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庵野秀明と島本和彦の特別対談

以前、このブログでも記事として取り上げた実写ドラマ版の『アオイホノオ』が、早くもBlu-ray&DVD化されることになったようです。

ただ、この実写ドラマ版を見てみると、原作にあったエピソードがかなり省略されてるんですよね。で、「あのシーンは入ってないのか〜」と少しガッカリした部分もあったんですが、監督によると「ちゃんと全部撮影してある」とのこと。放送時間の都合でカットされてたようです。





このツイートを読むと、どうやらディレクターズカット版の特典は「予約数が多いか少ないか」によって内容が変わってくるみたいですね(なるほど、最初から決まってるんじゃないのか)。

ちなみに僕は「『アオイホノオ』が実写ドラマになる」と聞いた時、「庵野秀明とか矢野健太郎とか、実名で登場しているキャラクターはどうなるんだろう?」と思ったんですが、ほぼ全員そのまま出ていたので驚きました。庵野さんなんて、”常にウルトラマンの衣装を着ている変な人”みたいにデフォルメされてるのに(笑)。やはり、学生時代の友人として島本先生のために協力してくれたのかなあ。


というわけで本日は、『アオイホノオ』の単行本第1巻が発売された時に、記念企画として「週刊ヤングサンデー」に掲載された庵野秀明 vs 島本和彦:特別対談」の中から一部を抜粋してみましたよ(単行本1巻の巻末にも二人のインタビューは収録されてるんだけど、なぜかこの部分だけが載ってないんですよね。なぜだろう?)。

庵野秀明と島本和彦の特別対談
庵野秀明島本和彦の特別対談

島本:「大学時代、すごいアニメーターとして優れていたわけじゃない。その優越感みたいなものはあったでしょ?」

庵野:「あんまりなかった」

島本:「でも同じ年代には勝てる人間、いないじゃない」

庵野:「あんまり勝ち負けは意識してなかったよ」

島本:「勝ち負けを考えるのは私ぐらいか(笑)」

庵野:「確かに。何かにつけ”勝負”ですよね、島本は。勝負にこだわってますね、人の何倍も」

島本:「(笑)そうだっけ?」

庵野:「今でもネタにさせてもらってるんだけど、体育の授業の時にハンドボールがあって、その試合の時の彼がすごく面白かったんですよ」

島本:「ハンドボール?」

庵野:「覚えてないの?」

島本:「覚えてない」

庵野:「彼は運動神経がそんなに良くないので、スポーツとしての活躍はできないんですけど、見ててすごく面白いんです」

島本:「激しい」

庵野:「動きがいちいち大袈裟で激しくて。ボールを取られた時に”うおー!”とか、両手を広げて驚いてる。彼は全力で走ってるんですけど、全然追いつけない。”頼む!俺にもう一度チャンスをくれ〜!”って叫びながら追いかけていく」

島本:「ふーむ」

※この対談ではハンドボールと言っていますが、庵野さんが以前描いたイラストでは「バスケットボール」となっているので、記憶違いの可能性もあります。

庵野:「ホント、漫画みたいなヤツがいるんだよって。島本のデビューの時に仲間内で言ってた評価は、漫画より本人の方が…」

島本:「いまだに言われるよ、それ(笑)」

庵野:「そう、本人の方が面白いのにと言ってたら、『燃えよペン』でストレートに本人を描いた。やっと気付いたんですね(笑)」

島本:「まずいな。それはまずい」

庵野:「島本の場合は、自分を描くのが一番面白いんです。自分を主人公にした漫画の方が。でも自分の何割減で漫画になっているので、漫画を読むよりは同じ時間で本人を見ていた方が何倍も面白い(笑)

島本:「問題がありますね」

庵野:「宮さんもそうですけどね。宮崎駿さんも、本人の方がアニメよりも面白いんですよ。アニメになると、色んな人の手が入って、本人率が下がる。純度が下がっていくんです。100%純度の高い本人が一番面白いですよ。島本の場合も、漫画にする時に純度がちょっと下がっちゃうんです。その純度を上げていけば、もっと面白くなる。島本本人ぐらいに面白い漫画になると思います」

島本:「まずいな。それは変えないといけないな」

庵野:「要するに、あとは島本本人がもっと面白くなればいいんです。明日の島本が、今日の島本よりも120%増しになっていれば、それでいいわけなのね。すごいのは、今でも面白いですからね、相変わらず。大学の時から全然印象が変わらないです」

島本:「うーむ」

庵野:「『炎の転校生』の頃のテンションというのは、普通は年をとるとだんだん落ちてくるじゃない?そういう勢いみたいなものが無くなっていくはずなんですけど、島本の場合、あのテンションをデビューの頃からずっと維持しているのは、本当にすごいですよ」

島本:「維持しているというかね(苦笑)」

庵野:「20年経っても、全然。まるで変わらないよ」

(中略)

島本:「でも、若い頃は自分ではわからなかったんだよね」

庵野:「わからないだろうね」

島本:「それこそ普通に生活してて、自分は普通だなと思ってたから」

庵野:「いや、あの若さで心に棚を作れ!”とか、出てこないですよ(笑)。ああいう感覚は」

島本:「だから、女の子にでもモテていれば、自分は特別なんだなってわかったかもしれないけど。それがないと、”自分ってやっぱり普通なんだ”と」

庵野:「まあ、そうだよね。全然モテなかったもん」

島本:「うん、本当にそこに基準があるね、まずひとつ。若い頃っていうのは」

週刊ヤングサンデー(2008年2月7日発売号)より



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