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ピエール瀧容疑者の逮捕で色んな作品に影響が出ている件

ピエール瀧容疑者

ピエール瀧容疑者

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

先日から様々なメディアで報道されまくっているピエール瀧容疑者逮捕の件ですが、それらのニュースを見ると「関わっている作品が多すぎて影響が尋常じゃない」って内容がほとんどなんですよね。

4月5日に公開予定だった麻雀放浪記2020』は、五輪組織委員会の元会長という重要な役を演じているため編集でカットできず、「有料コンテンツとして観客の判断にゆだねたい」として4月の公開を前提に最終調整しているそうです。

麻雀放浪記2020

麻雀放浪記2020

そして松坂桃李さん主演の時代劇『居眠り磐音』は、5月17日の公開予定まで時間があるので、ピエール瀧容疑者の出演箇所を撮り直し、差し替えることを決定。こちらも「予定通り公開する」とのこと。

ただし、過去に公開直前のトラブルで撮り直したケースでは、再撮影および編集作業だけで2500万円ほどかかったらしく、さらにポスターやパンフレットなど瀧容疑者の名前や写真が入った関連商品も全て作り直すことを考えると、「損害額は3~4000万円に上るのでは…」と言われているそうです。

居眠り磐音

居眠り磐音

また、11月22日に公開となるアナと雪の女王2』では、前作に引き続いてピエール瀧容疑がオラフの声を演じる予定になっていたんですが、当然ながら降板。

しかも過去に収録した作品についても、新たな声優で録音し直し再発売するようで、『アナと雪の女王』『アナと雪の女王/家族の思い出』『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』と、短編アニメを収録した『ディズニー・ショートフィルム・コレクション』のDVD、BD、CDなど、全ての関連商品が販売停止となってしまいました。 

おまけに、スクウェア・エニックスの人気アクションRPGキングダム ハーツIII』まで日本語版吹き替え声優を交代することが決定。いったいなぜ?

実は『キングダム ハーツIII』のゲーム内ワールドの1つに『アナと雪の女王』の世界を舞台にした「アレンデール」があり、そこにオラフが登場するからなんですけど、これにともない今後ゲーム本編のアップデート配信によって吹き替え音声の変更が実施されるそうです。 

ゲームと言えば、木村拓哉さんが主人公の八神隆之を演じたPS4ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』も、ピエール瀧容疑者が羽村京平役で出演しているため、発売元のセガゲームスが「当面のあいだ製品の出荷及びダウンロード販売を自粛する」と発表しました。 

しかし、映像作品の中で最も影響を受けているのは、何と言ってもNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』でしょう。

ピエール瀧容疑者が演じているのは履物店「播磨屋」の主人の黒坂辛作で、主人公:金栗四三中村勘九郎)のマラソン用足袋を開発する重要な役どころです。当然、今後のドラマでもますます活躍シーンが多くなっていくため、編集で出番をカットしたぐらいでは全く対応できません。

NHK大河ドラマ『いだてん』より

NHK大河ドラマ『いだてん』より

しかもNHKとしては、オンデマンド配信やソフト化なども考慮する必要があるので、瀧容疑者が出ているシーンは第1話から全て再撮影しなければならないのですよ。これはメチャクチャ大変です(いったいどうするんだろう…)。

なお、NHKオンデマンドに関しては『連続テレビ小説 とと姉ちゃん(シリーズ全作)』『とと姉ちゃん もうひとつの物語“福助人形の秘密”』『あまちゃん』『龍馬伝』『55歳からのハローライフ』などの配信が早くも停止されました。 

さらにあまちゃんの場合は、3月23日の「三陸鉄道リアス線」の開通に合わせ、BSプレミアムで3月17日に前編、24日に後編を放送予定だったにもかかわらず、なんと「瀧容疑者が出演している後編は自粛する」と発表。もう、踏んだり蹴ったりじゃないですか…(泣)。 

あと、ビックリしたのはピエール瀧容疑者の似顔絵が描かれたマンホールの蓋まで撤去されたことですね(地元静岡出身の有名人ということで2017年に設置され、費用は約120万円かかったらしい)。静岡県藤枝市下水道課は「事件の内容や社会的な影響力も考慮し、撤去せざるを得なかった。とても残念」とコメントしてるんですけど、普通そこまでする?

