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実写映画版『機動警察パトレイバー』を観る前に知っておくこと


■まず、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』第1章から第7章までを総括してみる
※少々ネタバレあり

押井守監督作品THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』を観て来た。この映画は、1980年代にOVA企画としてスタートしたロボットアニメ『機動警察パトレイバー』の実写版である。後にゆうきまさみが漫画を描き、TVアニメ化もされた(メディアミックスの先駆け的な)作品だが、元々はオリジナルビデオから出発していたものだ。

このOVAが画期的だったのは、当時のビデオが1本1万円以上していた時代に、4800円という驚異的な低価格を実現し、異例の大ヒットを記録した点である。いったい何故そんなに安く売ることが出来たのか?と言うと、製作費がメチャクチャ安かったからだ。

当時のOVAの製作費は1本30分で2000万円から3000万円ぐらい掛かっていたのに対し、『機動警察パトレイバー』は6000万円で6本作ってしまったのである(つまり、1本1000万円しか掛かっていない)。これは、テレビシリーズに比べても高いとは言えず、OVAとしては破格の安さだった。

この激安価格を実現するため、スタッフには印税が払えず、押井守を含むヘッドギアのメンバーは全員ノーギャラだったらしい。当然、スタッフから文句が出たものの、プロデューサーは「ビデオが100万本売れたらハワイに連れて行くから我慢して!」と言って強引に押し切ったそうだ(結局、100万本には達せずハワイ旅行も実現しなかった)。

また、ストーリーも出来るだけレイバーを動かさないようにすることで、作画の枚数を限界まで減らしてコストを節約。さらに、ドラマの途中に企業のCMを入れて広告費を捻出したり、撮影用フィルムを富士フィルム製から安いコダック社製に変えるなど、徹底した省エネ戦略を貫いたという。

こうした涙ぐましい努力によってOVAは大ヒット。劇場用長編アニメが製作されることになり、『機動警察パトレイバー the Movie』、さらに続編の『機動警察パトレイバー2 the Movie』が作られた。そして、今回の実写映画版はその機動警察パトレイバー2 the Movie』の続編(後日譚)という位置付けなのである。

したがって、まずアニメ版を観ていなければ誰がどういう関係なのかも理解できず、ストーリーを十分に楽しむことは難しいだろう。さらに可能であれば、昨年からシリーズで製作されている短編実写版『THE NEXT GENERATION パトレイバー』のエピソード0からエピソード12も事前に観ておいた方がいいかもしれない(特にエピソード12は本編に絡んでくるので)。

とは言え、エピソード0を含めて全13本の物語を全部観るのはなかなか大変だ。そこで今回、僕自身が観た印象を独断と偏見で下記に記しておくので、何らかの参考にしていただければ幸いである(まあアニメ版さえ観ていれば大丈夫という説もあるが)。


●エピソード0「栄光の特車二課」
本編に入る前のプロローグ的なエピソード。特車二課の設立から現在にいたるまでの知られざる歴史を、アニメ版でシバシゲオ役を演じていた声優の千葉繁が同じテンションで説明している(千葉繁の独演会状態)。ストーリーがほぼ存在しないので、見なくても特に問題無い。

●エピソード1「三代目出動せよ」
事件が何も起きず、ひたすら待機している特車二課の”怠惰な日常”を延々と映し出すという、押井守アニメではお馴染みのシチュエーションをそのまま実写で再現したエピソード。「出動要請があったと思ったら誤報だった」の繰り返しで観ているこっちの気分も段々疲弊してくる。レイバーの出番はラスト5分のみ。

●エピソード2「98式再起動せよ」
警備部恒例の装備総点検にて、警視総監の前で礼砲を撃つことになったため、整備班は総力を結集して武装の点検に取りかかる。実物大で作ったリボルバーカノンを引っ張り出し、「37ミリ執行実包、ま、実弾のことですが、実はこれ弾頭の実径じゃない」などと蘊蓄を語り出すシーンは、劇場アニメ第3作『WXⅢ』の同時上映作品として作られた『ミニパト』のエピソードに近い。

まあ『ミニパト』を知っている人は「おお!」となるかもしれないが、単に会話シーンが延々と続くだけなので、普通の人にとっては退屈極まりないエピソードに映るだろう。特に観る必要性を感じない。

