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押井守監督の本 『映画の正体 続編の法則』を読む

押井守監督

押井守監督


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
まだまだ暑い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて先日、押井守監督の『映画の正体 続編の法則』という本を買いました。

押井守といえば、『機動警察パトレイバー』や『攻殻機動隊』など数々の優れたアニメーション作品を生み出し、海外でも高い人気を誇っている映画監督ですが、”無類の映画好き”としても知られています。

学生時代は映画研究会に所属し、「1年間で1000本以上の映画を観まくった」と豪語するほど映画マニアの押井さんは、過去にも映画に関する本をいくつか出してるんですよ。

そのうちの一つに押井守の映画50年50本』という書籍があり、これは「1968年から2017年の約50年間に公開された映画の中から押井監督が50本を選んで語りまくる」というコンセプトでした(非常に面白かったです)。

そして今回購入した『映画の正体 続編の法則』という本は、なんと『映画50年50本』の”続編”という位置付けで、内容の方も「続編映画について語る」というコンセプトなんですね。

考えてみれば押井監督自身も『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』や『機動警察パトレイバー2』や『イノセンス』など続編映画を数多く手がけているので、続編を語るには適任と言えるでしょう。

しかし、押井監督が語るわけですから当然「単なる映画解説本」ではありません。有名な映画監督を一人ずつ取り上げ、その監督が撮った続編映画について話しつつ、「どういう意図で続編を撮ったのか?」「続編としての評価は?」など、押井さんの評論を交えながら詳細に語りまくっているのです。

例えば、第1章では押井さんの大好きなリドリー・スコット監督を取り上げ、『エイリアン』シリーズの前日譚となる『プロメテウス』と、その続編『エイリアン:コヴェナント』について徹底解説。

さらに『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー 2049』は、直接リドリー・スコットが監督していないものの、製作総指揮として作品に関わっており、これについて「なぜリドリーが自分で撮らなかったのか?」という部分も含めて詳しく考察してるんですよ。

その他、ジェームズ・キャメロンクリストファー・ノーランザック・スナイダーマイケル・ベイスティーブン・スピルバーグなど、様々な監督の続編映画について押井守独自の視点で語っているのが面白い。

ちなみにジェームズ・キャメロン監督といえば、『エイリアン2』や『ターミネーター2』、脚本だけですが『ランボー2』など、「続編映画に手慣れている」というイメージがあるかもしれません(間もなく『アバター2』も公開予定)。

ところが押井監督は「サー(リドリー・スコット)は続編を撮る時も自分のテーマを押し出しているけれど、キャメロンはビジネス上の成功を優先し、個人的なテーマを表現することに情熱がない」とバッサリ。

これは言い換えれば”作家性”ということなんでしょうけど、要は「キャメロンの映画には”キャメロンらしさ”が足りない」「突き抜けた”何か”が無ければ映画は小ぶりになってしまう」と指摘しているのです(なかなか厳しい…)。

ただし「『アバター』の映像表現は非常に素晴らしく、プロデューサー的な思考も優れているのでヒット作を次々と生み出すことが出来る」など、そういう面は評価している模様(「作品的な成功」と「興行的な成功」の話も興味深い)。

というわけで、膨大な映画の知識や蘊蓄を駆使した押井守監督の映画論に興味がある方はぜひどうぞ。