ピエール瀧のマンホール

ピエール瀧のマンホール

この他にも、電気グルーヴの30周年記念ライブが中止され、CDやDVD等の関連商品が全て出荷停止・店頭在庫回収・デジタル配信停止となり、冠番組ピエール瀧のしょんないTV』は放送打ち切り、TBSラジオ『たまむすび』は降板、住宅設備大手『LIXILリクシル)』のCMは放送中止・契約解除など、多くの分野で甚大な影響が出ているようです。 

こうした状況の中、「過去の作品まで全て自粛するのは少しやりすぎでは…」との意見も上がり始めました。

まず、ミュージシャンの坂本龍一さんがTwitterで「なんのための自粛ですか?電グルの音楽が売られていて困る人がいますか?」と自粛の必然性を問いかけ、「音楽に罪はない」と持論を展開。

そしてロックバンドのソウル・フラワー・ユニオンも、回収対応の是非を問うツイートを紹介しながら「断固反対する」と明確な立場を表明。

その他、ロックバンド「凛として時雨」のドラマー・ピエール中野さんや、エレクトロユニット「Satellite Young」を主宰する草野絵美さんなど、音楽関係者が次々と今回の騒動について言及しています。

また、演出家の鴻上尚史さんは「出演者の不祥事によって過去作品が封印されるなんて風習は誰の得にもならない」「このままでは日本の文化は悲惨なことになってしまう」と苦言を呈しました。

一方、テレビや映画や音楽などの”自粛”に対し、ファンたちも活動を開始したようです。ソニー・ミュージックが電気グルーヴのCDや楽曲の出荷・配信停止・店頭在庫の回収を決めた直後に、社会学者らが方針の撤回を求める署名支援サイト「change.org」を立ち上げ、17日時点でなんと3万人以上の賛同が集まっているらしい。

というわけで、現在この騒動をきっかけとして「過剰すぎる自主規制は是か非か」という議論が巻き起こっているようです。世間の反応を見る限りでは「作品に罪はない」的な論調が目立つようですが、果たして今後どうなるのでしょうか?

ちなみに、『エイリアン』や『ブレードランナー』の監督として世界的に有名なリドリー・スコットは、未成年の少年に対する性的暴行容疑でケヴィン・スペイシーが訴えられた際、以下のようにコメントしました。

ケヴィン・スペイシーが何をしようと、俳優として素晴らしいことは事実だ。確かに彼は許されないことをしたが、作品まで殺してはならない。芸術家の私生活と作品は、切り離して考えるべきだ。

う~ん、どうやらリドリー・スコット監督も「作品に罪はない」説を支持しているようですね。

ちなみに、ケヴィン・スペイシーの騒動が起きた時、すでに撮影が終わっていた映画『ゲティ家の身代金』は公開日までわずか1ヵ月しかありませんでした。

しかしリドリー・スコット監督は「延期も公開中止もしない!」と言い放ち、すぐにスペイシーの代役を起用し、たったの9日間で全てのシーンを撮影し直してしまったのです。驚くべき早撮りですよねえ(^^;) 

 

『カメラを止めるな!』の面白さの秘密はシンクロ率?

カメラを止めるな!

映画『カメラを止めるな!』より

※以下、ネタバレしているので本編を観ていない人はご注意ください!

 

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

本日、金曜ロードSHOW!で『カメラを止めるな!』が地上波初放送されます。

わずか300万円の低予算映画にもかかわらず、あまりの面白さに口コミで評判が拡散し、最終的には30億円を超える大ヒットとなったことでも知られる本作。

事前の告知では、「とある廃墟でゾンビ映画を撮影しているとスタッフたちが本物のゾンビに襲われ、その様子を37分間のワンカットで撮った和製ホラー」などと紹介していました。

しかし、実際は前半のゾンビ映画は劇中劇で、後半に「その撮影の裏側ではこんなことが起きていた」みたいな感じで種明かしをする”二段構え”の構成になっていたのですよ。

この仕掛けに「なるほど!」と感心した観客たちは、出来るだけネタバレをしないように「面白いから観て!」と知り合いにプッシュしまくり、その結果、大ヒットに至ったと。

ただ、この映画が観客の心をとらえた理由はそれだけじゃないと思うんですよね。

個人的な感覚ですが、人の心に響く映画というものは、「作り手側の状況」と「劇中のキャラクターの状況」が極めて似通っている場合が多い…ような気がします。

例えば、ボクシング映画の金字塔的名作『ロッキー』。

 

ご存知、シルベスター・スタローンの大出世作ですが、この映画が公開されるまでスタローンは役者として全く知られておらず、どん底の極貧生活を送っていました。

しかし、「底辺ボクサーが苦難を乗り越えてスターに成り上がる」という『ロッキー』の脚本を自ら書き上げ、自分で主役を演じたことで、スタローン自身も本物のスターになったわけです。

つまり、『ロッキー』自体はフィクションなんだけど、映画の中では「作り手側の状況」と「劇中のキャラクターの状況」が見事にシンクロしてるんですよ。

すなわち、『ロッキー』を観ている観客は主人公のロッキーを通してシルベスター・スタローンの生き様そのものを目撃をしているわけで、そこに感動が生まれたんですよね。

カメラを止めるな!』も同じく、「少ない予算と厳しい環境の中、スタッフみんなが懸命に頑張って映画を作り上げる」という劇中の状況と実際の状況が完全に一致してるんです。

しかも「ワンカット映画の撮影中に次々とトラブルが起きる」というストーリーもそのまんま(実際に現場でもアクシデントが頻発していたらしいw)。

もちろん、事前に「予算300万円」の情報が流れていたせいもあるかもしれませんが、たとえ裏話を知らなくても、映画を観ていればそれぞれのキャラクターを通じて出演者やスタッフたちの心情はしっかり伝わってくるでしょう。

だって、彼らにとってはフィクションじゃなくて”本物”だから(笑)。それこそが『カメラを止めるな!』の面白さであり、最大の魅力だと思います(^.^)

カメラを止めるな!

