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桜玉吉『漫喫漫玉日記 深夜便』の感想


本日は全く映画と関係ない話ですが、桜玉吉という漫画家が描いた『漫喫漫玉日記 深夜便』というコミックスを買いました。世間的には「桜玉吉って誰?」てな感じでしょうけど、僕はこの人の描く漫画が好きで昔から読んでるんですよね。

ざっくり桜玉吉さんの経歴などを説明すると、1986年頃から『ファミコン通信』(現『週刊ファミ通』)にて『しあわせのかたち』を連載開始。ゲームのキャラクターを扱ったギャグマンガで、後にアニメ化されるなど人気を博す。

当初は完全フィクションのオリジナルストーリーだったが、『ファミコン通信』が週刊誌に移行する過程で自分の日常を描く”日記形式”へシフト。周囲の友人や担当編集者やアシスタントなどにまつわる”ずっこけエピソード”を面白おかしく描いた日常漫画は多くの読者から支持され、以降の定番スタイルを確立した。

その後、『コミックビーム』誌上にて『防衛漫玉日記』、『幽玄漫玉日記』、『御緩漫玉日記』でひたすら日記漫画を描きまくっていたものの、『幽玄漫玉日記』の途中から突然作者が鬱病を発症。精神不安を患い、従来通りのペースで漫画を描くことが困難な状況になってしまった。

それでも、「自分は漫画を描かなければ存在価値が無い」と強く決意。色々な薬を服用したり、病気を克服するために温泉に入るなど、闘病中の様子をしっかり漫画に描いて読者を驚かせた。

しかし、病状は日に日に悪化し続け、『御緩漫玉日記』の後半ではとうとう「全く自分で描いた覚えの無い漫画」が掲載されるという異常事態が勃発。どうやら、作者が就寝中(あるいは意識の無い状態の時)に、突然「もう一人の自分(潜在意識?)」が出現し、勝手に漫画を描いていたらしい(その影響で『御緩漫玉日記』の後半部分はかなり絵が荒れている)。

ひどい時には「本物の自分」が完成させた原稿を、「もう一人の自分」が破棄して、全然違う漫画に描き直してしまうことさえあったという。

そして、「このままでは漫画家業を継続することは不可能」と判断。桜玉吉先生曰く、「解き放たれた人は時に大傑作の音楽を造るけど、解き放たれた人が描く漫画は絶望的につまらない。やはり、漫画は自律してナンボのようです。」 こうして『御緩漫玉日記』の連載は終了、長い闘病生活に入ることに…。

というわけで、前作の連載終了から6年ぶりの新作『漫喫漫玉日記 深夜便』。噂では、漫画の収入が無くなって以来、「ヤフオクで身の回りの物を売って生活費を捻出している」と聞いてたんですけど、そのタイトル通り、桜玉吉先生は現在漫画喫茶で暮らしているようです。

一瞬「えっ?もしかしてネットカフェ難民?」と思ったんですが、「いかんともしがたい理由で自宅で漫画を描くことがままならず、仕事道具一式を持って自主的に漫画喫茶にカンヅメになった」とのこと。かろうじてホームレスではないようです。

しかし、そんな生活がもう1年以上続いている現状を考えると、完全に”住んでいる”と言っても過言ではないでしょう。この単行本も、一冊丸ごと漫画喫茶で描き上げたそうです(浜田ブリトニー以来の衝撃だw)。

必然的に内容は、「3.11の時に大量の漫画本に埋もれそうになった」とか、「漫画喫茶の近くの路上で200円拾った」とか、主に”漫画喫茶とその周辺”を舞台とした日記漫画になっています。

ちなみに、サブタイトルの”深夜便”とは、「深夜に親子丼を食べるために自転車を漕いでいたら急にウンコがしたくなった」という話でした。個人的にはこのエピソードが好きですね。

「たまたま入った親子丼屋に不気味な女が立っていて…」というホラーっぽいシチュエーションから、「あの女は何者だ?」と色んな妄想を繰り広げる様が玉吉節炸裂で実に面白い。あとがきによると、2011年の秋から居座り続け、2013年10月末時点でまだ漫画喫茶に居るようです(^_^;)

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