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実写版『るろうに剣心 京都大火編』ネタバレ映画感想

■あらすじ『幕末に“人斬り抜刀斎”として恐れられた伝説の男、緋村剣心(佐藤健)。だが新時代を迎えた今は、神谷薫(武井咲)ら大切な仲間たちと共に穏やかな日々を送っていた。そんなある日、新政府の大久保利通に呼び出され、志々雄真実(藤原竜也)の暗殺を依頼される。剣心の後釜として“影の人斬り役”を務めていたが、口封じのために新政府によって焼き殺されたはずの志々雄。しかしヤツは生きていた!そして京都で恐るべき戦闘集団を作り上げ、日本転覆を目論み暗躍を始めていたのだ。政府の討伐隊はあえなく返り討ちに遭い、もはやヤツを倒せる者は剣心しかいない。悩んだ末に、大切な人を守るために志々雄との対決を決意した剣心。薫の制止を振り切り、ついに京都へと旅立つ…!次々と襲い来る刺客!予想外の展開!ラストに登場する”謎の男”とは何者なのか!?佐藤健主演、大友啓史監督で送る時代劇アクション超大作!』



衝撃的なアクションシーンで原作ファンのみならず、多くの映画ファンを熱狂させた実写版『るろうに剣心』の公開から2年、あのエンターテインメント巨編が更なる進化を遂げて再びスクリーンに帰ってきた!というわけで、大ヒット上映中の『るろうに剣心 京都大火編』を観て来ましたよ。まずは実写映画『るろ剣』の何が凄いのか?を語るために、「人気漫画」と「その実写版」との関係性について考えてみましょう。

近年、人気漫画や名作アニメを実写映像化するパターンが非常に増えています。もうすぐ公開される『ルパン三世』を筆頭に、『寄生獣』や『進撃の巨人』など、有名作品が次々と実写化されている昨今ですが、一方でそういう「実写版」に対する評価は必ずしも芳しいとは言えません。

もともと絵で描かれたキャラクターを実在の俳優が演じる時点でイメージのギャップが生じるのは避けられず、それに加えて原作漫画のスケールが大きければ大きいほど製作費が増えるため、再現するハードルがますます上がってしまうからです(相対的に実写がショボく見える)。

もちろん、そういう厳しい条件の中でも健闘している作品はありますが、実写版に対するユーザーの評価は『デビ○マン』とか『ガッ○ャマン』とか『ドラゴ○ボール』などの”迷作”によって大きく損なわれ、「漫画の実写版はつまらない」というイメージが定着してしまっているのが現状でしょう。

しかし!『るろうに剣心』はそんな厳しいハードルを真正面から乗り越え、「漫画の実写版はつまらない」というジンクスをものの見事に打ち砕きました。世界観やキャラクターの再現度がハイレベルなのは言うまでもなく、特筆すべきはアクションシーンの素晴らしさ!前作もスピーディかつダイナミックな剣劇にド肝を抜かれましたが、今回も凄まじいチャンバラ・アクションがてんこ盛り!というか、より一層パワーアップしています!

るろうに剣心』が凄いのは、「漫画の実写化」という難題だけでなく、”もう一つのハードル”すら乗り越えていることなんですね。普通、1作目が大ヒットしたら、「次はもっと凄いものを!」と観客の期待が増幅し、1作目と同じクオリティでは驚いてくれません。それ故に「続編映画は1作目よりもつまらない」というジンクスが生まれたわけですが、『るろ剣』はこのジンクスまでも打ち砕いてしまったのです。

逆に「続編映画の強みとは何か?」って観点から考えた場合、その一つは「余計な段取りを省ける」という点でしょう。映画第1作目の場合は、(原作の有無に関係なく)主人公はどんな人物なのか?どういう境遇に置かれているのか?など、登場人物の背景や状況をいちいち説明しなければなりません(そのため本筋に入るまでが長い)。

