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島本和彦『アオイホノオ』11巻の感想


本日は映画とは全く関係無い話ですが、島本和彦さんのアオイホノオ11巻を買いました。知らない人のためにざっくり内容を説明すると、「舞台は1980年代の初め、大阪の某芸術大学に通う焔燃(ホノオモユル)が、漫画家デビューを目指して悪戦苦闘する様子を面白おかしく描いた学園青春コメディ」みたいな感じです。

最大の特徴は、作者の島本和彦大阪芸術大学時代に体験したことを綴った「自伝的マンガ」になっていること。表紙をめくると「この物語はフィクションである」とでかい字で書いてあるんですけど、登場キャラクターは庵野秀明岡田斗司夫など、実在の人物が全員実名で出てくるんですよ。なので、多少脚色されてるとはいえ、「ほぼノンフィクション」と考えて間違いないでしょう(笑)。

で、この11巻ではいよいよ伝説の自主制作アニメ『DAICON 3(ダイコン・スリー)』が完成します(『DAICON 3』の説明はコチラ)。後に『新世紀エヴァンゲリオン』を作って大ヒットを飛ばす庵野秀明は、この当時大阪芸術大学の2年生でした。しかし、天才アニメーターとしての才能は既に片鱗を見せており、凄まじい勢いで原画を描きまくります。岡田斗司夫の自宅が「アニメ制作スタジオ」の拠点として提供され、庵野秀明は連日連夜泊まり込んで作業を続けたらしい。

しかし、10日以上風呂にも入らず食事もとらずにひたすらアニメ作りに没頭する姿を見て、さすがに他のスタッフから「庵野さん、大丈夫?」と心配する声が出始めました。しかし、同級生の山賀博之(現ガイナックス社長)は「大丈夫ですよ!」と全く気にする様子がありません。

曰く、「あいつは、一旦描き始めたら描くことだけが目的の魂になって、エネルギーが尽きてきたら食事する時間も惜しみ、描きながらサッポロポテト・バーベQ味を食べ、喉が渇いたら描きながら牛乳を飲む。それ以外のことは、描くことのさまたげになるので、一切やらないしやりたくもない。だから、サッポロポテト・バーベQ味と牛乳だけあればいい。それで生きてるヤツなんです!」と力強く言い切る山賀博之

それを聞いた岡田斗司夫は、「そ…そうか。そんならしゃーないわな…」と言うしかなかったそうです(笑)。しかし、そんな岡田さんから”ある重要な提案”が出されました。『DAICON 3』は、「ランドセルを背負った小さな女の子が、パワードスーツや怪獣など、様々な敵を倒しながら水の入ったコップを運ぶ」というストーリーです。そのクライマックスに登場するのが『伝説巨神イデオン』で有名な”イデのマーク”(これね↓)。

岡田さんは、「この”イデのマーク”ではインパクトが弱い」と言い出したのです。「僕らは今、歴史に残るようなアニメを作っている。しかし、ジョージ・ルーカスをあっと言わせるにはこのマークではまだダメだ!もっとインパクトの強いモノでなければ!」と力説する岡田斗司夫に対し、「じゃあ、どんなマークならいいんですか?」と尋ねる庵野秀明。そこで岡田さん、満面のドヤ顔で一言。

「○×○マークや!」


漫画では伏字になっていますが、非常に卑猥なワードのようです。島本和彦氏によると、「これは史実のため飛ばすことのできない大事なシーンなのですが、さすがに書くことができません」と述べていますから、まあ実際にこういうやり取りがあったのでしょう。しかし、困ったことに当時の岡田さんは本気でこのマークを採用しようと考えていたらしく、他のメンバーは「いかんッ!このままでは岡田さんの意見が通ってしまうぞ!」と顔面蒼白。果たして彼らの自主制作アニメはどうなってしまうのか?…というわけで、相変わらず面白い展開にますます目が離せません(^.^)


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