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映画『アルマゲドン』ネタバレ解説/制作秘話


■あらすじ『テキサス州の大きさに匹敵する巨大なアステロイド小惑星)が地球に接近、ニューヨークが無数の隕石群に包まれた。計算の結果、18日後には地球に衝突することが判明。人類滅亡を回避すべくNASA 総指揮官トルーマンビリー・ボブ・ソーントン)は、小惑星の表面に穴を開け、地中で核爆弾を爆発させれば軌道を変えることができると考え、石油採掘のプロ、ハリー(ブルース・ウィリス)に惑星上での掘削を依頼する。ハリーは長年共に仕事をしてきたチック(ウィル・パットン)、ロックハウンド(スティーヴ・ブシェーミ)、ハリーの娘のグレース(リヴ・タイラー)の恋人のA.J.(ベン・アフレック)らを呼びよせる。彼らは厳しい訓練のあと、二機のシャトルに乗り込み惑星に向かうが作業は困難を極めた。果たして彼らは小惑星を破壊し、無事に地球へ帰還することができるのか…?』



本日、土曜プレミアムで『アルマゲドン』が放映される。本作のプロデューサーはジェリー・ブラッカイマー。あの『トップガン』や『クリムゾン・タイド』などのアクション大作を製作した人物だ。そして監督はCMやMTV出身で華麗な映像が特徴のマイケル・ベイ

マイケル・ベイといえば近年は『トランスフォーマー』シリーズの大ヒットで知られているが、元々はジェリー・ブラッカイマーに見出されて監督デビューし、『バッドボーイズ』、『ザ・ロック』、『アルマゲドン』、『パール・ハーバー』、『バッドボーイズ2バッド』など、数多くの作品でタッグを組んでいる。

マイケル・ベイ(左)ブラッカイマー(右)
マイケル・ベイ(左)ブラッカイマー(右)

アルマゲドン』の基本ストーリーはもともとディズニー社の企画として検討中だった「地球に小惑星が向かってくる話」と、脚本家のジョナサン・ヘンスレーが長年温めていた「油田火災消火のプロフェッショナル達の物語」が合体して生まれたものだ。この二つのプロットを一つにまとめてディズニーに提示したところ、すぐさま大作映画として承認されたという。

アルマゲドン』がそれまでの宇宙映画と大きく異なる点は、かつてないほどにNASAの協力を取り付けることができたという点だろう。

今まで民間のカメラが入ったことが無いような施設にまで撮影が許可されたり、ブルース・ウィリスベン・アフレックは本物の宇宙服を身に付け、現役の宇宙飛行士と共に実際の無重力訓練用のプールに入ることが許された(これは民間人としては史上初で、もちろん映画としても初めての快挙)。

本作のストーリーでは、ウィリスたちは新型のスーパー・スペースシャトル「X-71」に乗って小惑星へと向かう。このシャトルはもちろん架空のものだが、初めてウィリス達の前に姿を現す場面はミニチュアのシャトルと実物の発射台を合成して撮影された。つまり、背景の建築物は全て本物なのである。

さらに2機のX-71スペースシャトル(インディペンデンスとフリーダム)の打ち上げシーンも今までにない撮影法が導入された。なんと、本物のスペースシャトルの打ち上げシーンを撮影して、そこにミニチュアのシャトルを合成しているのだ。ここでもNASAの全面協力によって普段は撮影できないような場所からの撮影が可能になった。

特にリモコンカメラを使う場面では、NASAの発射管制システムとカメラをリンクさせることが許可され、完璧なタイミングでカメラを作動させることが出来たという。

こうして、ミニチュア撮影だけでは到底再現できない凄まじい噴射炎を吐いてX-71が上昇していくシーンが完成したのだった。ちなみに、一部の予告編では加工前のシャトルの打ち上げフィルムが使用されているため、X-71ではない実物のシャトルが映っている。この予告編と本編を比較してみるのも面白いだろう。

また、彼らが宇宙に飛び立つ前、地球には幾つかの隕石が落下し、世界中の都市が壊滅的な被害を受ける。このシーンでは良く見ると建物の破片と共に落下してくる人間の姿まで確認できるほどリアルだが、ほとんどの物が実際に火薬や薬品などを発火させて撮影されたらしい。現在の技術では建物や爆発までCGで作ることも可能だが、やはり実体のあるものを使った方がイレギュラーな要素のおかげでリアルに見えるようだ。

さらにパリの大爆発シーンでは、盛り付けられた土の中に同心円上になった火薬を何十本も埋め込み、短時間のうちに中心から外側に向けて連続的に爆破させたものをスーパースローカメラで撮影、パリの実景とデジタル合成している。

パリ大爆発シーン
パリ大爆発シーン(合成前)

この映像にビルやエッフェル塔などを合成して完成となるわけだ(ちなみに、完成した映像で手前に映っているガーゴイル像はスタッフが作った実寸大の模型である)。

その後、ウィリスたちは小惑星に向かう前に、作業で使う探検車「アルマジロ」のテストを行う。このアルマジロは模型ではなく、実際に乗り込んで走行可能な特殊車両である。

劇中では「火星探検用として設計され12個のタイヤで走行する」という設定だが、ベースには米軍の装甲車:ハマーのシャーシが使用されており、12個のタイヤはグッドイヤー社で製作された特注品だ(実際は4輪駆動)。

アルマジロ
アルマジロ

最後にフリーダムが帰還するシーンは、フロリダにある本物のシャトル用滑走路で撮影された。約12メートルの巨大なミニチュアを使って撮影したため、非常にリアルな映像に仕上がっている。

スペースシャトルのミニチュア
スペースシャトルのミニチュア

このように、『アルマゲドン』は(デジタル技術も駆使しているけれど)精巧な模型を作ったり火薬を使って実際に物を爆破したり、さらにはNASAの全面協力などによって可能な限り”本物”を追求した結果、全世界で5億5000万ドルを超える大ヒットを記録したのである。

なお、NASAが全面的に協力したにもかかわらず、本作にはなんと168個もの科学考証的なミスがあり(上映時間は150分なので1分に1個!)、NASAでは管理職の研修で『アルマゲドン』を鑑賞させ、「どれだけ多くの間違いを見つけられるか」という試験を実施しているらしい(笑)。


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