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『十二人の死にたい子どもたち』ネタバレ感想/解説

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて本日、金曜ロードSHOW!『十二人の死にたい子どもたち』が放送されます。原作は冲方丁のミステリー小説で、『トリック』や『SPEC』などでお馴染みの堤幸彦監督によって映画化されました。

ざっくりあらすじを紹介すると、「集団安楽死を目的として廃病院に集まった12人の少年少女たちだったが、そこにはなぜか死体が一つ。謎の”13人目の参加者(ゼロバン)”をめぐって繰り広げられる密室での心理戦。果たして彼は何者なのか?そして彼を殺した真犯人は誰なのか…?」という内容です。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

まあ、”密室ミステリー”となっていますが、実際は病院内を自由に歩き回ることが出来るし、外への出入りも自由なので、言うほど”密室感”はないんですよね(笑)。

また、基本的に会話劇が中心で、しかも『金田一少年の事件簿』のように「12人のメンバーが次々と殺され…」みたいな連続殺人事件的な見せ場もないので、少々地味な印象を受けるかもしれません。

しかし、登場する12人のキャラクター一人一人が「何らかの思惑」を胸に秘め、それがストーリーに微妙な影響を与えているが故に、物語の進行と共に少しずつ謎が解明されていくことによってカタルシスが得られるわけです(序盤から至る所に伏線が張り巡らされているので、細かい描写も見逃さないように)。

また、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』や『いだてん』などで注目された杉咲花、『パシフィック・リム:アップライジング』や『ちはやふる』などの新田真剣佑、『セーラー服と機関銃-卒業-』や『銀魂』などの橋本環奈、『君の膵臓をたべたい』や『君は月夜に光り輝く』などの北村匠海、『仮面ライダー鎧武/ガイム』の高杉真宙など、若手人気俳優が多数出演している点も見どころでしょう。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

1番:サトシ(高杉真宙
2番:ケンイチ(渕野右登)
3番:ミツエ(古川琴音)
4番:リョウコ(橋本環奈)
5番:シンジロウ(新田真剣佑
6番:メイコ(黒島結菜
7番:アンリ(杉咲花
8番:タカヒロ萩原利久
9番:ノブオ(北村匠海
10番:セイゴ(坂東龍汰
11番:マイ(吉川愛
12番:ユキ(竹内愛紗

 

ちなみに、12人が”集いの場”に初めて勢揃いし、それぞれが簡単に自己紹介して「いるはずのない13人目」に気付くまでの長いやり取りのシーンは、完成映像では編集でカットを割っていますが、現場では5台のカメラを同時に回してノンストップで一気に撮影したそうです(しかも誰もNGを出さなかったらしい。すげー!)。

さて、死体を発見して話し合いの結果、「花壇の場所にあった帽子とマスクは誰のものか?」「1階ロビーの自動ドアはなぜ作動していたのか?」「女子トイレにあった靴は死体が履いていたのか?」「6階のエレベーターに挟まっていた椅子は誰が置いたのか?」など、気になるポイントを調査することになった12人は4つのグループに分かれて行動します。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

まず、マイ・セイゴ・ケンイチ組は花壇の場所に捨ててあった帽子とマスクを回収(ついでにベンチの側でタバコの吸い殻も拾う)。

タカヒロ・アンリ・メイコ組は6階へ行ってエレベーター前の椅子を確認(その途中で片方の靴を見つける)。シンジロウ・ノブオ・ユキ組は1階の自動ドアを調べ、「車椅子の人間が自動ドアのスイッチを入れることは出来ない。したがって誰か協力者がいたに違いない」と推理する。

そしてミツエ・リョウコ組は女子トイレで片方の靴を回収し、大きさから「ゼロバンかどうかは分からないが、男性のものだろう」と判断するわけですが、それぞれが別々の場所で行動しているうちに、徐々に彼らの背負っている”苦悩”や”秘密”が明らかになっていくのですよ。

ただ、一つ気になったのは屋上でみんなが集まっている時、タカヒロから「君が殺したの?」と指摘されたノブオが「うん、俺がやったんだ」と認めた後、階段を下りている途中で誰かに突き飛ばされ、しばらく物語から離脱するんですけど、あの状況でそんなことをやったら(後に犯人はメイコと判明するんですが)すぐにバレちゃうんじゃないの?と。

なぜなら、階段を下りるドアは一つしかないし、ノブオ以外に屋上にいたのは5人だけなので、「誰がノブオの後に階段を下りて行ったのか?」は簡単に分かるはずだから。このシーンの後、すぐ”集いの場”に映像が切り替わるのもちょっと不自然ですよねえ(そもそも階段から落ちた後はどこにいたのか?)。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

まあ、他にも変な場面はいっぱいあるんですけどね(”集いの場”からベッドを移動して死体を乗せて、また元に戻す作業を誰にも見つからずにたった一人でやるのは相当無理があるだろうしw)。

そのせいかどうかは分かりませんが、公開時はかなりの低評価だったようで、「密室を舞台に繰り広げられるシリアスなミステリーかと思ったのに全然違った!」とか「とんだ茶番劇だ!」などの批判も多かったらしい。

でも、この物語は「安楽死を願う大勢の人たちが集まり集団自殺を実行しようとするものの、イレギュラーな出来事をきっかけに議論し合うことで一人一人が命の大切さに気付き、最終的には誰も死なないまま解散する」という、非常にいいラストというか、何かのカウンセリング的な雰囲気を感じるというか(笑)、「思ってたのとは違うけど、これはこれでいいかもしれない」という意味では割とユニークな映画でしたよ(^.^)