりと目覚めさせていった…。人間が感情を発露させる事を一切禁じられたディストピア社会を舞台に、感情とそれがもたらす暴力の相克に鋭く切り込みながら、ガン=カタという全く新しいアクション描写で娯楽作品としての面白さをも充分に満たした、衝撃の近未来SF・ガンアクション・ムービー!』



僕は最初この映画を劇場で観たのだが、公開当時、大した宣伝もされてなかったために世間的な認知度も低く、映画評論家の間でも散々な評価だったと記憶している。さらに劇場側の扱いも酷いもので、首都圏でもほとんど単館ロードショーでしか上映されておらず、僕の地元では上映期間がたったの1週間、しかも上映は夜9時からの一日一回のみという惨憺たる有様だった。

とは言え、僕自身もほとんど予備知識も無く、大した期待もしていなかった。予告編や宣伝素材を見る限りにおいて明らかに「マトリックスのパクリ」であろうと予測できたからである。

しかし、その予測は一部は当たっていたが、大部分は大きくはずれ、しかも良い方向にはずれていたのだった。「うぎゃあああ!かかかカッコいいイイイ!」思わず劇場の座席から転げ落ち、床をのたうち回りそうになったほどの想像を絶する面白さ!全身の毛が逆立ち、血液は逆流し、体液は沸騰し、眼球は画面に釘付けとなり一瞬たりとも目が離せない!な、なんという凄まじい映画だッ!

主人公のジョン・プレストンを演じるのは、最新作『バットマン・ビギンズ』の主役を務めるクリスチャン・ベール。本作では冷酷無比なクラリックであるプレストンが、徐々に人間性を取り戻していく過程を、繊細な描写で見事に演じ切っている。

そして、プレストンの同僚を演じるのは、『ナショナル・トレジャー』で敵のボスを演じたショーン・ビーン。本作では、クラリックでありながら管理体制の在り方に疑問を持ち、プレストンが感情を取り戻すきっかけとなる重要人物だ。さらに、妻を亡くしたプレストンに感情の必要性を教えるメアリー・オブライエンを演じるのは、エミリー・ワトソンレジスタンスのジャンヌ・ダルク的存在である彼女に、プレストンは次第に心を開いてゆく。

設定自体は「徹底的に管理された独裁社会」を描いたもので目新しさは無い。『華氏451』との類似性が指摘されているように、SFではありがちな世界観だ(未来社会のロケは主にベルリンで行われ、競技場など実際の建造物が放つ重厚な存在感が、ダークな作品のトーンに上手くマッチしている)。

しかし、この映画の素晴らしさは「失われた人間性を取り戻す為に闘う、一人の男の姿」を懇切丁寧に描き切った点にある。最初は無表情だったプレストンが、何かに“気付く”度に少しずつ感情があらわになってゆく。それは、窓から差し込む朝日の美しさだったり、手袋を外して直接物に触れる感触だったり、クラシック音楽の素晴らしさだったり、日常的に何でもない事ばかりなのだが、彼にとっては涙が溢れてくるほど感動的な事だったのだ。

極めつけは、“子犬を殺さなければならない”シーン。以前のプレストンなら躊躇無く子犬を処分していたであろうが、感情が甦りつつあった彼は一瞬ためらってしまう。このような主人公の感情の変化を全編に渡って詳細に描写しているからこそ、クライマックスの何かが吹っ切れたような凄まじいアクションが、観る者の心を捕らえて放さないのだ。

仲間を殺された怒りと悲しみでメーターの針が振り切れた瞬間、一瞬の静寂を打ち破って炸裂する空前絶後の大銃撃戦!まさに血とバイオレンスが鮮やかに描き出す、震えるほどのエモーション!それがガン=カタだッ!

そう、この映画最大の見所は、「GUN=KATA(銃=型)」と呼ばれるオリジナル格闘術である。これは、東洋的な肉体鍛錬と西洋的な拳銃技術を融合する事によって生み出された、いまだかつて誰も見たことが無い究極の武術なのだ。統計学的に銃撃戦を分析する事によって敵の死角に身を置き、剣道、柔道、空手などの様々な武術をドッキングさせた動きで敵を倒す、これまでにない斬新なアクション。

通常のガンアクションの場合、主人公は障害物などに身を隠しながら敵を攻撃する。真正面から向かい合って撃ち合うなどというバカげたアクションは、ジョン・ウーの映画ぐらいだと思っていた(笑)。

しかし、本作では銃を構える多くの敵の前に平然と姿をさらし、相手の弾丸をギリギリでかわしつつ、たちどころに敵の生命を絶つ!剣のように両手に銃を構え、優雅かつダイナミズム溢れる所作で引き金を弾く!すげえ!ジョン・ウーよりもっとエキサイティングでバカげたアクションだ!

