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マイケル・ベイ監督作品『ザ・ロック』ネタバレ映画感想/解説


■あらすじ『戦死した兵士に敬意を払わない軍を腹に据えかねた古参のハメル准将(エド・ハリス)は、忠実な部下を連れVXガス搭載のミサイルを盗み出し、アルカトラズ島に立て籠もる。人質は観光客81人、その上ミサイルの照準をサンフランシスコに合わせ、1億ドルの身代金を要求。FBI科学兵器処理班のスタンリー・グッドスピード(ニコラス・ケイジ)は緊急招集を受け、アンダーソン隊長(マイケル・ビーン)率いるSEALチームへの参加を命じられた。水先案内を務めるのは、かつて脱出不可能と言われたアルカトラズ刑務所(通称ロック)から、唯一人逃亡に成功した元英国諜報部員ジョン・パトリック・メイソン(ショーン・コネリー)。一行は海中からロックの地下に潜入するが、歴戦の兵・ハメルの部下の前に、グッドスピードとメイソンを残し全滅する。サンフランシスコを救うため、軍は島を爆撃することを決定。タイムリミットへ向けて、必死にミサイル解体に挑むメイソンたちの運命やいかに!?製作:ジェリー・ブラッカイマー、監督:マイケル・ベイの黄金コンビが贈るサスペンス・アクション超大作!』



先日、リクエストを頂きましたので、今日はザ・ロックのレビューです。この映画、僕は1996年の公開時に映画館で観ました。ちなみに同時期公開映画は、『セブン』・『ミッション・インポッシブル』・『トイ・ストーリー』・『ヒート』・『ガメラ2』・『インデペンデンス・デイ』など。そんな中で『ザ・ロック』は全世界で3億ドルを越える大ヒットを記録し、日本でも30億円以上を売り上げたそうです。

さて、本作はショーン・コネリーエド・ハリスニコラス・ケイジマイケル・ビーンデヴィッド・モースなど、渋いおっさんばかり集めた非常に男気溢れるアクション映画として話題になりました。一応、メイソンの娘なども出て来ますが、基本的にはオヤジ映画です(笑)。そして、そのオヤジ達が実にかっこいい!

まず、敵の設定がいいですね。「盗み出した細菌兵器を使って大規模テロを計画」というと、良くある悪党のパターンに見えますが、ハメル准将(エド・ハリス)は戦死した自分の部下とその遺族のために、軍や政府に対して謝罪と補償金を要求しているのです。このため、主人公だけでなく敵側にも感情移入しながらストーリーを楽しむことができ、面白さも倍増となっているのですよ。

さらに特筆すべきはショーン・コネリーのかっこ良さ!元イギリス諜報部員という設定に「それってまさかアノ人では?」と映画好きも思わずニヤリ(この設定はショーン・コネリー自身のアイデアらしい)。さらにFBIの隙を突き、素早い身のこなしでビルから脱出するやいなや、街中で繰り広げる激しいカーチェイス!さすが英国情報局員、車の運転も超上手い!そして最後は路面電車がドカーン!このシーン、「なんで電車が爆発したんだろう?」といまだに不思議でなりません(笑)。あと、ケネディ暗殺の真犯人、教えてくれ!

それからニコラス・ケイジも良かった。FBIとは言え、科学兵器処理班という役割上、アクションはへっぴり腰でショーン・コネリーに主導権を取られっぱなしなんですよね。でもそれが逆に、経験豊富なベテラン諜報員と若手のFBIがコンビを組んで活躍するバディ・ムービーとして見応えあり!最初は反発していた二人がやがてお互いに信頼が芽生え…という展開も(お約束ですが)娯楽映画的には王道パターンで、素直に感動できました。

また、脇役ながら見逃せないのがマイケル・ビーン。基本的にイケメンな彼は色んな映画でかっこいい役を演じているのですが、なぜかどれもサブキャラクター的な扱いで、主役を演じることは滅多にありません。しかも、職種は海軍や海兵隊など軍事関係が多く、すっかり”戦士系俳優”として定着しているようです。当たり役は『ターミネーター』のカイル・リースになるんでしょうけど、個人的には『アビス』のコフィ大尉(これも海軍だw)の「壊れっぷり」が好きなんですよねえ(笑)。

そして、音楽も素晴らしい。この映画では、ハンス・ジマーはメインテーマしか担当していないようですが、壮大で重厚なメロディは”ジマー節”が炸裂しており、アクションとサウンドの相性がバツグンにいいですね。サントラ必聴ですよ。

ところで、2005年に公開された日本映画亡国のイージスを観て、「『ザ・ロック』にそっくりだ!」と思った人も多いんじゃないでしょうか?何を隠そう僕もその一人で、設定やストーリー展開が実によく似ていて、初めて観た時はびっくりしましたよ。

原作者の福井晴敏は大の映画マニアで、特に「ハリウッドのアクション映画が大好物」と公言しているぐらいですから、絶対に『ザ・ロック』を観ているハズです。しかし本人は「『ダイ・ハード』のような映画をイメージして『亡国のイージス』を書いた」と明言しているものの、『ザ・ロック』との類似性については特にコメントしていません。果たして『亡国のイージス』は『ザ・ロック』の影響を受けているのか?いないのか?


なお、両作品の共通項をまとめると以下のような感じになります。

・軍または国防に従事する指揮官的立場の人間が、自分の部下(あるいは身内)の死に対して国家に道義的責任を問うべくクーデターを企てる。


・外部からの侵入が極めて困難な特殊な施設を占拠し、仲間たちと籠城する。


・テロの首謀者は殺傷能力の高い生物化学兵器を搭載したミサイルを大都市に向けてセットし、政府に要求を突き付ける。


・施設の内部構造に精通した主人公が侵入を試みる。


・主人公ともう一人がコンビを組んでテロを阻止しようとする。


・政府はテログループを一掃するために特殊焼夷弾「テルミット・プラス(テルミット・プラズマ)」の使用を許可、戦闘機による爆撃を命じる。


・クライマックスでは、主人公が爆撃を停止させるために必死でサインを出し、間一髪で助かる。

このように、ポイントだけ抜き出してみると、どっちの映画なのか分からないぐらい良く似てますね(まあ、普通は『ザ・ロック』の方を連想するんでしょうけどw)。小説版『亡国のイージス』はもっと色んな要素が絡まり合って『ザ・ロック』っぽさはあまり感じないんですが、映画版の方は2時間に圧縮した結果、『ザ・ロック』っぽい要素ばかりが目立ってしまったのかも。

というわけで『ザ・ロック』の特徴は、出てくるキャラクターがみんな魅力的で、「信念に従い行動する男たちの姿」をドラマチックに描いている点でしょう。しかも単にアクションが派手なだけでなく、内容も面白い。「バカ映画の宝庫」と揶揄されるマイケル・ベイ作品の中で、いまだに高く評価されているのも納得です(^.^)

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