ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

映画『スピード』をもっと楽しむための豆知識


■あらすじ『ロサンゼルスのオフィスビルにあるエレベーターに爆弾が仕掛けられ、乗客達が閉じ込められる事件が発生。ロサンゼルス市警察SWAT隊員のジャック(キアヌ・リーブス)はマクマホン分隊長や同僚のハリー達と共に爆弾を排除、乗客達を救出した。さらに身代金を要求してきた犯人のハワードを追い詰めるものの、もう一息のところで逃げられてしまう。彼は元警察の爆発物処理班員だったが、処理中の事故により左手親指を失う障害を負って退職せざるを得なくなったために逆恨み、警察に挑戦を始めたのだ。数日後、ペインは路線バスに爆弾を仕掛け、ジャックに対応させるよう仕向ける。爆弾はバスの速度が時速50マイルを下回ると爆発、それを阻止するため走行中のバスに飛び乗ったジャックだったが、乗客の一人が誤って発砲し、運転手が負傷。やむを得ずスピード違反で免停中のためバス通勤していた若い女性、アニー(サンドラ・ブロック)がハンドルを任された。果たしてジャックと乗客たちの運命は…!』


本日、金曜ロードSHOWにてキアヌ・リーブス主演の大ヒット映画『スピード』が放映されます。1994年に公開されたこの作品は、『ダイ・ハード』以降低迷が続いていたアクション映画業界に革命的な成功をもたらし、キアヌ・リーブスサンドラ・ブロックを一躍有名スターへと押し上げました。本日は、そんな『スピード』に関する「知っていればもっと楽しめるトリビアをご紹介しますよ。


●実は元ネタがあった?
『スピード』のストーリーが、「新幹線に爆弾が仕掛けられ、時速80キロ以下になると爆発する」という設定の新幹線大爆破(1975年)にそっくりなのは有名な話だが、実はもう一つ良く似た映画が存在する。それがジーン・ワイルダー主演の大陸横断超特急(1976年)だ。

その内容は「特急列車に乗った主人公が偶然ある女性と出会って事件に巻き込まれ、途中からパトカーや飛行機など次々と乗り物を換えながら追跡。最後は主人公とヒロインを乗せたまま列車が暴走する」というもの。

しかし、『スピード』の脚本を書いたグレアム・ヨストは、黒澤明原案の暴走機関車のシナリオを読んでストーリーを思い付いたと公言しており、色んな映画からちょっとずつ影響を受けている可能性も否定できない。

暴走機関車 [DVD]
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント (2009-05-22)


●撮影現場は超貧乏
派手なアクションシーンが多い『スピード』だが、その製作費は驚くほど安く、たったの3000万ドルしかなかった。当初、監督を打診されたヤン・デ・ボンはあまりにも安いバジェットに難色を示しつつも、既に50歳を超えていたこともあり、「これを逃したら映画監督になれるチャンスは無いかもしれない」と判断して引き受けることに。

しかし、「バスが車を破壊しながら進む」などの大掛かりなクラッシュシーンを撮るにはお金が掛かる。そこで、台風の被害で廃車になった自動車を安く買い取って撮影に使用するなど、様々な倹約と工夫を余儀なくされた。


●髪の毛を切り過ぎた!
撮影前に、「今回の主人公は短めのヘアースタイルでいこう」と監督から言われたキアヌ・リーブスは、何を勘違いしたのかほぼ丸坊主状態で現場に登場。”中学生の野球部員”みたいな頭を見てヤン・デ・ボン監督は大慌て!やむを得ず、強引にスケジュールを変更して、顔がよく見えない遠景のシーンから撮影を開始することになったらしい。

なおキアヌ・リーブス本人は、「頭の皮が見えるぐらい短く刈り上げたら監督から”短すぎる!”って怒られたよ。僕は結構気に入ってたんだけど(笑)」と全く反省することなく平然と語っていたそうだ。


●エキストラは400人
爆弾が仕掛けられたバスの走行シーンは、開通前のフリーウェイを約28キロ借り切って撮影。また、朝の交通渋滞を再現するため、車に乗った400人のエキストラが集められた。ちなみに、当時はフリーウェイがまだ建設中だったので、コンクリートを流し込んだり、標識を立てている側で現場の作業員に紛れながら撮影したらしい。


