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古舘伊知郎?映画『テロ,ライブ』ネタバレ感想/評価


■あらすじ『不祥事のせいでラジオ局に左遷された元人気TVキャスターのヨンファ(ハ・ジョンウ)は、ある日、ラジオの生放送中に爆弾テロの犯行予告を受ける。イタズラと思い無視すると、その直後、実際に漢江の麻甫大橋が爆破された。一大スクープと確信したヨンファは、上司にかけあいTVキャスターへの復帰を条件に、犯人との通話をテレビで独占生中継することに。しかし、ヨンファのイヤホンに小型爆弾が仕掛けられていることが判明。死になくなければ生放送を続けるしかない!タイムリミットが迫る中、果たしてヨンファはこの窮地を切り抜けることが出来るのか!?韓国で大ヒットした痛快サスペンス・エンタテインメント!』


※ネタバレしてます。観てない人はご注意ください。


本日WOWOWシネマで放送される『テロ,ライブ』は、非常に面白い設定の映画である。舞台はほぼ生放送中のスタジオのみ。犯人からの電話を受ける主人公は、装着しているイヤホンに爆弾を仕掛けられ、その場から動くことが出来ない。リアルタイムで進行していくテロの一部始終を、テレビで克明に放送するという緊迫感溢れる状況がひたすら続く。

テロリストの要求は「数年前に起きた事故の件で大統領に謝罪させろ!」というもの。警察は何とか時間を稼いで犯人を見つけようと画策するが、「10分以内に謝罪しなければお前のイヤホンを爆破するぞ」と脅された主人公は焦りまくり。しかも、別の爆弾が仕掛けられた橋の上では、彼の奥さんがリポーターとして現場中継しているのだ。

…という具合に、本作はいわゆる「ワンシチュエーション・スリラー」であり、ある種の「密室劇」となっているところがポイント。主人公は逃げたくても逃げられない上に、犯人の要求に従わなければ、自分ばかりか奥さんや他の市民まで巻き添えになってしまうのだから、危機感は相当なものである。

事実、序盤は非常に面白く、ハラハラドキドキさせられた。しかし、犯人とのやり取りが増えるに従って、次第にボロが出始めるのが残念。まず、「主人公のイヤホンに爆弾を仕掛ける」という設定だが、普通、テレビ局のイヤホンは専任の担当者が管理しているはずなので、局に忍び込んで全てのイヤホンをすり替えなければならない。

なぜなら、爆弾付きのイヤホンを主人公に装着するためには、たくさんのイヤホン中から任意で選ぶわけにいかないので、全部爆弾付きにするしかないからだ。しかしそうなると、主人公以外の人も爆弾付きイヤホンを装着する可能性がある。実際、途中で警察の偉い人がブースに入って来た際、イヤホンを付けられたのだが、犯人の逆鱗に触れて爆死した。

この時は、「犯人側で爆破するイヤホンを指定できるのか?」と思っていたんだけど、実は「主人公のイヤホンには爆弾が仕掛けられていなかった」ということが後に判明する。えっ!?じゃあ、どうやって爆弾付きとそうでないイヤホンを区別してたの?狙った人物のみに爆弾を仕掛けるためには、犯人が直接現場に来るしか方法が無いだろ。

「もしかして、イヤホンを取り付けたスタッフが犯人だったのか?」と思って念のために確認してみたが、どう見ても別人で、しかも主人公が犯人と会話している真っ最中にイヤホンを付けられているのだから、絶対に犯人では有り得ない。つまり、何も知らない音声スタッフがたまたま選んだイヤホンが爆弾無しの方だった、ということになってしまうのだ。そんな適当なことでいいのか?

この「イヤホン爆弾」を現実に実行しようとするなら、テレビ局側のスタッフに犯人の協力者を紛れ込ませておかなければまず不可能だ。にも関わらず、この映画では”単独犯”ということになっているため、その時点でリアリティが一気に下がってしまうのである。いっそのこと、「犯人はテレビ局のスタッフに化けて主人公のすぐ側にいた」というオチで良かったのではないだろうか?

その他、犯人の名前を警察が調べたらすぐに判明したので「全部分かってるんだぞ!」とテレビでドヤ顔&完全勝利みたいなこと言ってたくせに、”2年前に死んでいる”ということになぜ気付かなかったのか?あるいは、テロ対策課の女性警官が何の役にも立ってないとか、テロ事件と主人公の収賄疑惑は関係ないのだから「知らぬ存ぜぬ」と通せば良かったのでは?とか、粗を探せば山ほど出てくる。

こんな感じで、辻褄の合わない点や矛盾点が次々と明らかになっていき、説得力がどんどん低下していったのが残念で、「せっかくいいアイデアなのに、もったいないなあ」と思った次第。

一番納得いかないのは犯行手段で、これだけ自由自在に爆弾を扱えるなら、どうしてもっと大統領に近い場所をターゲットにしないのか?という点だ。ビル一つを崩壊させられるぐらいだから、相当な規模のテロを実行できたと思うんだが…

というわけで、「TVの人気キャスターが謎のテロリストに脅されて生放送中のスタジオから出られない」という設定は、「電話ボックスの中だけで展開するサスペンス」として有名な『フォーンブース』に似ていてなかなか面白かったものの、途中から説得力が無くなって「惜しいな」、という感じであった。

なお、主人公がなんとなく「報道ステーション」の古舘伊知郎に見えてしまうのは、僕の気のせいだろうか?単なる偶然だろうか?それともわざと?

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