ひたすら映画を観まくるブログ

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映画『日本沈没』(2006年)はこうして作られた

日本沈没

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どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて本日、日曜劇場にて日本沈没ー希望のひとー』の最終回が放送されます。本作は、小栗旬さん扮する環境省官僚:天海啓示らが日本全土を襲った未曽有の大災害に立ち向かう姿を描いた連続ドラマで、初回放送時から高視聴率を獲得。

田所博士が予見した「日本沈没」のシナリオを公表したことで、国民は大混乱に陥り株価も暴落し、天海たちが移民先を求めて必死に海外と交渉を重ねるものの、次々と予期せぬ困難が立ちふさがり…

そんな『日本沈没ー希望のひとー』もいよいよ最後ということで、果たしてどんなラストを迎えるのか気になりますねぇ(最終回は2時間3分スペシャル)。

なお、原作は1973年に刊行された小松左京さんの同名小説ですが、内容にかなりのアレンジが加えられ、「原作と違いすぎる!」などの声も上がっていました。

原作の主人公は深海潜水艇の操艇者(小野寺)ですが、今回のTVドラマ版では危機対応に奔走する環境省の官僚を主人公とし、さらに近年関心が高まっている「環境問題」を盛り込むなど、全く異なるアプローチが成されていたからでしょう。

しかし、『日本沈没』の内容に手が加えられるのは今回が初めてではありません。この作品は過去に何度も映像化され、その度に様々な形でアレンジされてきたのですよ。

例えば、1973年に公開された映画版では、原作では名前もほとんど出なかった総理大臣を丹波哲郎が演じたことで、役柄的に大きくクローズアップされました(観客動員数880万人、興行収入40億円の大ヒットを記録)。

そして1974年に放送されたテレビ版でも、主人公の小野寺の婚約者が地震に巻き込まれて死亡したり、田所博士に関するドラマなどもかなり変更されています(東宝とTBSの協力により映画版と同時進行で撮影したため、ミニチュア特撮のクオリティがすごい!)。

さらに2006年に公開された映画版では、監督を務めた樋口真嗣さんの「原作とは全然違うストーリーにしたい」という要望に従い、小野寺(草彅剛)とヒロインの玲子(柴咲コウ)の恋愛ドラマがメインになりました。

まぁ、「恋愛ドラマ的な要素の追加」はプロデューサー側の意向でもあったのですが、案の定、「原作と違いすぎる!」などの批判が殺到。しかし、2006年公開の映画の中では『ミッション・インポッシブル3』を抜いて興行収入53.4億円の大ヒットを記録しました。

ちなみにこの時、樋口監督はラブシーンを撮るのが初めてだったため、「どうしていいか全然分からなかった」とのこと(以下、監督の証言より)。

それで、撮影前に剛君とコウちゃん(柴咲コウ)と三人で「さあ、このシーンどうしよう?」みたいな感じで色々話し合ったんです。ああいう場面の演出って、結局自分が今まで何をしてきたかってことが出てくるじゃないですか?だから、いまだにあのシーンを見ると、若気の至りじゃないけど、恥ずかしくて仕方がない(笑)。

つまり、図らずも樋口監督が今までの人生で培ってきた“恋愛観”みたいなものが、あのシーンで一気に露呈してしまった…ということらしい(そりゃ確かに恥ずかしいわw)。一方、草なぎさんの方は以下のように語っていました。

とにかく凄く熱いんですよ、樋口監督の演出って。特に熱くなっていたのは、小野寺と玲子のテントの中でのシーン。監督自ら小野寺を演じて見せてくれて、「玲子オォ~!」とか叫んだりしてたんですが、そんなセリフは台本のどこにも書いてないんですよ(笑)。

どうやら樋口監督の演出はめちゃくちゃアグレッシブだったようですね(笑)。これに関して樋口監督は以下のようにコメント。

いや、実際にラブシーンを剛君の前で演じて見せたのは、ああしろこうしろって言葉で説明するよりも、「俺はこう思うんだ!」みたいなことをぶつけた方がいいと思って一生懸命伝えようとしたら、いつしか身体が動いちゃってた…ということなんですけど(笑)。

とにかく剛君もすごい照れてたんですよ、ああいうシチュエーションに対して。だから、そういう気持ちを何とか無くさなきゃいけないと思って、まず俺自身が人身御供になったという。ポール・バーホーベンを理想とする演出家としては、「脱げと言われたら俺が脱ぐ!」ぐらいの心意気で(笑)。

ポール・バーホーベン監督と言えば、『スターシップ・トゥルーパーズ』の撮影中、裸になるのを躊躇していた俳優たちの目の前で自ら進んで全裸になり、「君たちも脱げ!」とカメラマンや現場のスタッフも全員全裸にさせて撮影を続行したという豪快なエピソードが有名です(今なら大問題でしょ、コレw)。

そんなとんでもない映画監督を「理想の演出家」に挙げている時点で、「どうかしている」と思わざるを得ませんが(笑)、非常に”樋口監督らしさ”を感じさせますね。柴咲コウさんも監督について以下のように語っています。

CG合成の部分とか、どんな画になるのか想像がつかなかったので監督に聞いたんですけど、監督って説明のときに”擬音”が多いんですよ。「ここはグワァーッとなってて凄いんです!」とか(笑)。どういう風に凄いのか、そこを教えて欲しいのに(笑)。だから正直、よくわかんなかったですね(笑)。

いやいや、樋口監督ダメでしょ(笑)。ちなみに撮影自体も色々と大変だったらしく、漁船で避難するシーンを撮ろうとしたら「そんなにいっぱい人を乗せたら沖に出られないよ」と漁師さんに言われ、「じゃあ片側に人を並べて大勢が乗っているように見せよう」としたら「転覆するだろ!」と怒られたとか(笑)。

また、小型船に乗った人々が大型船に合流するシーンを撮ろうとしたら、どんなに探してもチャーターしたはずの大型船が見つからず、そのうちに日が暮れてきたため焦った樋口監督が「もう、その辺にいる船と交渉して撮らせてもらおう!」と言い出し、無関係の船で強引に撮影したりとか(笑)。

しかも、スタッフが船に乗って海上をウロウロしていたら「君らはいったい何してるんだ?」と千葉県の水上警察に止められて色々と質問されたとか、もう踏んだり蹴ったりだったそうです(大変だなぁw)。

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