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ポール・バーホーベン監督作品『ブラックブック』映画感想

■あらすじ『1944年9月、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。美しいユダヤ人女性歌手ラヘルは、ナチスから逃れるため一家で南部へ向かっていた。しかし、ドイツ軍の執拗な追跡にあい、ついには彼女を除く家族全員を殺されてしまう。その後、レジスタンスに救われたラヘルは、ユダヤ人であることを隠すため髪をブロンドに染め、名前をエリスと変えて彼らの活動に参加。そしてナチス内部の情報を探るため、ナチス将校ムンツェに接近、彼の愛人となることに成功する。家族をナチスに殺されたユダヤ人女性が、レジスタンスに加わりスパイとしてドイツ将校に接近するのだが・・・。「トータル・リコール」や「スターシップ・トゥルーパーズ」のポール・ヴァーホーヴェン監督が、母国オランダに戻りオランダ映画史上最高の制作費をかけて描く戦争ドラマ巨編。過酷な運命に翻弄されるヒロインの愛と復讐の物語が、エロスとバイオレンスもふんだんにスリリングに綴られていく。主演は「ネコのミヌース」で注目を集めたカリス・ファン・ハウテン。』



ロボコップ』や『スターシップ・トゥルーパーズ』など、凄まじいバイオレンス描写の数々で観る者全ての度肝を抜いた奇才ポール・ヴァーホーヴェン監督。最近名前を聞かなかったが、『ブラックブック』は『インビジブル』以来、実に6年ぶりの新作である。

ロボコップ』では、銃で主人公の頭をぶち抜くシーンを撮ったものの、あまりにも残酷すぎたためにカットされたり、『スターシップ・トゥルーパーズ』では、何百人もの死体の山を登場させたクセに肝心のパワードスーツは1秒も画面に登場せず、ファンの大ヒンシュクをかってしまうなど、話題には事欠かない豪快な監督である(後に、原作の『宇宙の戦士』を1ページも読んでいなかったことが判明、トホホ)。

おまけに『インビジブル』では、「透明人間が女性の乳首をいじくり倒す」という極めてどうでもいいシーンに最新鋭のCG技術を惜しげもなく投入し、映画史に残る珍場面を製作したため、「金とテクノロジーの無駄使いだ!」と世界中から批判を浴びる結果となってしまった。まさに「暴力と下ネタの映画監督」、それがポール・ヴァーホーヴェンなのである。

僕はそんなヴァーホーヴェンが大好きなので期待して『ブラックブック』を観たのだが、予想と全く違う内容にビックリ仰天!確かにエロいシーンや下品なシーンも有るには有るが、それらは必要最小限に抑えられ、映画はあくまでも「戦争に翻弄される女性の数奇な運命を綴った一大ドラマ巨編」となっている。何も知らずに観たら“ポール・ヴァーホーヴェン監督作品”という事に気付かない可能性すらあるかもしれない。何というか、“風格”のようなものが感じられ、これまでの彼の作風とは明らかに異なっている。

いったいどーしたんだ、ヴァーホーヴェン!?年もとったし、いつまでもバイオレンスを撮ってる場合じゃないってことか?いや、映画自体は物凄く面白いし、『スターシップ・トゥルーパーズ』なんかと比べて「人に胸を張ってオススメできる」という点では非常に優れた作品だとは思うんだけど(笑)。

映画の感想は、「サスペンスの部分がちょっと弱いけど、ドラマ部分が非常に見応えがあって良く出来ている」という感じ。陰毛の色を変えたり、頭からウンコをかぶったり、主人公の試練が壮絶すぎて最後まで目が離せない。誰かが「オランダ版嫌われ松子の一生」と言っていたが、まさにその通りの映画だ(笑)。


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