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『GANTZ PERFECT ANSWER』ネタバレ映画感想/裏話


■あらすじ『電車に轢かれ、ガンツの世界に召喚されてしまった幼なじみの玄野と加藤。ガンツに命じられるまま星人との戦いに身を投じ、倒した星人に応じて加算される得点が100点を越え、無事ガンツの世界から解放されることを目指していた。しかし、その戦いの中で加藤は命を落としてしまう。やがて、100点到達の特典で人間を再生させることも可能と知り、加藤を生き返らせるために懸命に戦い続ける玄野だったが…。奥浩哉の大人気マンガを、「硫黄島からの手紙」の二宮和也と「DEATH NOTE デスノート」の松山ケンイチ主演で実写映画化した衝撃のSFバイオレンス・アクション超大作!』


本日、WOWOWシネマで、SFバイオレンスアクション超大作の続編GANTZ PERFECT ANSWER(パーフェクトアンサー)』が放映されます。前編が意外と面白かったので後編も期待していたんだけど、ちょっとこれは微妙な感じ。まあ、マンガ原作の実写映画としては「想定通りのつまらなさ」と言えなくもないんだけど(苦笑)。

で、結局のところ、ガンツとは何なのか?何のために死んだ人を集めて戦わせるのか?星人との関係は?など数々の謎に対する答えはほとんど謎のままで終わっています。なので、「何も解決しとらんぞゴルァ!」と激怒した人もいるでしょう。

しかし、そもそも映画が作られた時点では原作はまだ連載中だったわけだし、その原作でも謎が完全に解明されるかどうかは(映画の公開時点では)分からないので、個人的には無理に解明する必要は無いんじゃないか?と思うんですよ。

それなら敢えて物語に決着を付けたりしないで、原作に繋がるような終わり方にした方が良かったような気がします。今回、二宮和也演じる玄野は、仲間を救うために”ある決断”をするわけですが、僕はあのオチにはちょっと納得できませんでした。最後は、新たな星人がやってきて「戦いは続く!」的なラストシーンでもよかったんじゃないかなあ?ベタだけど。

前作がよかったのは、「就職活動に勤しむ平凡な主人公が、ある日突然不思議な事件に巻き込まれ、恐ろしいバトルを体験する内に心に変化が生じ、友人の死をきっかけとして自分が成すべきことに気付く」という王道の成長物語だったからです。

戦う覚悟を決めた「行こう…!」というセリフと玄野のアップで終わるラストシーンも実にカッコ良く、「これは次回も観なければ!」と大いに盛り上がったんですけどねえ。

じゃあ本作の何がマズいのか?と言えば、まず設定が分かり難い。ガンツの世界は、死んだ人間が生き返ったりバトルに勝利して点数が与えられたり、独自のルールに従って物事が進行しています。

そして、その設定はストーリーに直接関わっているため、ドラマに感動できるかどうかは観客の理解力次第というシビアな条件(おまけに、映画版はオリジナルのルールに変更されているっぽいから余計にややこしい)。

さらに「SF映画」であり「サスペンス映画」でもある本作は、SF的設定を理解しつつ、同時にサスペンス的謎解きを検証しなければなりません。これでは「良く分からん」という人が出ても当然と言えるでしょう。

また、奥浩哉の原作マンガが「エロ・グロ・バイオレンス」に満ち溢れた衝撃的な内容なのに、本作では「エロ」の要素が完全に抜け落ちている点もどうなのかと。パート1の時は(岸本のヌードだけですが)それなりにエロいシーンもあったのに、今回は女性キャラが大幅に増えているにもかかわらず、エロいシーンは逆に減っているのですよ。

いや別に「もっとおっぱいを見せろ!」などと言うつもりはないけれど、これじゃあ普通の「バイオレンス・アクション映画」じゃん。「原作の再現度」という点では前作の方が明らかに上だったよなあ(個人的には伊藤歩ガンツスーツ姿がもっと見たかっただけに残念)。