でも、続編ではそういう”段取り”をすっ飛ばし、いきなり本筋に入ることが可能なのです(前作を観ていない人には不親切ですがw)。今回の『るろうに剣心』もまさに「いまさら説明しなくてもどんな映画か知ってるよな?」と言わんばかりの勢いで、ドラマの展開が非常に早い。そしてアクションの分量がとてつもなく多い!もう最初からアクセル全開、完全にイケイケ状態なのですよ。

そして、それらのアクションを演じる役者さんたちも凄かった!前作までの佐藤健武井咲江口洋介青木崇高蒼井優らに加え、本作から新たに参加した藤原竜也伊勢谷友介神木隆之介、土屋太鳳、遠藤賢一、三浦京介、高橋メアリージュン田中泯ら新メンバーの熱演ぶりが本当に素晴らしかったです。

まず映画冒頭は、元新選組の三番隊隊長:斎藤一のアクションシーンからスタート。”壬生の狼”と恐れられた剣の達人を、1作目に引き続いて江口洋介が演じています。前作は1対1のシンプルな立ち回りが多かったのですが、今回は大勢の敵を相手に複雑なアクションをこなさなければならず、事前に入念な練習を余儀なくされたとか。

でも、そんなに練習した江口さんですが「本番では殺陣師の人の衣装がみんな一緒なので見分けがつかなかった。一斉に向かって来られると、もう誰に何をすればいいのか全然わからない(苦笑)」と思わぬ苦労を強いられたそうです。

また、斎藤一といえば必殺技”牙突”が有名ですが、江口さん自身は牙突の人気の高さを認識していなかったらしく、「前作が公開された後に、あまりにも牙突の反響が大きくて驚いた」とのこと。そこで今回も当然見せてくれるのだろうと期待していたら、冒頭でいきなり牙突のポーズが!……しかしポーズだけで牙突が出ない!なんで?前作を観た熱心なファンから「あんなの牙突じゃない!」とクレームが殺到したために自重したのでしょうか?見たかったのになあ…。

そんな斎藤一と冒頭から対峙しているのは、藤原竜也が演じる志々雄真実。志々雄は本作のラスボスなんですけど、残念ながら斎藤一と戦うことなくその場を立ち去ってしまいます。それどころか剣心との直接対決もほぼありません。2部作の前編ということで、決着は次回までおあずけなのでしょう。その代わり、物語全般において圧倒的な存在感を見せ付け、観る者に恐怖心を与え続けています。

「じゃあ剣心は誰と戦うんだ?」というと、まずは神木隆之介演じる瀬田宗次郎との対決シーンが見どころの一つ。神木くんはもともと原作の熱狂的な大ファンで、1作目が公開される前、つまりまだ続編を作るかどうか決まっていない段階から、「瀬田宗次郎役をやりたい!」と熱望していたとか。佐藤健と所属事務所が同じだったため、常に撮影現場の様子を聞いて「いいなあ〜」と羨ましがっていたらしい。

なので、瀬田宗次郎役に決まった時は「やったあー!」と大喜び。あまりにも嬉しくて半年間毎日のように殺陣の練習に通っていたら、アクション監督の谷垣健治から「部活か!」と突っ込まれたそうです(笑)。そんな神木くんは、「オファーが来る前から勝手に宗次郎の役作りをしていた」と言うだけあって、見事にキャラクターを演じ切っていました。”幕末最強”と恐れられた剣心を相手に一歩も引かないどころか、逆に電光石火の剣劇でガンガン追い詰めるほどの凄まじい強さ!まさに必見です。

そしてもう一つの見どころは、三浦涼介演じる沢下条張との対決シーン。志々雄の手下「十本刀」の一人”刀狩りの張”と呼ばれる沢下条張は、特殊な刀を使ったトリッキーな殺陣で剣心を苦しめます。この時、剣心は宗次郎との戦いで逆刃刀を折られているため、余計に大ピンチ!果たして逆転の秘策はあるのか?という具合に、剣心と張の一騎打ちは緊迫感溢れる名場面に仕上がっていましたよ。

