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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ネタバレ映画感想


■あらすじ『幼くして地球から誘拐されたピーターは、今や宇宙をまたにかけるアウトローな盗賊家業。自ら“スター・ロード”と名乗り、どんなピンチも持ち前の悪知恵と度胸で乗り切ってきた。そんなある日、ピーターは強大な力を秘めたパワー・ストーン“オーブ”を手に入れる。しかしそのせいで、銀河の支配を目論む恐るべき闇の存在と、銀河の秩序を司るザンダー星の壮大な戦いに巻き込まれてしまった。そこでピーターは、宇宙一凶暴なアライグマのロケットはじめ、刑務所で出会った4人のワケありすぎるお尋ね者たちと手を組み、チーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”を結成!銀河存亡を懸けたあまりにも無謀な戦いに立ち向かっていく。「アベンジャーズ」シリーズのマーベル・コミックが宇宙を舞台に描く同名スーパー・ヒーロー・チームを実写化した痛快アクション・アドベンチャー超大作!』



全米では大ヒットを記録し、日本でも高い評価を得ているガーディアンズ・オブ・ギャラクシーを観て来ましたよ。感想を書く前にちょっと説明しておくと、この映画の原作はアメコミなんですが、『アベンジャーズ』などに比べると知名度が低く、アメリカ人でも知らない人が結構いるそうです。さらに”ジェームズ・ガン監督の最新作!”ってことに関しても、普通の人にとっては「誰やねん?」という感覚なんじゃないでしょうか。

ジェームズ・ガンと言えば、デビュー作の『スリザー』は「ナメクジ状の不気味な宇宙生物が大増殖して人間を襲い、寄生された人間がゾンビ化して生存者を次々と襲撃していく」というB級ホラー。そして監督2作目の『スーパー!』は、「奥さんに逃げられた中年男が手作りのスーツを着て正義のヒーローになる」というB級ヒーロー映画。要は、「全くメジャーではない低予算のマニアックな映画ばかり撮ってる監督」というイメージなんですよね。

当然、会社側にも映画ファン側にも「そんな人が製作費200億円近くの超大作SFアクション映画を撮って大丈夫なのか?」という不安はあったでしょう。しかし、結論から言うと全然大丈夫でした!むしろ最近観たアメコミヒーロー映画の中では破格の面白さというか、「こういう娯楽映画を待っていた!」ってな感じで大満足でしたよ。

近年のアメコミ映画って、『X-MEN』にしても『バットマン』にしても、どんどん内容が複雑かつシリアスになってきてるじゃないですか?まあ、長い歴史を持っているマーベルやDCコミックの場合、登場キャラクターが多すぎて「初見の観客が入り込めない」というパターンに加え、昔のように「正義のヒーローが悪党をやっつけて終わり」みたいな話では観客を納得させられない、という事情もあるのでしょう。

だけど、ヒーロー映画の基本はやっぱり「大人から子供まで楽しめる単純明快なストーリー」だと思うんですよ。なので、リアリティを重視してどんどん暗くて重たい内容になっていってる昨今のアメコミヒーロー映画を観ながら、「この方向性はどうなんだろう?」などと感じていたわけで。そんなところへ現れたのが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』!これはもう、「待ってました!」と言わざるを得ません。

一応言っておくと、ジェームズ・ガン監督が過去に撮った『スリザー』と『スーパー!』も実はかなり面白い映画です。どちらの作品も単なるホラーやヒーロー映画じゃなくて”オフビートな笑い”が入ってるんですよ。それがジェームズ・ガン監督の持ち味であり、他の映画とは違う魅力を醸し出している所以なんですけど、同時に「万人には受けないだろうなあ」という印象を持っていました(実際、ヒットしてないし)。

ところが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は普通に面白い!胸を張って万人にオススメできる痛快娯楽SF活劇になってるんですよ。ジェームズ・ガン監督、全然イケるじゃん!まず、見た目はいわゆる「スペース・オペラ」でありながら、バックに流れる音楽は70年代に流行った懐かしのミュージックという、組み合わせのセンスが素晴らしい。

そして、登場するキャラクター一人一人に詳細なバックグラウンドが設定され、とても魅力的に描かれている点もグッド。“スター・ロード”を自称する主人公のピーターはもともと地球人ですが、幼い頃に母親が病気になり、死に別れるシーンが冒頭に流れるんです。もうね、このオープニングの数分間だけで心をガッチリ掴まれてしまいましたよ(笑)。

もちろん、サノスによって戦闘兵として訓練されたガモーラや、妻と子供を殺されたドラックス、遺伝子改造されたアライグマ:ロケットなど、他の登場人物も皆それぞれ悲しい過去を背負っていて、キャラの厚みが増しています。グルートだけは過去に何があったのか良く分かりませんけど(笑)。

このように”世間のはぐれ者”というか”ダメ人間”の集団が、それぞれの事情を抱えつつ、時にはケンカをしながらも、銀河の危機を救うために(笑)、最終的に一致団結して戦うという、王道の展開が素直に面白くて泣けるんですよ。やっぱり”王道”って素晴らしいなあ(笑)。

ちなみに、ロケットを演じているのは『世界にひとつのプレイブック』でアカデミー主演男優賞にノミネートされたイケメン俳優:ブラッドリー・クーパーなんですけど、アライグマの役なので全く顔が見えません(笑)。また、”動く木”のグルートを演じているのは、なんと『ワイルドスピード』シリーズでお馴染みのヴィン・ディーゼル!これまた、セリフが「私はグルート」だけという実にもったいない使い方ですね〜。

その他、ノバ軍の女性指揮官役に『ガープの世界』や『再会の時』などで6回もオスカーにノミネートされたグレン・クローズが。そして宇宙のお宝を集めているコレクター役に『トラフィック』でアカデミー助演男優賞ベルリン国際映画祭男優賞を受賞したベニチオ・デル・トロがキャスティングされてるんですが、どちらもほとんどドラマに絡んでこないなど、”名優の無駄使い感”が実にいい(笑)。全く出演してないにもかかわらず、やたらとケヴィン・ベーコンを推してるのも良かったです(なんでやねんw)。

それから、映画を観ていて気になったのが劇中でグルートが女の子に花を渡すシーン。「どっかで観たことあるな〜」と思ってたら『天空の城 ラピュタのこの場面なんですね。↓


どうやらジェームズ・ガン監督は宮崎駿監督の大ファンらしく、「宮崎監督は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の大きなインスピレーションなんだ。そこで宮崎作品にインスパイアされたファン・アートを紹介したい」というコメントと共に以下の画像をツイッターで掲載していたそうです。なんと、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は宮崎アニメの影響を受けていたのか!

あと”ギャラクシー”と言えば、僕の大好きな映画にギャラクシー・クエストというのがあってですね。『スタートレック』みたいな特撮番組に出演していた役者たちが、他の惑星からやってきた宇宙人に本物の宇宙戦士と勘違いされ、「宇宙の危機を救ってください!」と懇願されるという、まあ設定だけ聞くと非常にバカバカしいSFコメディなんですけど(笑)。

でもこれが実によく出来た映画で、最初はアホらしいギャグで笑わせながら、徐々にキャラクターに感情移入させていき、クライマックスでは大いに盛り上げ、ラストは驚くほど感動的な結末へ辿り着くという、エンターテインメントのお手本みたいな作品なのですよ。「ダメ人間が一生懸命頑張る映画」には問答無用で人を感動させるパワーがあると思うんですよね。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』も、そんな”愛すべきダメ人間の物語”として大いに満足できました(^.^)


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