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ニコラス・ケイジ主演『ノウイング』ネタバレ映画感想/解説


■あらすじ『MITの宇宙物理学者ジョンの息子ケイレブが通う小学校では、50年前に埋められたタイムカプセルを掘り起こす記念式典が執り行われていた。そして当時の生徒たちが想像する未来図が在校生に配られ、ケイレブは数字だけが羅列された一枚の紙を持ち帰ってくる。それに興味を抱いたジョンは、数列に意味があるのではないかと調べ始めた。すると、彼の妻が亡くなった2年前のホテル火災の日付や犠牲者数など、過去に起きた大惨事にまつわる数字と一致していることに気づく。さらにその紙には、未来の大惨事を思わせる数字も残っていた。そしてその予想通り、予言された大惨事が次々と現実のものになっていく中、ジョンはさらなる大惨事を食い止めるべく、残された数列の謎の解明を試みるのだったが、そこには驚愕の事実が隠されていた!彼がたどり着いた衝撃の結末とは…!?ニコラス・ケイジ主演で放つ驚異のディザスター・パニック・ムービー!』



本日、水曜プレミアシネマニコラス・ケイジ主演の『ノウイング』が放映されます。僕は公開時に劇場で観たんですが、ラストの展開があまりにも想定外すぎて「思ってたのと違う!」と卒倒しそうになりましたよ、トホホ。ところで、『ノウイング』とほぼ同時期に、似たような題材を扱った『2012』という映画が公開されていたのをご存じでしょうか?

『2012』は『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督が撮ったディザスター・パニック・ムービーで、当時「古代マヤ人の長期暦が2012年12月21日で終わっている」という事実を元に”2012年に人類滅亡?”みたいな都市伝説が流行っていたため、それをネタに作られたスペクタクル映画です。

そして『ノウイング』もこの”2012年人類滅亡説”をヒントに制作されており、「未来の大惨事を記した日付」を手に入れた主人公が謎を解明していくうちに驚愕の真相に辿り着くという、『2012』に大変似かよった”人類滅亡系ディザスター・ムービー”なのですよ。

このように、アメリカでは設定やストーリーが異様に酷似した映画が、なぜか同時期に公開されるという不思議な現象が起こることがあります。例えば、「火山が大噴火して街が溶岩に飲み込まれる映画」として『ダンテズ・ピーク』と『ボルケーノ』が97年に公開。「地球に小惑星が接近、ロケットに乗ってそれを破壊しようとする映画」として『アルマゲドン』と『ディープ・インパクト』が98年に公開。

さらに「擬人化されたアリが活躍するCG映画」として『アンツ』と『バグズライフ』が98年に公開されるなど、「それってどっちの映画の話ですか?」と映画ファンを混乱させるような作品が続出することがあるんですよ。いわゆる”ネタがかぶる”という状況ですね。つい最近も、「ホワイトハウスがテロリストに占拠される映画」として『エンド・オブ・ホワイトハウス』と『ホワイトハウス・ダウン』が公開されるなど、相変わらずネタかぶり現象は発生し続けています。

この他にも、『スノー・ホワイト』と『白雪姫と鏡の女王』(2012年)、『レッドプラネット』と『ミッション・トゥ・マーズ』(2000年)、『ターナー&フーチ/すてきな相棒』と『K-9/友情に輝く星』(1988年)、『ザ・ケイヴ』と『ディセント』(2005年)、『トップ・ガン』と『アイアン・イーグル』(1986年)、『プレステージ』と『イリュージョニスト』(2006年)など、例を挙げればきりがありません。

では、なぜこんな”ネタかぶり”が起こるのでしょうか?それは、ハリウッドでは「今観客にウケる映画は何か?」ということを常にリサーチしていて、タイムリーなトピックがあれば即座にそのネタを使ったストーリーを複数の脚本家に書かせる、というシステムが常態化しているからです。

アルマゲドン』の時にはたまたまディザスター・ムービーがヒットしており、また”天体に対する関心”が高まっていた時期でもあったため、「偶然同じアイデアを元にして別々の映画会社が製作を始めた」ということらしい。

ただ、これはアメリカに限った話ではなく、日本でも「小惑星イトカワに到着して岩石サンプルを持ち帰るという、世界初のミッションに成功した小惑星探査機はやぶさ」の活躍描いた映画が、『おかえり、はやぶさ』と『はやぶさ 遥かなる帰還』と『はやぶさ/HAYABUSA』と3本も同時期に作られたりしているので、まあ”割とよくある”ことなんでしょう(ちなみに、はやぶさの映画はドキュメンタリー『HAYABUSA -BACK TO THE EARTH』を含めると全部で4本作られている。ネタかぶりすぎだろw)。