●打ち合わせはミニカーで
50人のスタントマンが車をクラッシュさせるという複雑なアクションを安全にこなすには、入念な打ち合わせが必要だ。そのために使用されたのが大量のミニカー。「ここでバスが突っ込んでくるから、君はその手前で右に曲がって…」という具合に、ミニカーを実際に動かしながら段取りを説明したおかげで非常に分かりやすかったとのこと。ただし、周囲からは大の大人がミニカーで遊んでいるようにしか見えなかったらしい。


●バスは12台あった
撮影に使用したバスは全部で12台。外観を撮るためだけに2台、爆破用に1台、照明の発電装置を取り付けた車内撮影専用が3台という具合に、状況に応じて様々な車両が用意された。その他にもジャンプ用、特注の油圧を使ってタイヤを沈ませた片輪走行用、爆弾処理シーンで車体の下側を映す用、スタント用などがある。

ちなみに、サンドラ・ブロックが運転するシーンを撮影する時には、運転席の真上にハンドルや座席を設置した特製のバスを使用。なんとドライバーは屋根の上で運転していたのだ!


●監督が自分でカメラを回す
画面には映っていないが、バスの中は乗客役の俳優の他に撮影スタッフが大勢乗り込み、常時混雑していた。そこへカメラや照明などの機材を入れるとカメラマンが入るスペースが無くなってしまう。結局、監督自らカメラを担いで撮影するハメになってしまい、酷い時には監督がカチンコを鳴らす場合さえあったという(普通は助監督の仕事なのに)。


サンドラ・ブロック大絶叫!
ほとんどのシーンではプロのドライバーがバスを運転しているが、サンドラ・ブロック自身が運転している場面もいくつかある(彼女は撮影のためにバス専用の大型ライセンスを取得していた)。ある日、監督はサンドラに内緒で「対向車が猛スピードで突っ込んで来るシーン」を撮影しようと企む。

何も知らないサンドラがバスを運転し、撮影を開始したとたん、衝突寸前まで迫ってくる大型トラックに大絶叫!「期待以上の最高のリアクションを見せてくれたよ(笑)」と大満足のデ・ボン監督。一方、サンドラ・ブロックはその後しばらく人間不信に陥ったらしい(^_^;)


●ミニチュア模型が大活躍、でもジェームズ・キャメロンは大迷惑?
キアヌ・リーブスがエレベーターの上に乗ってシャフト内を移動するシーンは、8分の1スケールで製作したエレベーターの模型にキアヌの映像を合成して作られた。また、列車が暴走後に脱線するクライマックス・シーンも、長さ15フィートのミニチュアを使用している(2.3馬力のモーターにより時速80キロで自走可能)。

これらのミニチュアを使った場面は、より高精度な合成技術を必要とするため、ソニー・ピクチャー・イメージワークス社のモーション・コントロール・システムを使って撮影された。ところが、この高性能マシンをめぐってジェームズ・キャメロン監督が大変な迷惑を被っていたらしい。

実はこのシステム、直前までキャメロン監督の『トゥルー・ライズ』を撮影するために貸し出されていたのである。しかし、スケジュールの遅れによりレンタル期限までに撮影が終わらず、途中でソニーへ返却することになってしまったのだ。ジェームズ・キャメロン曰く、「あの時は本当に焦ったよ。他の会社から違うシステムを借りてきてどうにか完成させたけど、撮影途中で機材を変更したのは痛恨のミスだった」と後々まで悔やんでいる。


●想定外の大ジャンプ!
本作最大の見どころと言えば、やはり15メートルほど途切れたフリーウェイの未完成部分をバスでジャンプするシーンだろう。あまりにも危険すぎるためにスタッフから”絶対に不可能だ”と猛反発を受けたものの、どうしてもやりたい監督が何度も頼み込んだ結果、一人のスタント・ドライバーが引き受けてくれることに。

普通の運転席ではドライバーの背骨が折れる危険性があったため、バスの中央部分に運転席を設置するなどの大改造を施した特製バスを製作(ドライバーは天井から宙づりの状態で運転した)。約2キロ助走し、時速98キロまで加速したところ、なんと予想を遥かに超えて30メートル以上もジャンプしてしまった。

撮影は大成功だったが、よりにもよって「これだけ離れていれば大丈夫だろう」と一番遠くに置いたカメラの真上にバスが着地したため、高価なカメラが2台も壊れるという大惨事に!監督曰く、「もう嬉しいんだか悲しいんだかわからないよ…」


スピード2 [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2010-06-25)

キアヌ・リーブスが降板したことで大コケしたシリーズ2作目。内容的にも全く評価されておらず、いまだに「最低の続編映画」と言われ続けている、ある意味気の毒な作品だ。

●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