もう一つ残念なのは音楽です。劇中に流れる楽曲は今回も川井憲次の見事なスコアが満載で嬉しい限りなんですが、エンディング曲は前作の「Ressurection in the Gantz Field〜復活〜」の方が良かったなと。

これは好みの問題なので「本作の方が好き」という人もいるでしょうけど、個人的には重厚なストリングスがダイナミックに鳴り響く「復活」の方が『GANTZ』の世界観に合っているような気がするんだよねえ。「これぞ川井節!」と言わんばかりの骨太で大胆なサウンドがたまらんのですよ。

一方、アクションシーンはかなり頑張っていて、「日本映画でこんな凄い映像が撮れるようになったのか!」と驚きました。前作は銃を駆使したガン・アクションが主な見せ場だったのに対し、今回は刀を使ったチャンバラ・アクションがメインになっています。

しかも、銃と刀を同時に繰り出すガン=カタっぽい殺陣も抜群にかっこいい!特に地下鉄でのバトルは必見の素晴らしさで、「邦画の最高峰」と断言してもいいレベル。佐藤信介監督は『修羅雪姫』でも派手なチャンバラを撮っているので、元々こういうアクションが得意なのかもしれませんね(アクション監督の下村勇二さんの仕事もグッド!)。

ちなみに、地下鉄のシーンで敵が使用している銃はグロック18Cマシン・ピストルで、「ドガガガガ!」と派手にマズル・フラッシュを光らせていますが、シーンによってCGと実際の発砲(発火)&排莢を使い分けているらしい。

ニセ加藤はロング・スライドの1911カスタム(ボーマー・サイト&ロング・リコイルSP付き)、重田はスナッブ・ノーズのニューナンブかS&Wのチーフ・スペシャルらしきリボルバーを使用(重田はともかく、なぜ星人が地球の武器を使うのだろう?)。

というわけで、総評として『GANTZ:PERFECT ANSWER』はアクションシーンは迫力満点で見応えがあるものの、内容については一作目に及ばず少々残念な感じ。映画版オリジナルのラストシーンに対する評価は賛否あると思いますが、ストーリーを収束させることにこだわるあまり、物語がゴチャゴチャしすぎという印象でした。設定は原作のままで、もっとシンプルにまとめて欲しかった。でもまあ、マンガを実写化した映画の中ではかなり健闘している方ではないかなと思います。

以下、気になったところなどをネタバレ有りで検証。

ガンツに振りかけていた液体はなんだったのか?
星人がガンツ玉に謎の液体を振りかけるシーンが意味不明ですね。原作にも似たような物は出てくるんですが、映画版では何の説明もなく突然出てくるのでさっぱり分かりません(一応、劇中の設定としては「ガンツ玉を破壊するための最終兵器」ってことらしいんだけど、それでも説明不足は否めない。結局ガンツも壊れてないし)。


●なぜ多恵ちゃんがターゲットに設定されたのか?
本作で一番の疑問点がこの部分です。ストーリー上は、ミニ・ガンツ玉のミッションをクリアーすればガンツ部屋に来ることができる ⇒ ところが、ミニ・ガンツ玉をニセ加藤に奪われてしまった ⇒ このままでは星人たちが部屋にやって来てしまう ⇒ ミッション・クリアーの条件「小島多恵」を先に殺して阻止しよう!みたいな展開になっていたようですが、それならニセ加藤をターゲットにすればいいのでは?