さて、『アルマゲドン』『ディープ・インパクト』『インデペンデンス・デイ』『ザ・コア』『デイ・アフター・トゥモロー』などなど、古今東西「このままじゃ地球が大ピンチだあああ〜!」という映画は山ほど作られてきました。

なので、当然『ノウイング』もそんな良くあるディザスター・ムービーの1本なんだろうな、と大して期待もせずに観に行ったんですよ。さらに主演がニコラス・ケイジと聞いて、「どうせまた主人公が適当な推理で次々と謎を解明していくいいかげんなストーリーに違いない」と観る前から決め付けるなど、かなりナメ切った目線で鑑賞していたわけです。

そしたらなんと、予想を大幅に裏切る意外な展開でビックリ仰天!不可解な暗号にまつわる謎解きをドラマの軸にした、パニックあり、ファンタジーあり、ホラーあり、親子愛あり、スペクタクルあり、サスペンスあり、ミステリーあり、アクションあり、SFありという、”何でもアリ”のごった煮エンターテインメントだったのです。

ストーリー運びも驚くほど丁寧で、前半部分はオカルト映画を思わせるようなミステリアスかつスリリングな展開が観る者をグイグイと引き付け、飛行機落下事故や電車事故などのスペクタクルシーンも最新VFXを駆使した驚愕ビジュアルで迫力満点。しかし、「これはもしかしたら物凄い傑作映画かも…」と思ったのも束の間、”ある人物”の出現をきっかけに、映画はどんどんとんでもない方向へ突き進んで行くのですよ……!


以下ネタバレしてます。


”ある人物”とは、黒のロングコートを着て青白い顔をして主人公たちをじっと見つめている謎の男。こいつが、急に現れたと思ったら急に消えたり、勝手に人の家の中に入ってきたりと完全に神出鬼没なのです。無表情で言葉も喋らず、しかもだんだん人数が増えていくなど、どう考えても”人間ではない”ということが早い段階で判明するものの、ではこいつらの正体はいったい何なのか?

話の流れからすれば”幽霊”というのが妥当な(?)落し所だと思われますが、”実は宇宙人だよ〜ん”というオチだった!「それって『フォーガットン』じゃん!」と思わずツッコミを入れそうになりましたよ、トホホ。

前半のサスペンス映画的な雰囲気とは180度異なるこの”強引な転調”は、「うわ〜、そっちかよ〜!」と落胆する映画ファンが続出したそうな。クライマックスで出現する巨大UFOもイメージがありきたりで、飛行機落下シーン程のインパクトは感じられず、宗教映画を思わせるエピローグに至っては苦笑するしかありません。

頑張ってビジュアル化しようとしているのは分かりますが、「所詮こんなモンか」という印象しかなく、作り手側のイマジネーションの限界を感じました(むしろ描かない方が良かったのでは?)。前半は物凄く面白かったんですが、着地で盛大にずっこけた感じですねえ。

ただ、総評としては「そんなに悪くない映画」だと思います。前半から中盤にかけての引きの上手さは中々だし、サスペンスを煽る雰囲気は素晴らしいし、十分にハラハラドキドキさせてくれますよ。

近年のニコラス・ケイジは『NEXT』とか『デビルクエスト』とか『ドライブ・アングリー』とか『ブレイクアウト』とか『ハングリーラビット』とか、しょーもない映画ばかりに出まくって完全にゴールデンラズベリー賞の「最低主演男優賞」ノミネート常連俳優と化している感がありますが、それらの中では、かなりマシな部類に入ると言えるんじゃないでしょうか。

中でも特筆すべきは、キャッチコピー通り”人類滅亡”をきっちり描いている点でしょう。今までの同系統の映画は、『アルマゲドン』しかり『ディープ・インパクト』しかり、「地球が大ピンチだあああ〜!」、「人類が滅亡してしまう〜!」などと散々煽っておきながら、「でも最終的にはギリギリ助かった〜!」という”寸止め”的なものばかりでした。

しかし、『ノウイング』には「人類を救うために主人公が大活躍する」というシーンが全く無いため、最後は本当に全人類が滅亡してしまうのです。地下シェルターへ避難した人たち等、ごく少数は生き残ったかもしれませんが、いずれにしても「主人公の行動が地球の危機を回避するために何の役にも立っていない」という点において、過去に類を見ない画期的な映画と言えるでしょう。

惜しいのは、主人公が自分の家族を守ることしか考えていないため、全人類滅亡という未曾有の大惨事にもかかわらず、意外と映画にスケール感が無いこと。なんせ、描写されるのが自分の周辺の状況だけで、世界情勢がどうなっているのかさっぱり分からないのだから当然です。まあ、壮大なB級映画として観るのが正しい鑑賞スタイルかなと。


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