なお、三浦さんは『仮面ライダーオーズ』でアクションには慣れていたものの、チャンバラの経験がほとんど無かったため、4カ月もの間厳しい稽古に励んだらしい。その甲斐あって、本作の中でも1、2を争う見事な見せ場になったんですが、実は一番苦労したのは”関西弁”だったとか。

生まれも育ちも東京の三浦さんは全く関西弁を喋ったことがなく、「事前に方言指導の先生に付いて勉強したんですが、不安で仕方が無かった」とのこと。実際に映画を観てみると、たしかに沢下条張の喋り方だけ物凄く不自然なんですよ。なんかコントの関西弁を聞いているような感じで(笑)。アクション自体は文句の付けようが無いぐらい見事なんですけど、間に入る会話シーンがコントっぽく見えて、それがちょっと微妙でしたねえ。

あと、土屋太鳳演じる巻町操と剣心が戦うシーンも非常に面白かったです。他の場面とは異なり、なぜかここだけカンフーアクション風で、しかも土屋さんのアクションがメチャクチャ凄い!「この人、なんでこんなに動けるの?」と思ったら、彼女はもともと体を動かすことが大好きで、3歳の頃からクラシックバレエと日本舞踊を習い、現在は体育大学に通っている現役バリバリの体育会系女子だったのですよ。

おまけにアクション映画も大好きで、ジャッキー・チェンやドニー・イェンやブルース・リーなどの香港映画を子供の頃から観続けていたらしい。谷垣健治に初めて会った時も、「うわあ!ドニー・イェンさんとお仕事されてるんですか!?凄いですね!」と極めてマニアックな喜び方をしていたとか(なんか中川翔子と同じ匂いを感じるぞw)。

そんな”香港アクションが大好き”な土屋さんは、「この映画には沢山の原作ファンの想いがあるから、それも考えて演じなければならない。どうすれば巻町操らしさを出せるだろうか…」と悩んだ結果、剣心とのアクションシーンを自分で考えて谷垣アクション監督に提案したという。その時の様子を谷垣さんは次のように語っていました。

剣心と操の掛け合いシーンだけ、アクションのトーンが違うでしょ?実は太鳳ちゃんが「わたしは言葉で上手く説明できないから、絵で描いてきました!」って、ド下手な絵コンテを見せに来たんですよ(笑)。それを健くんが面白がって、休憩時間中に太鳳ちゃんと二人で芝居を作り上げていったら結構いい感じになって。だから、あのシーンは土屋太鳳発信なんですよ。
(『キネマ旬報NEXT』より)

こうして、自分の考案したアクションが採用された土屋さんは大喜び!嬉しさのあまり、本番撮影時に張り切ってパンチやキックを繰り出していたら、その身体能力の高さを見た谷垣さんから「まさに女ドニー・イェンだ!」と絶賛されたらしい。

その他、志々雄が支配している「新月村」での戦いでは、数十人の荒くれ男たちを相手にたった一人で立ち向かう緋村剣心の鬼神のごとき活躍ぶりがバッチリ堪能できます。普通のチャンバラの場合、斬られた相手は血を噴き出して一撃で倒れますが、刃が峰側に付いている逆刃刀だからこそ可能な変則チャンバラが大炸裂!

