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【完全ネタバレ】映画『ステルス』はこうして作られた!

■あらすじ『アメリカ海軍の精鋭パイロット、ベン(ジョシュ・ルーカス)、カーラ(ジェシカ・ビール)、ヘンリー(ジェイミー・フォックス)。彼らは新型戦闘機ステルスを操縦し、新戦略プログラムの開発に取り組んでいた。そんな彼らのチームに、ある日4人目のパイロットが加わることに。しかし、空母に現れたそのパイロットとは、最新鋭の人工頭脳を搭載した、究極の無人ステルス“エディ(E.D.I.)”だった。ところが、飛行中にエディが落雷に打たれてしまう。制御不能となったエディは自我に目覚め、突如暴走を始めた!エディの行動を阻止するために、ベン、カーラ、ヘンリーが追撃に向かう。しかし、最高峰のレーダーでも探知できない究極のステルスに、苦戦を強いられる3人。彼らはエディを見つけ出し、攻撃を止めさせることができるのか。そして、人類の未来はどうなるのか!?「トップガン」から20年、ついに究極のハイスピード・スカイ・アクションが誕生した!』



本日、金曜ロードSHOWにて『ステルス』が放映されます。公開当時は「『トップガン』から20年、ついに究極のハイスピード・スカイ・アクションが誕生した!」などと大々的に宣伝されたものの、実際に見てみたらあまりにも突っ込みどころ満載のストーリーに大ブーイングが巻き起こり、世界中でコケ倒したといういわく付きの作品なんですよね(笑)。

とにかくもう、激しいアクションとデタラメなストーリー展開のギャップが凄すぎて、観ているうちにだんだん思考が麻痺してきます。近年、ここまでやりたい放題やってる映画もちょっと珍しいんじゃないでしょうか?突っ込みどころ満載というよりも「突っ込みどころしかない」って感じでした(汗)。

というワケで、本日はネタバレ全開でお送りしますので、映画を観ていない人はご注意下さい。まあ本作の場合は、例えストーリーを全部知ってしまったとしても特に何の問題も無いと思いますが(笑)。

まず、訓練飛行中に緊急事態が発生し、急遽ミャンマーの首都:ラングーンへ向かう主人公たち3人。しかし、ミャンマーの首都はヤンゴンです。冒頭からいきなり地名を間違えるというアバウトさに、先行きの不安感を隠せません。

そして、テロ組織の指導者が潜伏しているという情報を得て、いきなりそのビルを爆撃。うわ!市街地のド真ん中ですよ!?犠牲者出まくりじゃないですか!つーか、勝手によその国の建築物を破壊しちゃっていいのかよ?などと、序盤から衝撃シーンが炸裂してド肝を抜かれますが、こんなものはまだまだ序の口です。

任務を終えて帰還中に、雷に打たれてあっけなくコンピューター(エディ)が壊れてしまいました。通常は飛行機に落雷しても機器が壊れることは滅多にないはずですが、最新鋭のハイテク戦闘機なのにこんなにあっさり壊れるとは…。

その後、エディを修理している間は暇なので、タイでのんびり休暇を取る3人。なぜ、タイなのか?それは監督のロブ・コーエンタイ好きだったからです(いや、マジなんですよこれがw)。しかし、エースパイロットが3人いっぺんに休暇を取るなんて有り得ません(普通、順番に取るんじゃないの?)。完全に、ジェシカ・ビールの“セクシー水着ショット”を見せるためだけのサービスカットとなっています。あざといまでのお色気シーンに思わず視線が釘付けになりましたよ、トホホ。

そんなお気楽三人組がタイで”ゆるゆるのラブ・ストーリー”を満喫していると、突然「タジキスタンで移送中の核弾頭を爆破せよ」という任務が。しかし、出撃したエディがまたもや故障し、近くに住んでいる農民約1000人が巻き添えに!

さらに、カーラの戦闘機が北朝鮮上空で操縦不能となり、やむなく脱出。カーラは北朝鮮に取り残されてしまいました。その直後に戦闘機が自爆!え?戦闘機って、ホントにこんな機能がついてるの?危ないなあ。

燃料が残り少なくなってきたのでロシア上空に浮かぶ無人の空中給油機へ向かうエディ。気球みたいな給油装置が空中にプカプカ浮かんでいる図は、もはやSFというよりファンタジー

「猛スピードで飛んでいるジェット戦闘機が、どうやったらアレで給油できるのだろう?」と思ってたんですけど垂直離着陸機なので問題ありませんでした(しかし、そうなるとあの給油機はVTOL機専用ってこと?普通のジェット機は使えないよなあ)。

暴走状態のエディを追いかけて領空侵犯したベンに対し、当然の対応として攻撃を仕掛けてくるロシアの戦闘機SU-37。しかし、逆に全てのロシア機を木っ端微塵に撃墜!悪いのはベンなのに!オマエは戦争を起こす気かあああ〜!?

その後もベンの暴走ぶりは益々ヒートアップし、完全に手が付けられない状態に!カーラを救出するために北朝鮮に乗り込み、兵士たちを片っ端から殺害してゆくベン。猛烈な爆炎に包まれる38度線の国境警備施設!ミサイルをブッ放すわ、機関銃を乱射するわ、もはやどっちがテロリストなのかわかりません。怖ええええ!

