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ネタバレ解説!『アナと雪の女王』に関する7つの疑問を検証してみた


3月の日本公開以来、破竹の勢いで快進撃を続けているアナと雪の女王が、国内で上映された映画としては12年ぶりに200億円を突破し、とうとう『ハリー・ポッターと賢者の石』(203億円)を抜いて歴代興行収入第3位に躍り出ました。

しかも、わずか77日間という異例の速さで観客動員数1601万人、興行収入203億7743万円を記録したのですから凄すぎます。あとはもう、第2位の『タイタニック』(262億円)を抜けるかどうか…という段階まできているわけで、まさに”史上空前のメガヒット”と言わざるを得ません。さすがに1位の『千と千尋の神隠し』(304億円)は越えられないでしょうけど、本当にとてつもない盛り上がりですよねえ。

さらに、日本版ヴォイスキャストが歌う、「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」「雪だるまつくろう」「生まれてはじめて」など日本版劇中歌9曲を収録した『オリジナル・サウンドトラック -デラックス・エディション-』が累計売上枚数48万枚という猛烈なセールスを達成し、アニメ映画のサントラとしてはこれまでの最高記録だった『さらば宇宙戦艦ヤマト』(1978年発売)の39万枚を上回り、35年7ヵ月ぶりに記録を更新するという快挙を成し遂げました。

また、動画投稿サイトに公開されたMay J.さんなどが歌う主題歌『Let It Go』の映像も驚異的な再生回数を叩き出し、特に吹替え版でエルサ役を演じた松たか子さんによる日本語バージョンの動画に至っては、なんと3300万回以上再生されるという凄まじさ!

あまりの人気ぶりに、CNN系列の情報サイトが「2018年に『アナと雪の女王』の続編が公開される」と報じて騒ぎになりましたが、これは投資銀行FBRキャピタル・マーケッツのディズニー担当アナリストが述べた単なる推測コメントだったようです。ただ、世界的にも大ヒットしている作品だけに、パート2が作られる可能性も全く無いとは言い切れないでしょう。

そんなわけで、『アナと雪の女王』を観た人は全員「面白い!」と大絶賛…しているかと思いきや意外とそうでもないようで。確かに「良かった!」という声は多いんですが、その中身はほとんど「松たか子と神田沙也加の演技が上手かった」とか、「ヴィジュアルが綺麗」とか、「ミュージカルシーンがいい。特に『Let It Go』最高!」などというものばかりで、映画の内容に言及する感想があまり見られないのですよ。

さらに、『アナと雪の女王』を批判している人の感想を見ると、「映像と音楽は素晴らしいけどストーリーがいまいち」、「観終わったあとに何だかモヤモヤする」、「ぶっちゃけ微妙じゃね?」など、辛辣な意見も少なくないようです。タレントの伊集院光さんはラジオで「毒にも薬にもならない映画」とコメントし、おぎやはぎの小木さんも「今まで観た映画の中で一番つまらなかった」とバッサリ。こんなに大ヒットしている映画なのに、いったいどういうことなのでしょうか?

実はこの映画、ディズニーの制作だから子供向けなんだろうと思われていますが(確かに子供向けではありますが)、意外と細かい説明が足りていなかったり、展開が早すぎたりして「あれ?」と思うようなシーンが結構多いんですよね。

そのため、「あのキャラクターがあそこであんな行動を取るのはおかしいんじゃないか?」とか、「なんでいきなりそういう流れになるの?」とか、納得できない場面があちこちに見受けられるのですよ。このような疑問点が積み重なった結果、「面白くない」という批判に結びついてしまったのではないか?と考えられるのです。

そこで本日は、そのような疑問点を一つずつ取り上げ、「本当に『アナと雪の女王』のストーリーは面白くないのかどうか?」を検証してみたいと思います。まあ、疑問が解けたからと言っても、それで直ちに「面白い」という評価に変わるとは限りませんが、「何だかモヤモヤする」という感想の人は多少なりともスッキリできるんじゃないかな、と。分からないことが分からないままでは違和感が残りますからね(^.^)


※以下の記事はネタバレしてます。まだ映画をご覧になっていない方はご注意ください。


●エルサはなぜ魔法を使えるのか?
ディズニー作品を含め、多くのファンタジー映画では、主人公が魔法を使える理由を劇中で明らかにするのが一般的です。もともと家族や親族が魔法使いだったとか、誰かに呪いをかけられたとか、まあ色々な理由が考えられるわけですが、『アナと雪の女王』ではなぜかその理由が明らかにされていません。この点に引っ掛かった人が案外多かったようですね。

エルサの両親や妹は普通の人なので、「身内が魔法使いだった」ということではないでしょう。また、悪い魔法使いに呪いをかけられたわけでもなさそうです。父王によれば「生まれつきの能力だ」とのことなので、おそらく赤ちゃんの頃から物を凍らせる魔力が備わっていたと思われます。では、なぜエルサは魔法を使えるのか?

