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知って得するマル秘トリビア!『平成狸合戦ぽんぽこ』にはトトロが登場していた?


■あらすじ『東京・多摩丘陵。のんびりひそかに暮らしていたタヌキたちは、ある時、エサ場をめぐって縄張り争いを起こす。原因は人間による宅地造成のため、エサ場が減ってしまったから。このままでは住む土地さえ失くなってしまうと、タヌキたちは開発阻止を目論み、科学の発達した人間たちに対抗するため先祖伝来の”化け学”を復興させることに。その一方、四国や佐渡に住む伝説の長老たちへも援軍を頼む使者が向けられる。かくして人間たちが露とも知らぬ所でタヌキたちの反撃が始まった・・・!「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」の高畑勲監督が、人間による自然破壊から自分たちの住処を守ろうと奮闘するタヌキたちの姿をユーモラスに描いたファンタジー・アニメ!』



本日、金曜ロードSHOWにて『平成狸合戦ぽんぽこ』が放映されます。1994年に公開された本作は、54億円の興行収益を叩き出す大ヒットを記録し、この年の邦画第1位に輝きました。そんな『ぽんぽこ』ですが、映画の制作においては高畑勲監督のこだわりが災いし、完成までに大変な苦労を強いられたそうです。

事の発端は1989年1月。スタジオジブリのプロデューサー:鈴木敏夫の元へやって来た高畑勲はこう言いました。「鈴木さん、タヌキを主人公にした映画を作りませんか?日本独自の動物”狸”の映画が無いというのは、日本のアニメーション界がさぼってきた証拠だと思うんですよ。もし作るんなら、四国が舞台の『阿波の狸合戦』を取り上げたらいい」

これを聞いて鈴木さんは面喰いました。狸が主人公の映画なんて、どうすればヒットするのか見当もつかなかったからです。ところが数日後、今度は宮崎駿がやって来て、「鈴木さん、狸をやろう!『八百八狸』だ!」と言い出しました。

宮崎監督はこの当時『魔女の宅急便』の追い込みの真っ只中で、ストレスを紛らわせるために現実逃避を図っていたらしく、「次回作は『トトロ VS 狸』!これに決まりだ!」と嬉しそうに話しまくり、しばらくするとまた『魔女の宅急便』の現場へ戻っていきました。

それから3年後の1992年。当時スタジオジブリは『紅の豚』の公開日を間近に控えて追い込みの真っ只中。ストレスが溜まりまくっていた宮崎監督は再び「鈴木さん、狸をやろう!」と言い出しました(なぜ毎回”狸”なんでしょうねえ?)。

それを聞いて鈴木Pはすかさず、「いいですね!」と即答。鈴木さんは3年前の高畑監督の話を覚えていたのです。そして畳みかけるように「監督は高畑さんでいいですか?その場合『八百八狸』じゃなくて『阿波の狸合戦』になりますけど…」と確認しました。

まさか即答されるとは思わなかった宮崎さんは一瞬びっくりしたものの、「ブタの次はタヌキか。面白い!」とニコニコ顔で納得していたそうです。早速、高畑監督の所へ向かった鈴木さん。ところが高畑監督の口からは、「僕は”狸を主人公にした映画を作るべきだ”と提案はしましたが、自分で作るとは言ってない」と冷たい返事が。困り果てる鈴木プロデューサー。

しかし、「そんなこと言わずにお願いしますよ〜」と粘り強く交渉した結果、数カ月後に高畑監督が井上ひさしの小説『腹鼓記』を持ってきました。「この本に描かれている狸が非常に参考になる」と言われた鈴木さんは井上さん本人に連絡を取り、高畑監督と二人で会いに行ったのです。

ところが、井上さんから大量の資料を見せられた二人は途方に暮れました。狸を主人公にした映画を作ることがいかに難しいかを痛感したからです。あまりの辛さに挫折しそうになった鈴木さんは、「狸の映画は諦めて『平家物語』を作りませんか?」と提案。そのことを宮崎監督に相談すると「何を言ってるんだ!」と激怒され、映画の企画は暗礁に乗り上げてしまいました。

しかし、それから更に数カ月後、「狸たちが主人公の『平家物語』はどうでしょうか?」と高畑監督が言い出したのです。「激しく生き、壮烈な死に様を晒した『平家物語』の人々の姿を狸に置き換え、集団劇として描く。さらに、時代を現代に持ってきて、狸が土地開発によって住処を追われるさまを結び付ければ、面白い映画になるかもしれない」と。こうして、紆余曲折を経た結果、ようやく『平成狸合戦ぽんぽこ』が誕生しました。

ところで、スタッフ・クレジットを見ると、「企画:宮崎駿」となっていますが、本人は「私は企画ではありません!」とキッパリ否定。じゃあ何なのかというと、”督戦隊”だそうです。督戦隊(とくせんたい)とは、「軍隊において、自軍部隊を後方より監視し、兵士が命令無しに勝手に戦闘から退却(敵前逃亡)或いは降伏する様な行動を採れば直ちに攻撃を加え、強制的に戦闘を続行させる任務を持った部隊」のこと。

つまり、アニメーター達を常に後ろから監視し、さぼっている奴や逃げようとする奴がいたら「コラ〜!」と檄を飛ばして無理矢理絵を描かせる役割を務めていたらしい。鈴木プロデューサー曰く、「いや〜、宮崎さんのおかげでどうにか公開日に間に会いました」とのこと。おそろしや(^_^;)

なお、ジブリ作品には他のジブリ映画のキャラクターがこっそり出演していることが知られていますが、『平成狸合戦ぽんぽこ』にも多くの”隠れキャラ”が潜んでいましたよ。


●『魔女の宅急便』のキキ

●『紅の豚』のポルコ・ロッソ

●『となりのトトロ』のトトロ

●『おもひでぽろぽろ』のタエ子

トトロやポルコはすぐに見つかると思いますが、タエ子はちょっと分かりにくいかもしれませんね(ランドセルの色も違うし)。でも、タエ子を出すなら「メーヴェに乗ったナウシカ」や「フラップターに乗ったパズー」も出せばよかったのになあ(^.^)


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