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衝撃の実話!『ハクソー・リッジ』ネタバレ映画感想/評価


どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

昨日、WOWOWシネマアンドリュー・ガーフィールド主演の戦争映画ハクソー・リッジが放送されました。本作を撮ったのはメル・ギブソンで、『アポカリプト』以来10年ぶりの監督作になります。

※以下、ネタバレしているので未見の人はご注意ください!

■あらすじ『厳格なクリスチャンの家庭に育ったデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、子供の頃の出来事をきっかけに「汝、殺すことなかれ」という教えを守ろうと心に誓った。やがて成長したデズモンドは看護師のドロシー(テリーサ・パーマー)と出会い、恋に落ちる。そんな中、激化する戦争に「自分も国のために何かしなければ…」と考え、陸軍に志願。しかし銃の訓練を拒否したことで軍法会議にかけられるデズモンド。果たして彼の運命は…』


さて、この『ハクソー・リッジ』は実話ベース、つまり太平洋戦争時に実在したデズモンド・T・ドスという兵士の活躍を描いた”戦争映画”なんですが、最大の特徴は「主人公が全く人を殺さない」という点なんですよ。

通常、”戦争映画”といえば大規模な戦闘シーンが見どころであり、敵味方が入り乱れて激しい戦いを繰り広げる中、主人公がどんな行動をとるか…などのドラマが描かれていました。

過去には『プライベート・ライアン』や『プラトーン』、日本でも岡本喜八監督の『激動の昭和史 沖縄決戦』など、古今東西様々な戦争映画が作られてきたのです。

しかし、「戦場のド真ん中にいるのに一切銃を撃たない主人公」は珍しいというか、かなり特殊なパターンなのではないでしょうか?

なぜそんな状況になったのかと言えば、デズモンドが敬虔なクリスチャンで、「汝、殺す無かれ」という「モーセ十戒」における戒律を忠実に守っているからです。

そのため、「銃の訓練は人殺しに繋がるから嫌だ!」と拒否したわけですが、自ら志願して陸軍へ入ったにもかかわらず「銃には触れません」などと言い放つデズモンドを見て、「お前は何しに軍隊へ来たんだ?」と上官は呆れ返ります(そりゃそうだw)。

当然ながら軍曹や大尉からは「我々の命令に逆らうのか?」と厳しく叱責され、仲間からも「臆病者!」とバカにされ、激しいイジメや暴力まで振るわれますが、それでも銃を取ることを拒み続けるデズモンド。

そしてとうとう軍法会議にかけられ、「命令違反の罪を認めて除隊に応じなければ刑務所行き」という絶望的な状況にまで追い込まれてしまいました。

この段階になると、厳しく非難していた上官(サム・ワーシントン)もさすがにデズモンドのことが憐れになったのか、「戦争は俺たちがやるから、お前は除隊して国へ帰れ」と優しい言葉で説得し始めます。

また、結婚の約束をしたドロシーも「あなたはもう十分に頑張ったわ」と何とか諦めさせようとしますが、それでもデズモンドの意思は固く、一切主張を変えようとしません。

「信念を曲げたら僕は生きていけない」

欅坂46の『不協和音』の歌詞みたいなセリフをつぶやき、頑なに軍部の命令を拒否するデズモンド。そう、この物語の主題は「最後まで信念を貫き通す主人公のブレない姿勢の素晴らしさ」なんですね。

結局、軍法会議の途中で入って来た父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の直訴のおかげで刑務所行きを免れたデズモンドは、衛生兵として戦争に参加することになりました。

そして1945年5月、彼が配属された部隊は沖縄に到着。先発部隊が6回登って6回撃退された難攻不落の激戦地「ハクソー・リッジ」を前にして青ざめる兵士たち。

高さ150メートルの断崖絶壁を登ると、そこはまさに阿鼻叫喚の地獄絵図!見渡す限り死体の山という、百戦錬磨の鬼軍曹ですら目を背ける凄惨な光景が広がっていました。

そんな恐ろしい戦場に足を踏み入れた兵士たちは、歩き出した途端に四方八方から猛攻撃を受けてバタバタと倒れていきます。その映像の凄まじいこと!

戦争映画における残酷描写は『プライベート・ライアン』以降どんどん激しさを増していますが、本作では顔面を半分吹き飛ばされたり、手足が千切れたり、内臓がはみ出るなど、グロシーンも大幅にパワーアップ!