まるで舞を舞うかのような優美な動きと、両手のハンドガンから撒き散らされる“死と破壊”という名の壮絶なるカタルシスには圧倒される事間違いなし!まさに、アクション映画史上最強の格闘技である。

本作で劇場用監督デビューを果たしたカート・ウィマー自身が考案し、『マスク・オブ・ゾロ』のスタント・コーディネーターとして活躍しているジム・ビッカーズ(本作でも武術指導を担当)が創造したガン=カタは、中国拳法の手の動きを銃に応用し、相手の動きを予測して敵を瞬時に撃ち倒すというもの。ガン=カタをマスターした者は、銃弾が発射される前に当たる確立が最も低い位置へ素早く身を動かす事が可能となるのだ。

理屈自体は判ったような判らないような「胡散臭さ」を感じるが、映像化されたスピーディかつパワフルなアクションは、見ていて卒倒するほどのカッコ良さ!我が目を疑うような美しい動き、そして敵を倒した後にいちいち“見得を切る”そのスタイルは「格闘」というよりもはや「演舞」だ。

まさに、映像美としての快感のみを徹底的に追求した武術といえるだろう。これだけの動きを見せておきながら、ワイヤーワークを一切使用していないことも驚きだ。暗闇の中で銃口が発する火花に照らし出され、フラッシュバックのように浮かび上がるガン=カタ初戦など、創意を凝らした見せ方も極めて斬新。

また、クリスチャン・ベール演ずるプレストンが使用している銃は、通称「クラリックガン」と呼ばれており、グラマトン=クラリックに支給される制式サイドアームだ。パっと見た時は何の銃か分からなかったが、ベースとなっているのはアクション映画でお馴染みのベレッタ M92Fである。但し、ガン=カタの威力を最大限発揮できるように、原型を止めないほど各種チューンナップが施されているようだ。

(1)フルオート機能に改造し、LOCK/SEMI/AUTOのセレクターでセミ・フルの切り替えが可能
(2)射撃時の反動を抑えるため、大型スタビライザーを装着
(3)しかも、スパイク付きのカウンターウェイトでストライクガン仕様
(4)近接格闘戦に対応するため、マガジン底部に格闘用スパイクを内蔵
(5)トリガーガードの形状がM92Fとは異なる
(6)マズルフラッシュの形状が”十字型”になっている(リブリアの国旗と同じ形状)

銃自体の機能も凄いが、第一級のクラリックともなると弾切れを起こすタイミングを予測し、あらかじめ予備マガジン(「起き上がりこぼし」の要領で起き上がる、おもり付きの多弾数マガジン)を所定の位置に配置させる技術を駆使できるようになる。これによって、弾切れを起こしても瞬時にリロードすることが可能となるのだ。スゲー!

というわけで映画『リベリオン』の魅力の大部分は、凄絶なガンアクションにあると言っても過言ではないだろう。それらの銃撃戦に彩られた知的なストーリーと現在に対する痛烈な風刺、そして人間というものの深い洞察力に満ち溢れ、なにより崇高なヒロイズムと燃え上がるようなエクスタシーが強烈に香り立つ!

本作が『マトリックス』の影響を受けていることは疑いようもない事実である。そして『マトリックス』自体も、ジョン・ウーの『男たちの挽歌』から強い影響を受けていることは明白だ。すなわち、『リベリオン』はジョン・ウー的な様式美を受け継いだ、由緒正しいスタイリッシュ・ガンアクション映画の最終進化形態なのだ。

もちろん、今後本作を超える作品が出てこないとは言い切れないが、少なくとも現時点では本作がスタイリッシュ・ガンアクション映画における一つの“頂点”だと言っても過言ではないだろう。とにかく、ただひたすらにかっこいい!まさしく完全無欠の映像美!北村龍平がパクりたくなる気持ちも良く分かる(笑)。これぞ、B級ハッタリアクション映画の金字塔的大傑作だ!


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