●エピソード3「鉄拳アキラ」
ゲーム好きな泉野明が非番時にゲーセンで遊んでいると、謎の中年オヤジ(竹中直人)に出会う。腕に自信のある明が挑戦するものの、強すぎるオヤジに完敗。リベンジを誓う明のゲーム修行が始まった…!という、パトレイバーとは何の関係も無い完全な番外編エピソード。竹中直人は、どうせなら『首都決戦』の方に出て欲しかった。

●エピソード4「野良犬たちの午後」
近所のコンビニに買い出しに出かけた泉野明は、2人組のテロリストに遭遇し、他の客や店員とともに身柄を拘束されてしまう。1軒のコンビニを舞台に繰り広げられる壮絶な銃撃戦が見どころ。はっきり言ってレイバーはほとんど関係ないのだが、話のテンポも早く、ガンアクションも迫力満点なので退屈しない。

●エピソード5「大怪獣現る 前編」
たまたま慰安旅行で熱海に来ていた特車二課のメンバーが、謎の巨大生物に遭遇するエピソード。例によってレイバーの活躍はほぼ皆無。見どころは女性キャラの入浴シーン。

●エピソード6「大怪獣現る 後編」
そもそも前編と後編に分ける必要があるのか?という感じだが、後編でいよいよ謎の巨大怪獣の正体が判明する。樋口真嗣の弟子(?)の田口清隆が手掛けた特撮シーンが見どころか。イングラムの発砲場面もあり。

●エピソード7「タイムドカン」
ある日、特車二課に爆弾魔から電話がかかる。半信半疑のメンバーだったが、その直後に爆発!果たして仕掛けられた爆弾を見つけ出し、無事に解除できるのか?というサスペンス。なかなか面白いがレイバーの出番はない。

●エピソード8「遠距離狙撃2000」
日本を訪問中だったロシア高官が何者かに狙撃され、警視庁公安部はカーシャに対抗狙撃(カウンタースナイプ)を命じる、というカーシャ(太田莉菜)が主役のエピソード。カーシャはドラグノフSVDスナイパーライフル、敵スナイパーはRAIモデル500を使用し、互いに遠距離から狙撃し合うガンアクションが見どころ。レイバーが登場しないのはもちろん、特車二課のメンバーすら脇役になり下がっているが、ハードでカッコいい狙撃シーンにミリオタは大満足したらしい。

●エピソード9「クロコダイル・ダンジョン」
TVアニメ第38話「地下迷宮物件」と新OVA第13話「ダンジョン再び」を元ネタにしたエピソード(というより「ダンジョン再び」の続編?)。例によってレイバーはほとんど活躍せず、地下下水道を舞台にドタバタ騒動が延々と続くのみ。

●エピソード10「暴走!赤いレイバー」
国際テロリストを対象とする警視庁公安部外事第三課(外事警察)から特車二課に特命が下った。エピソード4で事件を起こしたテロリストが逃亡し、軍用レイバー「RT-99バウーク」強奪を企んでいるため、これを阻止せよ、と。

ここへ来て、ようやく特車二課の本来の業務が描かれることになった。つーか、もっと早くやってくれよ(笑)。クライマックスの軍用レイバー VS イングラムの対決シーンは必見!なお、エピソード8にも登場した外事第三課の高畑慧(高島礼子)はこの後『首都決戦』にも重要な役で登場している。

●エピソード11「THE LONG GOODBYE」
「高校時代のほろ苦い青春」を描いた泉野明(真野恵里菜)が主役のエピソード。ラブストーリーとして意外と良く出来ており、真野恵里菜のファンは観て損は無いかも。なお、当然ながらレイバーは微動だにしない。

●エピソード12「大いなる遺産」
「特車二課が解隊される」との噂を聞き付けた後藤田隊長は、初代隊長・後藤喜一が仕掛けたとされる”大いなる遺産”の謎を解くため、11年前にテロを首謀した柘植行人を訪ねて東京拘置所へ向かう。

まさに「押井守節全開!」なエピソード。退屈な会話シーンが延々と続くが、南雲しのぶや柘植行人など、アニメ版のキャラクターおよび『首都決戦』にも関わる重要人物が登場するので観ておいた方がいいだろう。レイバーの活躍?あるわけがない。

以上、全エピソードを視聴した所感を書いてみたのだが、レイバーが本格的に活躍するのはエピソード10のみで、それ以外は全て番外編と言っていい内容だ(まあ、『パトレイバー』って元々そういう話だったけどねw)。そんな中でもオススメはエピソード4と8で、かなりアクションを頑張っている。あとはエピソード12を観ていれば、とりあえず『首都決戦』を観ても大丈夫だろう(エピソード11も秘かにオススメ)。


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