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映画『X-NEN:ファースト・ジェネレーション』ネタバレ感想


■あらすじ『ソ連との冷戦が続く1960年代のアメリカ。強力なテレパシー能力を持つ青年チャールズ・エグゼビアは、自分と同じように超人的な能力を持つ者が次々と出現していることに気づいていた。そんな中、幼い頃に母親と引き裂かれた悲しい過去を持つエリック・レーンシャーと出会う。彼もまた、金属を意のままに動かすことができるミュータントだった。ミュータントたちを結集し、その能力を人類のために使い、平和を築きたいと考えるチャールズはエリックに協力を求める。次第に友情を育んでいくチャールズとエリック。そんな2人の前に、ミュータントの超能力を利用して世界征服を企む男セバスチャン・ショウが立ちはだかる。しかもセバスチャンは、エリックにとっては母親の仇でもあった。やがて、チャールズとともに若きミュータントたちを率いてセバスチャンに戦いを挑むエリックだったが…。これまで語られることのなかったプロフェッサーXと宿敵マグニートーの若き日にスポットを当て、X-MEN誕生にまつわる知られざる物語を壮大なスケールで描き出すSFアクション・エンターテイメント超大作!』



『X-NEN:ファースト・ジェネレーション』を鑑賞しました。

本作は映画版『X-MEN』シリーズの第4作目(『ウルヴァリン』を入れれば5作目)にあたる劇場作品だ。しかも、完結した三部作の続編ではなく、仲間達との出会いや「X-MEN」という組織が作られる過程を描いた前日譚(プリクエル)である(最近のハリウッドはネタに困るとすぐこのパターンに走るなあw)。

本作の主人公は、若き日のチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)とエリック・レーンシャー(マグニートー)。本編(『X-MEN』〜『3』)では敵対している二人だが、かつては共に戦い協力し合う親友同士だった。彼らが、なぜ袂を分かつことになったのか?その因縁話を歴史的事件のキューバ危機に絡めてドラマチックに描いている。

とにかく、チャールズとエリックがイイ!二人は性格も育った環境もまるで正反対なんだけど、どこかでお互いを認め合い、その能力を信頼している。なにより、「ミュータントの価値を高めたい」という共通の願いを持っている。しかし、「人類とミュータントは共存すべきだ」というチャールズの思想にエリックはどうしても同意することができない。なぜならエリックにとって人類とは、自分達ミュータントを迫害する敵だから。

それでも二人は共通の宿敵:セバスチャン・ショウを倒すために手を組み、テレパシー能力を増幅させる装置を使って世界中からミュータントを探し出し、彼らを訓練して「X-MEN」を結成する。やがてキューバ危機が勃発、第3次世界大戦を食い止めるために出撃するX-MENロッキード社製超音速ジェット機SR-71(ブラックバード)にそっくりな機体がホバリングしてたけど、60年代当時にあんな技術があったのか?という疑問はさて置き、ここからのバトルは本当に凄い!

ビースト、バンシー、ハヴォックなど、個性的な能力を持つメンバー達が大活躍(バンシーは超音波を真下に発射して自分の体を浮かせているんだけど、ちょっと無理じゃない?)。一方、X-MENチームに対抗する敵側ミュータントでは、アザゼルがかっこ良すぎ(顔が赤いのでヘルボーイを思い出した)。テレポートの瞬間に「バシュッ!」と出るエフェクトがイカス。

エマ・フロストはテレパスと自分の体をダイヤモンド化する能力。エンジェルは高速飛行しながら口からドラゴンみたいに炎を吐いていたけど、あんなに強かったのか。リップタイドはイケメン・ホストにしか見えんな。にしても、セバスチャン強え〜!

そして迎えたクライマックス、チャールズとの別れを決断するエリックの表情が切なくて泣ける。なぜなら、チャールズはこの世でただ一人、自分の全てを理解してくれる”親友”だったから(チャールズはテレパシーで他人の思考を完全に読み取ることができる)。今は亡き、母親との想い出を共有できるたった一人の友。きっとエリックはチャールズに最後まで一緒について来て欲しかったんだろうなあ。

ラストシーンで「最強のテレパスが私の元を去ってしまって寂しいんだよ…」とつぶやくエリックのセリフに彼の悲しい本音が見える。単なる勧善懲悪のSFアクションではなく、二人の複雑な友情と絆を描いたドラマ展開が実に素晴らしい。確実に全国の腐女子が悶絶するな、こりゃ(笑)。

もちろんドラマだけでなく、「大量に飛び交うミサイル」や「ミュータント同士の壮絶バトル」など、最新VFXを駆使した派手なアクションシーンも見どころだ。中でも、エリックのサイキックパワーで空高く持ち上げられる巨大な潜水艦のビジュアルは圧巻。なんと、視覚効果は特撮映画の大御所:ジョン・ダイクストラである(まだ現役だったのかw)。1960年代を舞台に、「もしこの時代にヒーローが活躍していたら…」というIFの世界を見事に映像化したマシュー・ヴォーン監督の力量も只事ではない。

その他の登場人物として今回フィーチャーされているのは、”青い女”ことミスティーク。幼い頃からチャールズと暮らしていた彼女が、なぜマグニートー側に付くことになったのか?その秘話が明かされる。”普通の姿”に憧れ、当初はミュータントとしての自分を忌み嫌っていたミスティークだったが、傷つき悩みながらも次第に心情が変化していく。その様子が、単調になりがちなアメコミヒーロー物のキャラクターに深みを与えていて好感触。尚、演じるジェニファー・ローレンスのいかにも健康優良児的な外見が気になった。ちょっとポッチャリし過ぎじゃない?

というわけで、『X-NEN:ファースト・ジェネレーション』は派手なアクションと泣かせるドラマが奇跡的なバランスで融合した極めて良質なヒーロー映画である。所々、「それはちょっといかがなものか?」と思うような描写があるものの、これまでの『X-MEN』シリーズの中ではダントツの完成度と言えるだろう。必見です!



以下、ネタバレを含みながらツッコミどころなど。

●なんでエリックは母親を殺された時にその怒りをショウにぶつけなかったんだろう?あのシーンはどう見ても不自然だよなあ。

●プロフェッサーXが車椅子生活になった理由ってそれ?『X-MEN3:ファイナル・ディシジョン』のエピソードと矛盾してない?いくら監督がブライアン・シンガーのファンだからって、ブレット・ラトナー版を無かったことにするとはあんまりだ。

マイケル・アイアンサイドがこんなところに!

●チャールズ、「髪の毛に触るな!」とか「将来ハゲるかも…」とか、頭髪を気にし過ぎ。そんなに神経質だから毛が抜けるんだよw

●「時代設定的にはウルヴァリンもどこかにいるはずだよなあ」と思っていたら、出ましたよヒュー・ジャックマン(笑)。しかし、まさかそんな理由でX-MENの第1期生メンバー選考から外されていたとは(笑)。チャールズもエリックも二人揃ってビビり過ぎだろ!もっとしっかり勧誘しろよ!


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