ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

映画『グリーン・ホーネット』ネタバレ感想/評価


■あらすじ『幼少期に母を亡くし、新聞社の創業者である父に厳格に育てられるも、その反動で放蕩息子に成長したブリット。彼はある日、父が蜂に刺され急死するという悲劇に直面。そして、突然社長の座に就いたブリットは、父の運転手カトーから驚愕の事実を知らされる。実は天才発明家であるカトーは、父と秘密裏に数々のハイテクマシンを発明していたのだった。父の遺志を継いで正義に目覚めたブリットは街に蔓延る悪党の一掃を決意し、自分たちを“グリーン・ホーネット”(緑の蜂)と命名する。ハイテク満載の愛車“ブラック・ビューティー”を駆って夜の街に繰り出し、悪党たちを次々と蹴散らしていくブリットとカトーだが…。往年の米TVシリーズを「エターナル・サンシャイン」のミシェル・ゴンドリー監督が劇場長編としてリメイクしたアクション・エンタテインメント!』

※今回の記事は『グリーン・ホーネット』に関して非常にネガティブな内容となっています。
※ファンの人は気分を害されるかもしれないので読まない方が良いでしょう(^_^;)


本日、水曜プレミアで『グリーン・ホーネット』が地上波初放送されます。この映画、劇場公開時は3Dだったんですよね。当時は『アバター』の大ヒットの影響を受けた「なんちゃって3D」が巷に氾濫していた頃で、本作も評判が悪かったため観に行かなかったんですけど、行かなくて正解でした。

とにかく、「ひたすら退屈な映画」です。僕は基本的にどんなつまらない映画でも「観始めたら一応最後まで観る主義」なんですが、この映画だけは途中で観るのをやめようと思ったぐらいなのですよ、トホホ。

ちなみに、オリジナルの『グリーン・ホーネット』は1960年代にアメリカでテレビ放映され、カトーを演じたブルース・リーが世間に注目されるきっかけとなった作品です。そしてこの時、カトーが身に着けていた黒マスクは他の映画にも影響を与え、ドニー・イェンジェット・リーなど香港を代表するアクション・スターたちが黒マスク姿の主人公を演じることになりました。

ブラック・マスク  [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2011-02-25)

で、本日は映画版『グリーン・ホーネット』の話なんですけど、う〜ん…なんていうか…「つまらない」とか「面白くない」という以前に、「観る理由が見出せない」って感じなんですよねえ。「時間の無駄」という言葉がこれほどピッタリくる映画もなかなか無いんじゃないかと。内容は、まあ普通です。行き当たりばったりで整合性に欠けるストーリー展開ですが、コメディなのでこんなもんかなと。ただ、描かれている中身が「過去にどこかで観たようなもの」ばかりなんですよ。

「金持ちのボンボンが親の残した遺産を使って特殊なアイテムを作り悪人をやっつける」っていう設定は『バットマン』そのまんま。アクションシーンも、スローモーションを多用した非常にスタイリッシュな映像なんですけど、『マトリックス』以降に散々見せられたイメージと差別化ができてません。

「色んな武器を内蔵したハイテク・カー」も結局『007』の焼き直しでしょ?そういうアクションを見たければ『マトリックス』や『007』を観ればいいわけで、「この映画ならではの売り」がどこにも無いんですよ。

まあ、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』なども、『惑星ソラリス』や『女王陛下の007』などから引用してますけどね。ただ、あちらは見せ方や組み合わせを工夫することで全く新しいビジュアル・イメージを生み出していました(だから観る価値がある)。でも『グリーン・ホーネット』には、既存の映画から引用して新しい何かを生み出してやるぜ!という前向きな姿勢や意気込みみたいなものが感じられません。

カトーのアクションで”ビヨ〜ン”と空間が伸びる謎の効果が導入されているものの、特に驚きは無く割とどうでもいい感じ。あれで映画が面白くなると本気で思ってる?根本的に何かを間違えてるような気がするんだけどなあ。

中でも一番の問題は「主人公に全く魅力が無い」という点でしょう。そもそもブリットとカトーが「悪人のフリをする」という行動自体にまるで必然性が感じられません。ブリットは、「正義のヒーローの弱点とは何か?人質を取られた時に手も足も出ないってことだ。それなら自らが悪人になればいい。悪人なら敵も人質なんて考えないぞ、グッドアイデア!」みたいなことを言っていますが、こんなくだらないことを思いつく主人公もバカなら、こんな理屈で説得されてしまうカトーも相当バカです。

また、主人公の性格も「ワガママで軽薄で超ウザイ」というどうしようない感じに描写され、父親の残した莫大な遺産を使ってやりたい放題のヒーローごっこに興じるヒドい有様。こんなヤツに感情移入するのは至難の業ですよ。ラストシーン間際になってようやくヒーローらしい行動に出ますが、それまで観客の忍耐が持ちません。

更に、相棒のカトーも終始無愛想で無口なキャラなので、何を考えているのかサッパリわからない。主役の二人がここまで観客の共感を拒むキャラクターになっていれば、映画が面白くないのはむしろ当然と言えるでしょう。

おまけにキャメロン・ディアスの扱いも結構酷くてガッカリ。重要なエピソードにも絡んでこないし、登場シーンは少ないし、いったい何で彼女を起用したんだろう?『イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ』で大活躍したクリストフ・ヴァルツも、なんだか中途半端なキャラクターで持ち味が生かされているとは言い難いんだよねえ(もっとキレた悪役にすべきでは?)。完全にキャメロン・ディアスクリストフ・ヴァルツの無駄使いです。

ついでに、作品の世界観も基準がはっきり定まっておらず、足元のグラグラ感がハンパない。この映画はコメディでありヒーロー物なので、主人公は(基本的には)直接殺人を犯さないように行動しています。

ところが、その基準がシーンによって曖昧なんですよ。ガスガンなどを使って非殺傷性をアピールしている割には、車にマシンガンやミサイルを標準装備しているし、かなりの頻度でガンガン人を殺してるよね?それってどうなのよ?

まあ、別に殺人シーンがあってもいいんだけど、そういうアンチヒーロー的な路線を目指すなら、マシュー・ヴォーン監督の『キック・アス』や、ジェームズ・ガン監督の『スーパー!』など優れた作品があるわけで、それらと比較してもやはり厳しいと言わざるを得ません。色んな意味で残念な映画でしたねえ(^_^;)


キック・アス<スペシャル・プライス版>Blu-ray
東宝 (2014-01-24)

普通の少年がヒーローになって街にはびこる悪と戦う痛快アクション。ヒットガールがかわいい!

スーパー! スペシャル・エディション [Blu-ray]
Happinet(SB)(D) (2012-01-07)

中年のおっさんがヒーローに扮して悪と戦う冒険活劇。『キック・アス』よりもさらにヤバい感じw

●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