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実写映画版『デスノート the Last name』ネタバレ感想

■あらすじ『死神リュークが落とした“デスノート”を拾い、野放しになっている凶悪犯を次々と粛清していく天才大学生、夜神月藤原竜也)。巷では犯罪者の連続不審死を救世主“キラ”の出現と噂し始める。一方、一連の“キラ事件”を捜査するためインターポールから送り込まれたもう一人の天才L(松山ケンイチ)がキラを追いつめていく。やがて月は、“キラ逮捕に協力する”と称して、自ら捜査本部に乗り込んでいく。そんな中、リュークとは別の死神レムのデスノートが舞い降りた。それをキラを崇拝するアイドル、弥海砂戸田恵梨香)が手に入れ、自ら第2のキラとなり行動を開始する!原作とは異なる衝撃のラストシーンに刮目せよ!』



絶賛公開中の『デスノート後編 the Last name』を観て来た。前作の『デスノート』が「まあまあ」の面白さだったので、大した期待もしてなかったんだけど…不覚ッ!想定外に面白いじゃないかッ!確かに、所々整合性に欠ける部分もあるし、演出的に突っ込みを入れたくなる場面も多い。

しかし、原作の長大な物語(手元に無いので分からないが、恐らく単行本4巻ぐらいから最終巻までのボリューム)をわずか140分に詰め込み、しかも核となるエピソードを上手く継ぎ接ぎする事によって、緊張感を持続させたまま最後まで一気に見せ切る手腕は実に見事。素晴らしい!

というわけで、まずはネタバレとは関係無い話から。「美少女を撮らせたら天下一」との異名を取る金子監督だが、今回もその実力は如何なく発揮されており嬉しい限り。中でも戸田恵梨香演じるミサの監禁シーンは、変態的エロさを感じさせる名場面である(笑)。

目隠しをされ、分娩台みたいな拘束器具に手足を固定されたミサミサを下からあおるという、いやらしいにも程があるカメラアングルで撮りまくった金子監督。アンタはエラい(笑)。

そして、今回原作とは異なるキャラクターとなっている高田清美を演じた片瀬那奈も要チェック。偶然デスノートを手に入れた彼女はソファーに寝そべってレムと会話をするが、なぜか薄い下着姿。おまけに、意味も無くセクシーなポーズを強調するなど、無駄なエロスも満載だ(笑)。ストーリーの進行上、服を脱ぐ必要性は全く無いにもかかわらず、片瀬那奈の美脚を撮るためだけにこのシーンを入れた金子監督、アンタは正しい(笑)。

さらに、上原さくら(西山冴子)や満島ひかり夜神粧裕)の“ミニスカート率”の高さもハンパではない。特に、「さくらテレビ祭り」の時の粧裕は、パンツが見えそうで見えない絶妙なポジションを確保しており、監督の尋常でないこだわりを感じさせる名場面だ。金子監督、お見事です!(笑)


というわけで、ここからが本題。以下、全面的にネタバレしてますので、映画を観てない人はご注意下さい!


さて、本作における最大の功績は何と言ってもラスト20分の映画オリジナル・ストーリー展開であろう。レムがデスノートに名前を書いた事によって絶命するL。漫画を読んだ事のある観客は「ああ、ここまでは原作通りなんだ。じゃあ、この後いったいどうなる?」と画面に釘付けとなるハズ。そしたらなんと、Lが生きてた!

そりゃあもう「えええ!?何でだあああ!?」とビックリ仰天するしかない!まあ、「死んだと思わせて実は…」って流れは昔から良くあるパターンなんだけど、一度原作を読んでしまうとまさかそこにトリックが仕掛けられているとは考えられないのだ(逆に、映画版しか観ない人は大して驚かないかもしれない)。

デスノートのルールにきっちり従いつつ、原作には出てこない大胆かつデンジャラスな方法で天才:夜神月を見事に欺く驚愕の大どんでん返しが炸裂!更に、自らノートに名前を書いたLの決断にも驚かざるを得ない。

「月の行動を止めるには、もはやこれしか方法が無い!」と悟ったLは、文字通り”決死の覚悟”で実行したのだろう。まさに、命を懸けた逆転劇!Lファンにはたまらん展開である。

そして、もう一つの特筆すべき点は、”ドラマ性の向上”だ。これは良く言われている事だが、原作版の『デスノート』にはほとんどドラマが描かれていない。原作者自身も、「『デスノート』は人間ドラマを強めるよりも、現実の厳しさを容赦無く描く事に重点を置きました。ドラマ要素を切り捨てて事実だけを展開し、事件主導でストーリーを動かしたかったんです」とインタビューで語っているように、始めからドラマを描く事を放棄していたのだ。

しかし、ドラマの無いマンガは読んでいて段々苦痛になってくる。ドラマが無ければキャラクターにも感情移入し辛いからだ(僕自身も、原作版はLが死ぬところまでは結構面白く読んでいたが、それ以降の話は正直どうでもいいと思っている)。

ところが、映画版『デスノート』にはちゃんとドラマが存在しており、それに伴ってキャラクターの魅力も上昇しているのだ。中でも、夜神総一郎の活躍ぶりが特に著しい。ドラマ要素が欠落した原作ではどうしても正義感の説得力に欠け、Lの足を引っ張っているだけの印象しか無かったが、見せ場が作られたことで格段に魅力が増している。

クライマックスシーンで、父に同意を求める月に対し、「お前の思想は理解できない!」ときっぱり言い切る姿のなんてカッコいいこと!昔、月に六法全書をプレゼントしていたり、Lに良い父のように慕われたり、映画版の『デスノート』は“父性”を強く感じさせるドラマに仕上がっている。この人が死ななかったから、本作は人の心に響く物語になったのではないだろうか。

また、Lの”人間性”が向上した点にも注目したい。原作では、常に冷静でお菓子を貪り喰うだけの”変人”というイメージしかなかったが、映画版では”正義の為ならば、命を懸ける事も厭わない”という熱血(?)キャラに変貌している。さらに、ラストシーンの総一郎との会話で見せる切ない一面も好感度アップの要因かと(Lのファンはここで泣くんだろうなw)。

そして、夜神月こと藤原竜也の熱演ぶりも素晴らしい。特に、クライマックスで熱弁を振るうシーンは舞台劇を思わせる迫力に満ちており、実に見応えがあった。こういう役をやらせたら本当に上手いなあ。

総評として、映画版『デスノート』はかなり面白い。内容は“原作名場面総編集”という感じで非常に密度が濃く、更に原作には欠けていた”ドラマ性”を補う事によってより一層ストーリーの完成度を高めている。

ダメな部分ももちろんあるが、少なくともマンガを原作とした映画作品の中では、成功した部類に入ると言っていいだろう。いや、個人的にはむしろ”原作よりも面白い”とさえ思える程だ。しょーもない終わり方でガッカリさせられた原作版より、数倍マシな展開で大いに満足。

ふと思ったんだけど、これってもしかして”『デスノート』の理想像”なんじゃないだろうか?ファンが考える”こういう話であって欲しい”という『妄想デスノート』とでも言うべき内容を、忠実に映像化した作品なのでは?だとすれば、まさに原作を超えた映画って事になるのかも!?

というワケで、予想外に感動的な映画となっていた『デスノート』。ラストの展開は本当に切なく、レッチリの主題歌もいい感じ。いや〜、まさかデスノートでホロッと来るとは思ってもいませんでしたよ(笑)。

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