実は、アレンデール王家は何世紀にも渡って栄えてきた由緒ある王族で、過去にも「不思議な能力を持った子供が生まれてくること」が時々あったそうです。冒頭、アナが頭部に氷の魔法を受けた時、国王はすぐに図書室へ行って何かを探しますが、あれはアレンデール王家に代々受け継がれてきた”歴史書”で、このような事態が起きた場合の対処法が記されていたのですよ。そして、エルサの魔法は”トロール”と大きな関係があったのです。


トロールはなぜエルサの魔法を知っていたのか?
資料の中から古い地図を見つけた国王は、アナたちを連れてトロールが住む谷へと向かいました。トロールとアレンデール王家の間には遥か昔から交流があり、土地の一部をトロールの住処にすることと引き換えに、何百年にも渡ってアレンデール王国を守ってもらっていたのです。

そして、人類よりもずっと以前から生きてきたトロールたちは、首に掛けたクリスタルを使って不思議なパワーを引き出す”魔法のエキスパート”でもありました。トロールの長老(パビー)はエルサの魔力を一瞬で見抜き、それが自分達の能力と何か関連があるかもしれないと推測。

つまり、アレンデール王家とトロール族との何百年にも渡る交流が王族の血筋に影響を及ぼし、それが原因でエルサのような子供が時々生まれてくるのではないか、と考えたのです。エルサの魔法がトロール族からもたらされたものだとすれば、当然トロールがその対処法を知っていても不思議ではないでしょう。


●エルサの両親って娘に冷たすぎない?
この映画、アナとエルサの両親の登場シーンが物凄く短いんですよね。冒頭でエルサをトロールの所へ連れて行った後は、城を閉ざして姉妹を城内へ閉じ込め、すぐに船の事故で行方不明になってしまうため、ほとんど画面に出て来ません。

なので、「幼い頃から魔法が使えることを知っていた両親は、なぜエルサの苦しみを解決しようとしなかったのか?」と感じる人もいたようです。「部屋へ閉じ込めるだけなんて酷いじゃないか」と。しかし、登場シーンが短いせいで映画の中では十分に描かれていませんが、エルサの両親は”なんとかしよう”と努力していたのですよ。

実際、当初のシナリオには、愛する娘のために必死で解決策を探す両親の姿が描かれていました。そして、国王はトロールに「娘の魔力を消してくれ」と頼みに行っていたのです。もともとエルサの魔力はトロールの影響を受けて発現したものだから、「トロールならそれを取り除く方法も知っているかもしれない」と。しかし長老は国王の願いを拒否しました。

「魔法の力を無くすことは不可能なのですか?」と尋ねる国王。それに対して長老はこう答えました。「ただ”おしゃべり”というだけで、その者の舌を切り取るのか?”目ざとい”からと、その者の目を潰してしまうのか?」と。この言葉を聞いた国王は、苦悩に満ちた表情を浮かべたまま帰っていくしかなかったそうです。

このように、長老はエルサの魔力を消すことも出来たようですが、彼女の魔法はトロール族にとって害悪ではなく、”極めて貴重な特殊能力”と考えられていたらしく、そのまま残すことを選択。ただし、エルサの成長に伴ってそのパワーもどんどん強くなるため、「魔力をコントロールする術(すべ)を身に付けなければならん」と忠告しました。こうして国王は、誰の目にも触れない城の奥で、エルサが魔法を抑えられるように訓練させていたのです。


●エルサの手袋はなぜ凍らないのか?
禁断の力を制御する術を見つけようと日々訓練を繰り返すエルサ。でも氷の魔法は次第にパワーを強めていき、一向にコントロールできません。たった一人で思い悩む娘を見かねた国王は、エルサに一対の手袋を手渡し、「これをいつも身に付けていなさい」と助言しました。すると、手袋をはめている時だけは、物を触っても凍らなくなったのです。

しかし、エルサの能力は手に触れるものを瞬時に凍らせてしまう魔法なのだから、直接手に触れている手袋は真っ先に凍ってしまいそうですが、なぜか全く凍りません。後半、両手にはめられた拘束具さえも凍らせて壊してしまったのに、どうして手袋だけが凍らないのか?何か”特別な手袋”だったのでしょうか?