映画『カメラを止めるな!』より

 

『カメラを止めるな!』スピンオフ『ハリウッド大作戦!』の感想(ネタバレ)

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!』スピンオフ『ハリウッド大作戦!』

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

昨日、AbemaTVで『カメラを止めるな!』のスピンオフドラマ『ハリウッド大作戦!』が配信されました。

ザックリあらすじを説明すると「前作『ONE CUT OF THE DEAD』から半年後、ヒロインの千夏はアメリカへ渡り、ハリウッドが見えるレストランでウェイトレスをしていた。髪を金髪に染め、新しい人生を歩もうとしていた彼女だったが、またしてもゾンビに襲われて…」みたいな感じ。


※以下、『カメラを止めるな!』のネタバレがあります。未見の方はご注意ください!


さて、『カメ止め』を観た人ならだいたい想像がつくと思いますが、このスピンオフもドラマが二重構造になっています。

つまり、前半で『ONE CUT OF THE DEAD』の続きをワンカット長回しで見せ、後半で1か月前に遡り、監督や俳優やスタッフがどうやってこの映画を撮ったのか裏側を見せる、という構成です。

プロデューサーに再び無茶ぶりされた日暮監督(濱津隆之)が、「大丈夫かなあ…」と心配そうな表情を浮かべながらも仕事を引き受け、例によって現場が大混乱に陥るという、安定の”カメ止め展開”でした(笑)。

また出演者も、「よろしくで~す♪」でお馴染みの秋山ゆずき、日暮監督の奥さんのしゅはまはるみ、娘の真魚、自分で撮影したくて仕方がないカメラマン助手(浅森咲希奈)、適当なことしか言わないプロデューサー(大沢真一郎)など、『カメ止め』のキャラがほぼ全員再集結。

さらに、前半のワンカット映像で”フリ”を作り、「あれ?何か変だな…?」と観客に思わせ、後半でその違和感の正体を解明していくというパターンも一緒です。

そういう意味ではスピンオフというより、完全に『カメラを止めるな!』の続編であり、『カメ止め』の要素を1時間に凝縮した「ショート・バージョン」と言っていいでしょう。

「じゃあ、これを『カメ止め』のパート2として映画館で上映すればよかったんじゃないの?」

そう感じた人も多かったようです。実際、本作を2時間の映画として再構成し、『カメラを止めるな!2』として劇場公開すれば、それなりに話題になったかもしれません。

しかしその場合、おそらく『カメラを止めるな!』ほどのヒットにはならなかっただろうと思います。それはなぜか?

まず続編映画を作る場合、「前作でウケた要素」を必ず入れることが重要です。1作目のファンはそれを期待しているわけですから、「前作に登場したキャラを出す」「前作と似たような展開にする」等は必須条件でしょう。

でも、ストーリーをちょっと変えただけで「前作と同じキャラ」「前作と同じ展開」、そういう映画で観客は果たして満足できるのでしょうか?

例えば『シックス・センス』の続編を作るとして、あのラストから数年後のストーリーを、同じようなオチで描いたとしたら、それはちょっと厳しいんじゃないのかなと。なぜなら観客は『シックス・センス』がどういう映画かすでに知っているからです。

カメラを止めるな!』の場合も、「37分間のワンカット撮影」や「前半の伏線を後半で回収していくスタイル」や「様々なアクシデントに必死で立ち向かう撮影スタッフたちの姿」などを見て、観客は驚き感動したわけですから、その辺の要素は絶対に外せません。

とは言え、それらのフォーマット通りに続編を作ったら、すでに『カメ止め』を知っている人にとってはサプライズが無いわけで、「前作と同じものを期待しているが本当に同じ映画を作っても満足できない」というジレンマに陥ってしまうのですよ、トホホ。

こういう”矛盾”が続編映画の難しさなんですけど、今回の『ハリウッド大作戦!』は映画ではなく、1時間枠のネット配信ドラマとして公開した点が良かったと思います。

前作のフォーマットを使いつつ、舞台がハリウッドになったことでスケール感もアップしてるし(してないw)、前作の「家族愛」にかわって真魚の「恋愛物語」がフィーチャーされ、さらにお馴染みのキャラのその後の活躍を見ることが出来るという、まさにファンサービス満載の内容と言えるでしょう。

もちろん劇場作品に比べてボリュームは少な目ですが、その分気軽に観れるし、もしかすると予算はこっちの方が多いかもしれません(笑)。そういう意味でも「ネット配信」という方法は正解だったのではないでしょうか(^.^)