同じ相手を何度も斬り付ける”連撃”の概念を取り入れ、頭や体に直接刀を叩き付けるなど、”刃物”というよりはむしろ”鈍器”みたいな感覚で刀を扱っているのが面白い。また、1vs多数の立ち回りの場合、「相手が待っているように見える」などの不自然な動きになりがちなところを、ちゃんと同時に襲っているように見せているのが良かったです。

さらにクライマックスの”京都を舞台にした大乱闘シーン”に至っては、剣心が縦横無尽に街中を駆け回り、斎藤一、神谷薫、巻町操、相楽左之助ら主要メンバーが一堂に会して、膨大な人数の敵と壮絶なバトルを繰り広げるという、大変スケールの大きなバトルシーンに仕上がっていました(なお、相楽左之助の活躍場面は今回はここしかありませんw)。

……という具合に全体的にとても満足度の高い映画ではあるんですけど、気になった部分もありまして。それが四乃森蒼紫の設定です。いや、演じている伊勢谷友介さんは素晴らしいんですよ。原作に準じた特徴的な衣装をカッコ良く着こなし、二刀流を駆使した殺陣も迫力満点でした。

ところが、四乃森蒼紫が剣心を付け狙う理由がちょっとおかしいんです。原作では、蒼紫と剣心は過去に面識があり、それを踏まえた上で”打倒剣心”を掲げる動機が語られていました。しかし、映画版の蒼紫と剣心はお互いに面識がありません。

それなのに「幕府に殺された仲間たちのために、”幕末最強”と謳われた剣心を倒して最強の称号を捧げる」という、何だか良く分からない動機で剣心を殺そうとしてるんですよね。剣心にしてみれば、「それは幕府が悪いのでは?拙者はカンケー無いでござるよ!」って心境なんじゃないでしょうか(^_^;)

しかもこの四乃森蒼紫、剣心を捜して日本中を彷徨っているのに、なぜかなかなか出会えないんです。行く先々で相楽左之助や柏崎念至などの関係者を捕まえて、剣心の居場所を聞き出すためにバトルするものの、肝心の剣心とは結局最後まで会えないまま。セリフもほぼ「抜刀斎はどこだあああ〜!」しか言ってないし(笑)。そういう姿が何だか物凄く間抜けで「この人、ちょっと頭が悪いのでは…?」というキャラに見えてしまっていたのは残念でした。

ただ、アクションシーンは超かっこいい!田中泯演じる柏崎念至と蒼紫の対決は、狭い料亭旅館の中で繰り広げられる大迫力の肉弾戦です。他の戦闘シーンがほぼ屋外であることから、屋敷の中で戦うこのバトルはとても新鮮でした。蒼紫の二刀流に対し、柏崎念至が使う武器はトンファーで、しかも部屋の壁や襖を次々とぶっ壊しながら移動するド派手な立ち回りが凄まじいインパクトを放っています!

田中泯さんは68歳とは思えぬ意気込みを見せ、練習するためにトンファーを家にまで持ち帰っていたとか。さらに、途中から柏崎念至は竹を武器にするんですけど、これは「休日は農作業をしている」という話を田中さんから聞いた谷垣アクション監督が、「じゃあ竹を使ったアクションを入れてみましょうか」とその場で思い付いたためらしい(それぞれの配役に合わせたアクションを組み立てているところがグッド)。

というわけで、これだけ書いてもまだまだ全てのアクションを紹介し切れないぐらい大ボリュームの『るろうに剣心 京都大火編』ですが、物語が終了し、「話の続きは後編か…」と思っていたら最後の最後にあの人が登場!役名は「謎の男」としてクレジットされている福山雅治

「謎の男」に関しては、今のところほぼ「比古清十郎で決まりじゃない?」と言われています。比古清十郎とは、主人公・緋村剣心の師匠であり、十三代目飛天御剣流継承者という重要人物で、ファンの間でも「誰が演じるんだろう?」と注目されていました。

さらに福山さんはインタビューで「今回激しいアクションシーンを体験させていただき、剣の一振りにもそれぞれの個性があり、そのアクションに”役も人間も滲み出るものだ”ということを改めて教えていただきました」とコメントしていることから、次回作の『伝説の最期編』では凄いチャンバラを見せてくれるのでは…と期待値も高まっています。後編も見逃せませんね!

にしても福山雅治さん、ラストシーンにちょこっと出てくるだけなのに、おいしいとこ全部一人で持っていってるよなあ(^_^;)


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