実は、エルサの魔法は「触れたものを何でも凍らせる能力」ではなく、「任意の物質または周囲の温度を急激に低下させる能力」だったのです。例えば、戴冠式で宝玉と杖を素手で触った時は、「凍らせてはいけない!」という思いが強すぎて逆に物質へ意識が集中したため凍りついたのです(雪や氷もエルサ自身が作り出しているわけではなく、空気中に含まれている水分を氷結させ、雪や氷の粒に変えて手のひらから放出しているだけ)。

もともとエルサの魔法は、泣く・笑う・怒る・恐れるなど、感情が昂ぶった状態の時にだけ発現する能力なので、手袋をすることで「魔力が抑えられる」と思えば気持ちが落ち着き、パワーを制御できるのです(つまり”暗示”にかかっている状態ですね)。だから、コントロールする方法さえわかれば手袋自体を凍らせることも出来るし、逆に手袋をしたままで雪や氷を操ることも出来るのですよ。


●ハンス王子はいつから悪だくみを計画していた?
この映画を観た人が一番驚いたシーンは、なんと言っても”ハンス王子の裏切りシーン”でしょう。王道のファンタジーなら、”白馬に乗った王子様が最後にお姫様と結ばれてハッピーエンド”っていうのが定番ですが、本作では「王子様が悪役」なのですから驚くのも無理はありません。

しかもその裏切り行為があまりにも唐突で、序盤に張ってあるはずの伏線もほとんど機能していないため、「この人はいつの間に性格が変わったのかなあ」と違和感しか感じないのですよ。いったいハンス王子はいつから悪だくみを計画していたのでしょうか?

彼が計画を企てた動機は、自分の王位継承権の低さでした。13人兄弟の13番目であるハンスに王座がめぐってくる可能性はゼロに近い。だから、王になるにはどこか異国の、王位を持つ者と結婚するしかない。そう考えていたハンスは、ある時アレンデール王国で戴冠式が開かれることを知りました。つまり、最初から政略結婚をするつもりで訪れていたのです。

当初は、継承順列の一番目となるエルサと結婚する予定でしたが、彼女は警戒心が強すぎて誰も側に近づけません。そこで、無防備な妹のアナに近づき、好意を寄せているふりをして結婚を迫ったのです。そして、アナとの婚礼後は、「エルサには事故に遭って死んでもらおう…」と企んでいたのですよ。


●ハンス王子はなぜエルサを助けたのか?
しかし、このような計画があったと考えると、ハンス王子の行動は矛盾しているように見えるのです。部下達と共に”氷の城”へ乗り込んだハンスは、暴れ回るエルサにボウガンの矢を射ようとしていた兵士を阻止して彼女を助けました。もし、あのままエルサが死んでいたら、ハンスは誰からも責められず、さらに彼の計画も一歩前進するわけですから、助ける理由が見当たりません。なのに、なぜエルサを救ったのでしょう?

推測ですが、おそらくハンスの計画には”エルサが魔法使いであること”は入っていなかったと思います。ところが、アナと婚約したとたん、エルサは強力な魔法で国全体を凍りつかせて出ていってしまった。ハンスにしてみれば、「女王がいなくなったのはラッキーだが、アレンデールが凍ったままではせっかく国王になっても意味が無い。何とか魔法を解除させなくては…」と考えたのでしょう。

しかしエルサを捕えてみれば、本人でさえ解除する方法を知らないという。そこでハンスは「仕方がない。エルサを殺そう。そうすればこの魔法も消えるかもしれないし自分も国王になれる。一石二鳥だ」と判断。そして逃げたエルサを追いかけて剣を振り下ろした、というわけです。

なお、本作の監督を務めたジェニファー・リーさんはハンス王子について「周囲の人たちの心象を映し出す”鏡”のような役割を持っているキャラである」と説明していました。原作の『雪の女王』には「悪魔の作った鏡」という重要なアイテムが登場しますが、実はこのアイテムをキャラクター化したものがハンス王子だったらしいのですよ(詳しい解説はコチラの記事に書きましたので、興味がある方はご覧ください↓)。

ハンス王子は鏡だった?『アナと雪の女王』のネタバレ解説


●”真実の愛”とは何だったのか?
ハンス王子の振り下ろした剣がエルサを切り裂くまさにその瞬間、彼女を守ろうとして立ち塞がるアナ。すると氷の魔法に侵されていたアナの体は急激に凍りつき、ハンスの剣を弾き飛ばしました。自分を助けるために犠牲になった妹を見て、姉のエルサは泣き崩れます。するとその時奇跡が起こり、アナの氷が溶け始めた!