というワケで、本作は「アメリカ軍が勝手に他国に侵入して施設や機械を根こそぎ破壊しまくる映画」です。人的被害は軽く数千人を超えると思われ、アメリカに批判が殺到するのは避けられないでしょう。

こんなに酷いストーリーを作っておきながら、「大義名分があれば何人殺しても一切おとがめ無し!」と言わんばかりのハッピー・エンドには腰が砕けました。むしろ、”ちょっと感動的な終わり方”に仕上げようとしている小賢しい演出すら見受けられ、呆れ返って言葉も出ません、トホホ。

完全に「アメリカ万歳!」の視点で作られたドラマですが、さすがに当のアメリカ国民でさえもこの”やりすぎ”なストーリー展開にはついていけなかったようで、1億4千万ドルの製作費に対し、興行成績はわずか7700万ドルという散々な結果に終わったそうです。いかにも続編がありそうなエンディングですが、この成績ではほとんど絶望的と言っていいでしょうね(実際、続編の計画は中止になった模様)。

さて、こんなにもストーリーが酷い『ステルス』なんですが、僕は割と楽しめました。理由は、「ストーリー的にはともかく、これぞ大画面で観るべき映画だ」と実感したからに他なりません。

ワイルドスピード』や『トリプルX』など、スピード感溢れるアクション映画に定評のあるロブ・コーエン監督がメガホンを取っただけあって、最新鋭戦闘機同士が繰り広げる空中戦は空前絶後のド迫力!成層圏を舞台に展開される音速のハイテンション・バトルは、未だかつて見たことも無いような凄まじいビジュアルを炸裂させています。

ワイルド・スピード (字幕版)

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キメのシーンになると、いきなり視点が「ギュイーン!」と機械の中を駆け巡るという独特のカメラワークが特徴的なコーエン監督ですが、本作でも縦横無尽にカメラが動きまくっていますよ(『攻殻機動隊』の影響か?)。

さらに、これまでに無いリアルな飛行シーンを映像化するために、ステルス機はもちろん、バックプレート(背景)となる山や草原や空なども全て3DCGで製作。これにより、まさに実写版『マクロス』とも言える驚異的なカメラワークを生み出す事に成功したのです。

実は、ロブ・コーエン監督は日本のアニメが大好きで、インタビューでも「『マクロス・プラス』や『戦闘妖精・雪風』はカッコいいね〜!」とコメントしている事からも、アニメの影響を受けたと見て間違いないでしょう(さすがに”板野サーカス”は出てきませんがw)。

またCGの功績だけでなく、米海軍の全面協力のもと、本物の空母を使用する許可が得られたのも大きいと思います。そこへ、実物大のステルス戦闘機の模型を載せて撮影したり、さらに空母から発進・着艦するシーンでは巨大なミニチュアを使用するなど、リアリティにこだわったVFXは本物と見紛うばかりの物凄い臨場感!



そして、ロブ・コーエンといえば、マイケル・ベイにも負けないほどの豪快な大爆発シーンがお約束ですが、今回も観客の期待を裏切らない”とてつもない大爆発”が満載ですよ。とにかく、冒頭からドッカンドッカン常に何かが爆発しているのですから、ハンパじゃありません。僕の隣に座っていた女の子は、あまりの爆音にずっと耳を塞ぎっぱなしでした(笑)。

中でも最も大きな爆発シーンは、格納庫をミサイルで吹っ飛ばすシーンです。通常の5倍ものガソリンと爆薬を使用したこの爆破シーンは、計画を立てるだけで4ヶ月もかかるほど大掛かりなものでした。あまりにも大規模な爆発シーンになることが予想されたため、事前に「宇宙から見えるほどの大爆発が起こりますが、映画の撮影なので心配しないで下さい」と、わざわざNASAから各国の政府機関に連絡してもらったというのですから正気の沙汰とは思えません(もはや撮影というよりも、”ちょっとした核実験”ですよw)。

撮影本番では合計14台のカメラを一気に回し、わずか2秒間に可動すべきギミックが450も仕掛けてあるために、OKテイクを撮るチャンスはたったの1度だけというシビアさ!そんな過酷な条件をクリアして撮っただけあって、爆発の迫力は前代未聞!何人ものスタントマンが爆風に巻き込まれながら次々と吹き飛ばされていく様は、「火薬の量を間違えてるんじゃないの?」と心配になるほどの絶大なインパクトを放っています。これぞまさしくコーエン爆発!お見事!

というわけで、本作の見所は「凄い空中戦」と「凄い爆発」と「凄いジェシカ・ビールの水着姿」の三つです。中でも、ジェシカ・ビールはニューヨーク米エスクワイア誌による「世界で最もセクシーな女性」の調査で、堂々の1位に選ばれたほどのプロポーションの持ち主(ちなみに昨年はアンジェリーナ・ジョリーが選出されました)。同誌の11月号の表紙を飾っており、その水着姿は一見の価値有りと言えるでしょう。


僕は劇場で観賞したんですけど、ハチャメチャな内容に腹が立つどころか、逆に突っ込みどころが面白くて爆笑しながら観てました(笑)。とにかく、想定外の方向へ突っ走る破天荒なシナリオは、完全に常人の理解を越えています。「バカ映画好き」な人は充分に楽しめるんじゃないでしょうか。

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