中でもビックリしたのが、地面に転がっている兵士の死体を拾って”盾”のように使う場面ですね。もうアーノルド・シュワルツェネッガーの『トータル・リコール』以来の衝撃シーンでした(笑)。

しかも、下半身が千切れて半分しかないから、”ちょうど持ちやすい大きさ”になってるんですよ(さすがにこれはフィクションだろうなあw)。

あと、爆破シーンの激しさにも驚きましたね。普通、映画で爆発場面を撮る時は、安全性を考えて人間から離れた場所に爆発物を設置するのが基本じゃないですか?

ところがこの映画では、兵士のすぐ側でもの凄い大爆発が起きてるんですよ。なんと、その距離わずか60センチ!あり得ないほどの近さです。なぜこんな撮影が可能だったのか?

特殊効果担当者曰く、「容器に入った爆発物を埋めずに地面に置いて、中に入っている破片が高速で飛び散る様子を映している。だから大爆発のように見えるが、実際は近くに立っていても安全なんだ」とのこと。

しかし映像を見ると、爆破の炎に包まれる瞬間がはっきりと映っていて、「本当にスタントマンは大丈夫なの?」と心配せずにはいられません。この件に関してメル・ギブソンは「問題ないよ。まあ多少は熱いが…」とコメント。やっぱり熱いんかい!(笑)。

そんな地獄みたいな戦場で、デズモンドは一人だけ武器も持たずに仲間を助けていくわけです。ただ、いくら助けても次から次へと負傷者が出るんですよ、あまりにも戦闘が激しすぎて。

そして、とうとう日本軍の攻撃に耐え切れなくなったアメリカ軍は退却を始めます。しかし、戦場にはまだ大勢の負傷兵が残っている。自分の無力さを痛感し、「主よ、僕はどうすれば…?」と悩むデズモンド。

その時、遠くの方から「助けてくれ!」と叫ぶ声が。それを聞いた瞬間、「神様、分かりました!」とつぶやき、爆音が鳴り響く危険な戦場へ、たった一人で戻っていくのです。

しかし彼は武器を持っていないため、いつ敵にやられるか分かりません。そんな危機感しかない状況の中でも、降り注ぐ銃弾をかいくぐり、負傷者を見つけては治療&救助し、崖の下へ降ろしていく。

大変な労力ですが、デズモンドはこれを何度も何度も繰り返し、体力が尽きて挫けそうになると「主よ、お願いです。あともう一人だけ助けさせてください」と天に祈り、ボロボロの体を引きずって再び負傷者を捜すために戦場へ戻っていくのです。

銃を持たない彼が唯一持っているのは、”勇気”と”揺るぎない信仰心”だけ。それだけを武器に、たった一人で70人以上の仲間の命を救ったのです。

これはもう、完全にヒーロー映画ですよ。上官や仲間たちから「臆病者」とバカにされ、誰にも認められなかった主人公がクライマックスで大活躍し、最終的に「あいつは凄いヤツだ!」と皆から賞賛されるという、まさにヒーロー映画の王道的な展開です。


普通、「戦場における評価の基準」っていうのは「どれだけ多くの敵を倒したか?」で決まり、今までの戦争映画でもそういう人が”英雄扱い”されていました。でも本作の場合は「どれだけ多くの人を救ったか?」という部分で評価されてるんですね。

そういう意味では、もの凄く分かりやすいヒーロー映画であると同時に、恐ろしく残虐な戦争映画でもあるという、歪なバランスで構成された娯楽作品と言えるでしょう。

まあ正直、「主人公に弾が当たらなすぎだろ」とか、「一人で70人以上も助けた?そんなリアリティのない話があるか!」と思わなくもないんですが(笑)、実話なので文句は言えません(^_^;)

ちなみに、”飛んで来た手榴弾をデズモンドが華麗に蹴り落とす”というシーンを観て、「カッコいいけどさすがに脚色しすぎじゃないの?」と思っていたら、なんとこれも実話だそうです。

その他にも、映画では描かれていない凄いエピソードがたくさんあったにもかかわらず、「あまりにも現実離れしすぎて観客は誰も信じないだろう」との判断で全部カットされたらしい。う〜む、まさに”事実は小説よりも奇なり”ですなあ(笑)。


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