…という具合に物語のクライマックスとしては非常に感動的なシーンなんですけど、「ちょっとご都合主義じゃない?」と微妙な気持ちになった人もいたようですね。しかもトロールの長老が「凍ったアナの心臓を溶かせるのは”真実の愛”だけじゃ!」と言っていたのでてっきり「ハンス王子かクリストフの愛が彼女を救うのだろう」と思っていたらどちらも関係なく、「実は姉妹愛だった」というオチなのだから余計に微妙な感じに…。

そもそもエルサの方は最初からアナを嫌っておらず、むしろ愛しているからこそ距離を置いていたのに、なんで今さら”真実の愛”なのかと。それを”真実の愛”というなら、最初からエルサの中にあったんじゃないの?いったい”真実の愛”って何なのよ!?と多くの観客から疑問が噴出したようです。


●アナを助けたのはエルサじゃなかった?
確かに、氷の彫像と化したアナをエルサが抱き締め、涙を流した瞬間にアナの氷が溶け始めたので、「”エルサの涙”がアナの心を溶かした」と思ってしまった人がいるかもしれません。また、ハンス王子も「誰か本当に君を愛してくれる人がいれば良かったのにね」と言っているため、「命懸けで自分を助けてくれたアナに心を打たれ、それをきっかけにエルサが魔法を制御できるようになって凍りついたアナを溶かした(エルサの愛がアナを助けた)」と解釈した人が多いのではないでしょうか?でも、そうじゃないんです。

その前の場面でオラフがアナに「愛っていうのはね、自分よりも相手の求めることを優先してあげることだよ」と説明していましたが、アナの行為もこれと同じだったのですよ。

元々アナというキャラクターは、しっかり者のエルサと違って「まだまだ考え方が幼い未熟な少女」として描かれていました。行動自体も純真で真っ直ぐ。その日に会ったばかりのハンス王子を好きになり、いきなり結婚を決意してエルサに報告したら反対されてブチ切れるなど、完全に”自分のこと”しか考えていません。

しかし、城を飛び出した姉を捜して雪山を彷徨い歩き、クリストフやオラフ達との出会いを経るうちに徐々に心境の変化が訪れ、大人の女性へと成長していくのです。そして、最終的には姉を想う妹の熱い気持ち(自己犠牲)が、自身を苦しめている氷の魔法を打ち砕くという結果になりました。つまり、自分の命よりもエルサの命を優先したアナの行為こそが”真実の愛”であり、アナは凍りついた心臓を自分で溶かしたのです

今回、エルサとアナは「ディズニー初のダブル・ヒロイン」となっていますが、それぞれのキャラクターは「恐怖」と「愛」を象徴しており、雪や氷は「恐怖」のメタファーとして描かれています。「愛」を象徴するアナは人間的に成長することで”真実の愛”を知り、それを受けてエルサは「恐怖」を克服し”魔法を制御する術”を理解する、それが本作の主題だったのですよ。


というわけで、『アナと雪の女王』を観た人の意見の中から、「ここがおかしい」との指摘が多い個所や疑問点などを取り上げ、自分なりに考察してみました。ただし、僕の勝手な憶測ではなく、監督及び脚本家のインタビューや公式のノベライズ小説(原作ではありません)などを参照しているので、そこそこ正解に近い考察になっていると思います(例えば「アナは凍りついた心臓を自分で溶かした」という解釈は、ノベライズ版にハッキリと記載されているのです)。

この小説版を読んで特に驚いたのは、映画の中では描かれていなかった人間ドラマや会話シーンが意外に多かったことですね。細かい設定やキャラクターの心理描写など、映画を見ただけでは分からないことが補足できたので、考察する際の参考になりました。『アナと雪の女王』の世界をもっと深く楽しみたい人にはオススメですよ(^.^)

なお、ノベライズ版は映画の脚本を元に執筆されているものの、映画の公開に合わせて出版される都合上、初期の設定がそのまま残っていることもあるようです。そのため、映画版とは内容や解釈に関して微妙に異なっていたり、ストーリーを分かりやすく表現するために翻訳者が本編に無い描写を加筆する場合もあるとか。なので、あくまでも”楽しく考察するための参考資料”ぐらいに考えておいた方が良いでしょう。


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