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『ハムナプトラ3』の女優交代問題を考えてみた/ネタバレ解説

■あらすじ『古代中国。暗黒の魔力を持ったアー・シン・ハン皇帝(ジェット・リー)は、娘のツイ・ユアンミシェール・ヨー)に不死の魔術を発見させるが、恋人を殺された彼女は皇帝と臣下全員を呪いにかけて封印してしまう。それから約2000年後の1946年。リック(ブレンダン・フレイザー)とエヴリン(マリア・ベロ)のオコーネル夫妻は、不死の力を宿すブルー・ダイヤ“シャングリラの眼”を上海の博物館へ戻す任務に従事していた。すると、ハーバード大学に留学しているはずの息子アレックスと再会。実は彼は、2000年前の皇帝陵を発掘していたのだった。しかし、一家が博物館を訪れると、中国を世界最強の国にしようと目論む館長とヤン将軍(アンソニー・ウォン)が“シャングリラの眼”を奪い取り、皇帝を生き返らせてしまう!果たして世界の危機を救うことは出来るのか?ブレンダン・フレイザー主演の人気シリーズ第3弾となるアクション・アドベンチャー!』



本日の金曜ロードSHOW!ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝である。しかし……う〜ん、このシリーズって前作までは結構面白かったんだけどねえ。監督がスティーブン・ソマーズからロブ・コーエンに変わったことが影響しているのかどうか分からないが、明らかにテンションが落ちてて残念な感じになってしまった。

といっても、決して面白くないわけじゃない。派手なアクションやCG満載のVFXは相変わらず迫力満点。内容的にも今までと大きく変わらないし、ロブ・コーエンの作風もそんなに方向性としては間違っていないと思う。なのに、どうしてイマイチ盛り上がらないんだろう?

まず、ジェット・リーが出演すると聞いて凄いアクションを期待していたのに、想像以上にアクションシーンが少なくてガッカリ…という点が一つ。せっかくミシェル・ヨーと共演しているのだから、二人の絡みをもっと見たかったんだけどなあ(そもそも童顔のジェット・リーに悪役は似合わない)。

あと、ストーリーが荒唐無稽なのはともかく、すでに舞台が中国に移って全然”ハムナプトラ”じゃないのにハムナプトラのシリーズと言い張り続けるのってどうなのよ?とか(でもまあ、「人気シリーズの三作目」ってこんなものかもしれないけれどw)。

しかし一番残念なのは、ヒロインのエヴリン役を演じていたレイチェル・ワイズが降板したことだろう(公式では「スケジュールの都合」となっているが、「脚本を読んで難色を示した」という説が濃厚)。コメディエンヌとしての資質も兼ね備えた彼女がいなくなったことで、映画全体のユーモアが激減してるんだよね。

新しくヒロインになったマリア・ベロという女優さんも悪くはないんだけど、レイチェル・ワイズに比べると「キャラの魅力に乏しい」と言わざるを得ない。詳しい事情は知らないが、レイチェルが出演できないのであれば、それに合わせてシナリオを書き変えるべきだったのではないだろうか?

例えば、「エヴリンは不幸にも病死したことにして、リックは悲しみを癒すために中国へ旅に出て新たな恋に出会う」というストーリーでもよかったんじゃないかなあ(「辛い経験を乗り越えて逞しく成長する主人公の姿」も描けるし、娯楽映画として成立させやすいはず)。知らないフリしてそのまま”新エヴリン”を登場させるのは、さすがにちょっと無理があると思うぞ。

なお、ロブ・コーエン監督は本作について「これは結婚して20年経ち、妻に対して情熱を失ってしまった夫の物語だ」と述べており、「ブレンダン・フレイザーマリア・ベロからは、倦怠期に入った夫婦の匂いを感じることが出来るだろう」とコメント。

そしてマリア・ベロは「レイチェル・ワイズはとても美しかったし、エヴリン役を見事に演じていた。でも結婚して20年も経てば分かるでしょ?そんなにロマンチックでもエキサイティングでもないわ。夫婦の間にも退屈な空気が流れていたりするのよ。監督は今回、20歳の息子がいる女性として成熟した感性やセクシーさを求めていたの」とコメントしていました。

う~ん、レイチェル・ワイズがキャスティング出来なかったから、マリア・ベロに合わせてテーマを変えたとしか思えないなぁ…

ちなみに、「シリーズの途中でヒロイン役の女優が変わる」って状況は意外と多くて、有名な映画で言えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もその一つ。1作目でジェニファーを演じたのはクローディア・ウェルズだったが、2作目では突然エリザベス・シューに変わっている(『BTTF』の場合は、ヒロインがストーリーに関わる割合が少なかったおかげで違和感はあまり無かったが)。

また、最近の例では『トランスフォーマー』シリーズのヒロイン:ミカエラ役のミーガン・フォックスマイケル・ベイ監督の逆鱗に触れて途中降板させられ、『トランスフォーマー3 ダークサイド・ムーン』では新たなヒロインとしてカーリー・スペンサー(ロージー・ハンティントン=ホワイトリー)が登場。あっさりヒロインを交代させていた。

つまり、シリーズの途中で女優が降板した場合、「そのまま別の女優に同じキャラを演じさせる」か、あるいは「そのヒロインは死んだ(またはいなくなった)ことにして新キャラを登場させる」か、大きく二つのパターンに分けられるのだ。問題は「どちらの方法を選択するか」ってことだろう。

例えば『バットマン ビギンズ』ではヒロインのレイチェル役をケイティ・ホームズが演じてたが、『ダークナイト』ではマギー・ギレンホールに変わっている(特に何の問題も起こらなかったどころか気付かない人もいたらしい)。

また、『羊たちの沈黙』ではクラリス役のジョディ・フォスターが、続編『ハンニバル』ではジュリアン・ムーアに交代。どちらの映画も、バットマンレクター博士のイメージの方が強烈なので、ヒロインのキャラはそのままで演じる女優が変わっても影響は少なかったと考えられる。

ところが、『ハムナプトラ』シリーズのエヴリンはストーリーに深く関わっている上に、リック(ブレンダン・フレイザー)との絡みも多く、「二人合わせて主人公」と言えるぐらい重要な役割だった。何よりも、レイチェル・ワイズ自身の存在感が圧倒的だったのである。そういう部分を無視して”中の人”だけ変えてしまうのは、いくらなんでも安直すぎるだろう。

せめてレイチェル・ワイズに似た雰囲気の女優をキャスティングするとか、もう少しイメージを考えて欲しかったところだ(個人的にはマリオン・コティヤールが良かったんだけどねえ。美人だしコメディもいけるし…)。でもまあ、ヒロインはそのままで主人公だけが変わった『スピード2』のパターンよりはマシかもしれないけど(笑)。

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