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レオナルド・ディカプリオ主演『ディパーテッド』感想

■あらすじ『マサチューセッツ州ボストン。犯罪組織との繋がりを持つ自らの生い立ちと決別すべく警察官を志したビリー・コスティガン。一方、マフィアのボス、コステロによって育てられ、スパイとなるべく警察に送り込まれたコリン・サリバン。同じ警察学校に学んだ2人は、互いの存在を知らぬまま、共に優秀な成績で卒業。やがて、コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ特別捜査班に抜擢され、コステロを標的とした捜査活動に加わる。一方ビリーは、その優秀さを買われ、マフィアを内部から突き崩すべくコステロのもとへ潜入するという極秘任務を命じられるのだった。こうして、それぞれに緊張の二重生活を送るビリーとコリンだったが、ついに警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、徐々に2人は窮地に追い込まれていく。大ヒット香港ノワールインファナル・アフェア」をハリウッドの豪華スタッフ・キャストでリメイクした衝撃の犯罪サスペンス!警察に潜入したマフィアの男と、マフィアに潜入した警察の男、そんな対照的な2人を待ち受ける皮肉な運命を、重厚かつリアリティあふれる演出でスリリングに描き出す!』



本作は大ヒットした香港ノワールインファナル・アフェア』の正式なリメイクであるが、リメイク物や原作付きの映画を観る時、僕がいつも気にしている事がある。それは(過去に何度も書いてきた事であるが)、「オリジナル作品あるいは原作を事前に観ているかどうか」という事だ。基本的なスタンスは「映画は映画単体で評価すべき」だと思う。

しかし、単に映画だけを観る場合と、元になる作品を観た後で映画を観る場合とでは評価の仕方に無意識のうちに変化が生じてしまうのだ(どうしても比べてしまう)。特に“原作のファン”だったりすると、必要以上に本人の主観が入ってしまうのは、ある意味“やむを得ない事”と言えよう。そして、そんな観客の評価を見る限りにおいて、過去に「オリジナルよりも面白い!」と言われたリメイク作品は皆無に近い(もちろん例外はあるが)。つまり、“リメイク”という時点で、既にある程度のハンデを背負ってしまっているのだ。

さて、問題の『ディパーテッド』であるが、僕はオリジナル版の『インファナル・アフェア』を観ており、かなり面白い映画だったと記憶している(でも、それほどファンというわけでもない)。まあ、「そういう目線で本作を評価しているんだな」と思って以下の文章を読んでいただきたい。

主演はレオナルド・ディカプリオマット・デイモン、共演にジャック・ニコルソンマーク・ウォールバーグマーティン・シーンアレック・ボールドウィン。製作はブラッド・ピット。そして監督は『グッドフェローズ』『アビエイター』のマーティン・スコセッシ。まさに「コレでも喰らえ!」と言わんばかりの豪華なキャスト&スタッフの面々には圧倒させられる。また、大道具小道具やガジェットの数々にも貧乏臭さは微塵も感じられず、「さすがハリウッド!」と納得の金の掛け方だ。

しかし、肝心の内容の方はどうだろう?物語はほとんど一緒だが、オリジナル版に感じられた「緊張感」や「哀愁」のようなものが、本作からはさっぱり伝わって来ない。『インファナル・アフェア』との相違点をいちいち挙げて比較する事はあまり意味が無いのでやらないが、一つだけ気になったシーンがある。

ジャック・ニコルソンの部下がディカプリオのギプスを壊して調べる場面だ。シーン自体はオリジナルと同じだが、『インファナル・アフェア』ではここに“あるトリック”が仕掛けられていた。ネタバレになるので詳しくは書かないが、このトリックによって警察と犯罪者との駆け引きや緊張感を上手く演出していたと思う。

しかし、『ディパーテッド』ではただ単にギプスを壊しただけで、そこには何の意味も無いし、伏線にもなっていない。機械的に「同じシーンを入れただけ」という感じだ。これはほんの一例だが、どうも全体的に「ストーリーと設定を同じにして、キャストに金掛けてりゃOKでしょ!」みたいな雰囲気が見え隠れしている(ような気がする)。

ラストシーンも(オリジナルを観た者として言わせてもらえれば)唖然とするような終わり方だ。あんなんでいいのか?元のストーリーが良く出来ているので退屈する事は無いものの、さりとて心に響くような映画では決してない。オリジナルを観てない人にはそれなりに面白いのかもしれないが、ちょっと微妙な感じだなあ(ましてや、アカデミーを獲るに値する作品とはとても思えん)。

ちなみに、見どころはもちろん豪華スターの共演、特にジャック・ニコルソンの怪演は相変わらず凄い。全くいつも通りのニコルソンで、役作りをしているのかどうかも良く分からんぞ(笑)。ニコルソンの顔芸が最大の見所かも。



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