どうやらガンツの考えとしては、「戦闘能力の高い玄野が100点を取ってメンバーから抜けてしまうと星人に対抗できなくなる。だから多恵ちゃんをターゲットにすることで玄野が辞められないようにしよう」ということだったらしい。

最終的に玄野は”ガンツの中の人”に成り替わることを選択するので、「やべー!電池が切れそうだ!」と焦っていたガンツにとっては大助かりと言えるでしょう。ちなみに、原作では「ガンツの存在を知られたから殺せ」という展開で、そちらの方がシンプルで分かりやすかったです。


●ニセ加藤に多恵ちゃんが切られるシーン
直前に、ガンツスーツで武装した西君を一撃で切り殺しているので、ニセ加藤の攻撃力は相当に高いと思われます。ところが、西君は瞬殺だったのに、なんと多恵ちゃんは生きている!ニセ加藤はもう一度多恵ちゃんに切りつけますが、それでも全然死にません。さらに刀で何度も刺されてようやく地面に倒れるものの、まだ絶命せずそのまま地面をズルズルと這いずって玄野の元へ…。

この場面は、加藤に化けた星人が人間に復讐するために、ワザと多恵ちゃんをなぶり殺しにしてるんだけど、単に西君が異様に弱く、そして多恵ちゃんがターミネーター並みにしぶといように見えてしまうんだよなあ(笑)。


●多恵ちゃんのマンガが上手すぎる件
もはや「単なる趣味」ってレベルじゃない。完全にプロの仕業だよ(笑)。


●鈴木さん、キャラ変わってない?
自分のことより加藤を生き返らせることを選んだシーンはかっこ良かったが、後半は自分の奥さんを生き返らせることに執着する自己中心的キャラに豹変。だったら最初から奥さんを生き返らせればいいのに。


●奥さんを生き返らせることなんて出来るの?
原作では、一度死んだ人間がガンツに召喚されることによって再び命を得る。その後死亡しても、他の誰かが100点を取れば生き返ることが出来るという設定でした。しかし、映画版では加藤の弟や多恵ちゃんなど、ガンツによって肉体を再構成されていない人間まで無差別に生き返っている様子。ガンツ玉の正体はドラゴンボールだったのか?


●『PERFECT ANSWER』というタイトルに込められた意味
直訳すれば「完璧な答え」という本作のタイトルですが、映画を観た観客からは「これのどこが”完璧な答え”なんだよ!」と非難が殺到したらしい。まあ、謎が何も解明されないまま終わっているわけですから無理もないでしょう。でも実はこのタイトルって、玄野が最後に下した決断に関連してるんですよ。

つまり、復讐の連鎖を”自己犠牲”という形で終わらせた玄野の選択は「果たして”完璧な答え”だったのか?」という制作者側からの問い掛けでもあるわけです。『GANTZ』の戦いは分かりやすい”善と悪との対決”ではなく、攻撃する側(人間)と攻撃される側(星人)のどちらにも正当な理由があり、それ故に戦いを終結させるための手段には明確な”正解”がありません。全ては観る者に判断を委ねられているのです。

「”自己犠牲”は確かに解答の一つだが、それが全てではない。」 そのことを表現するために、佐藤貴博プロデューサーは敢えて「完璧な答え(パーフェクトアンサー)」というタイトルを付けたのだそうです。すなわち、『PERFECT ANSWER』とは「これが完璧な答えだ」という意味ではなく、「この世に完璧な答えなんて存在しない」という逆説的なメッセージだったのですよ。

以下は『GANTZ PERFECT ANSWER』の制作にまつわる裏話です。

●アクション
映画『GANTZ』は前編と後編が同時に撮影されましたが、その雰囲気はかなり異なっています。前作は遠距離からの「銃撃戦」がメインだったのに対し、今回は「ソード・アクション」を中心とした接近戦が大炸裂!中でも「走る地下鉄車両内でのチャンバラ」という前代未聞の凄まじい格闘シーンは日本中の映画ファンの度肝を抜きました。

アクション監督の下村勇二氏曰く、「もう、刀を振るだけで大変ですから。事前に車内の寸法を計ってアクションができるスペースを考え、その中で動きを計算しながら殺陣を作りました。

撮影で使う刀はアップ用の固いものから竹光、手すりに当たっても大丈夫な柔らかい素材のもの、刃先をCGで書き足してもらうハーフソードまで、色々使い分けながら撮影してます」、「当初はスタントマンを使う予定だったんですが、玄野のアクションを僕らがやってしまうと玄野らしさが出ないんです。だから、危険なシーン以外はほとんど二宮さんや松山さんが自分でやってますよ」


●美術セット
黒服星人との死闘が繰り広げられる地下鉄車両は、本物そのままの実寸サイズのセットとして再現されました。1両が三分割できるようになっていて、撮影の都合に合わせて組み合わせ、違う車両に見えるように撮影しています。ただし、セットの長さが40メートルにもなってしまうため、撮影できるスタジオがなかなか見つからずに苦労したとのこと。

また、激しいアクションの舞台となる市街地は、神戸の広大なロケ地に大量のセットを制作。美術監督曰く、「直線で全長120メートルぐらいの商店街跡地を使用しました。もともとあった建物を飾り込んで東京の風景に見えるようにするまで2カ月以上掛かっています。

何種類もの看板を作り、お店も一軒一軒作り込んで。東京都のガードレールもわざわざ持って行きました。しかも最後は大爆発(笑)。もちろん安全にやってますけど、よくやらせてもらえたなと。日本じゃなかなかやらせてもらえないですからね」


●CG・特撮
前作は、戦う相手が異星人だったりロボットだったり巨大だったりしていたのに対し、今回は等身大の人間同士が戦うシーンがメインになっています。特に大変だったのは、松山ケンイチが演じる二人の加藤が同一場面で戦うシーン。画面を固定するとすぐに合成だとバレてしまうため、できるだけカメラを動かして撮影しなければなりません。

しかし、動く映像に人物を合成するのは至難の業です。そこでこのシーンではモーション・コントロール・カメラを使用しました。これは、カメラの動きをコンピューターで正確に制御し、何度も同じ被写体を撮影することで、同一場面に複数の要素をブレることなく合成する画期的なシステムなのです。

その昔、『スター・ウォーズ』(1977年)の戦闘シーンなどで宇宙船を合成する時に大活躍した特殊なカメラですが、CGが全盛の近年はすっかり使用頻度が減ってしまいました。

GANTZ』ではこの技術を使って二人の松山ケンイチを違和感なく同一画面に収めています。ところが、現場の撮影は想像以上に苦労の連続。VFXスーパーバイザー曰く、「同じカットを3回撮ることになりますからね。加藤、ニセ加藤、背景と。さらに撮影監督のこだわりでレール移動は必須ですし、何気ない1カットに見えても実は途方も無い手間が掛かっているんですよ」とのこと。

また、一見どうでもよさそうに見えて意外と大変だったのが、自動車が爆発する際に吹き飛ぶドアの素材だったらしい。CGもしくは実写かと思いきや、なんとミニチュア!特撮監督の神谷誠曰く、「カメラ前に綺麗に飛んでこなくてはならず、しかも燃えながら、という監督の無茶なオーダーに応えるためにミニチュアで撮りました。

4分の1サイズでドアを作り、それをバーに固定して燃やしながらレールの上を走らせ、レンズギリギリを通過させています。しかもスタジオでは撮影できないので、わざわざ山奥まで行って撮りましたよ(笑)」とのこと。言われなければ気付きません(^_^;)

さらに、玄野が多恵を背負って住宅街の屋根の上を逃げるカットも背景はミニチュアで、CGのキャラを合成しているそうです。「当初は本物の住宅街を使う予定で何か所もロケハンしたんですけど、実際の民家の屋根を数軒にわたって撮影するのは、許可問題等を含めてかなり難しいということが判明しまして。それで急遽、ミニチュアでいこうということに。

ありったけの住宅のミニチュアをかき集めて、モーション・コントロール・カメラを使って撮影。カメラはレールで突っ込んでいくように移動するんですが、ミニチュアがあると動けない。そこで、レール上にミニチュアを突き出す形で設置し、カメラの移動に合わせてミニチュアをどかしていく、という方法で撮影しました」とのこと。色んな部分に工夫を凝らしてあるんですねえ(^_^)


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