■あらすじ『父親をマフィアに殺され生きる気力を無くしていたエム・オハラは、偶然サンフランシスコで殺人現場に居合わせ、冷徹に殺しを終えたあと清らかな涙を流す殺し屋に出会った。彼はチャイニーズ・マフィア“竜の末裔”に素質を見出され、“フリーマン”と呼ばれる殺し屋となった火野村窯という日本人だった。殺されたのは中国進出を企む日本ヤクザ“白真会”組長・島崎の息子で、バンクーバーに戻ったエムは、事件の目撃者としてニッタ、フォージ両刑事の保護を受ける。島崎は、フリーマンの目撃者暗殺をチャイニーズ・マフィア対抗策の端緒にしようとバンクーバーを訪れるが、島崎もまた窯に襲撃され殺されてしまった。再び窯の姿を目撃したエムは、もはや彼に殺されるのを待つかのようになっていたが、ある夜、エムのもとにやって来た窯は彼女を殺す事が出来ない。何かに導かれるようにエムと結ばれる窯。そして、愛し合う二人に過酷な運命が待ち受ける!(1996年)』
海外でも大人気の小池一夫・池上遼一コンビによる同名コミックをもとに、中国秘密結社の孤独な殺し屋の活躍を描く日仏合作のクライム・アクションです(フランスでの先行公開では興行成績第1位を記録し、大ヒットしたらしい)。
フランス映画でありながら、日本との合作のためか日本や香港の俳優が大量に出演しており、異常にアジア人率が高くなっているのが特徴。画面だけ見るとリュック・ベッソンの映画を思い出しますが、内容の方も負けず劣らずで、かなりワケが分かりません(笑)。
主人公のフリーマンを演じるのは、有名なのかそうでないのか判断が微妙なマーク・ダカスコスですが、最大の問題は“渡辺裕之に見えて仕方がない”という点でしょう。この渡辺フリーマンがとにかく強い!激しい銃撃戦になっても、自分の撃った弾は百発百中なのに、敵の弾は全く当たらないのですからまさに神懸かり的強さです。
というか、あまりにも強すぎて緊張感ゼロ。完全に逆効果としか言いようがありません。まさに、スティーブン・セガールにも匹敵するほどの無敵ぶり!しかし、ガン・アクションそのものはなかなかのかっこ良さです。編集を担当しているのが、『男たちの挽歌』のデヴィッド・ウーなので、スローモーションを多用したいつものスタイリッシュな銃撃シーンが堪能できますよ。
さらに、北海道には“フリーマン秘密基地”がありまして(笑)、一見老朽化した普通の木造住宅ですが、実は至るところに最新式の銃火器を大量に隠してあるのです。これらの武器を使って侵入してきたヤクザどもを次から次へとぶち殺すシーンは、『コマンドー』を彷彿とさせるようなド迫力。おまけに、家の中にはイザという時の為の時限爆破装置まで仕掛けてあるのですから、用心深さも尋常ではありません(必要あるのか?)。
また、ヤクザのボスを演じるのは加藤雅也と島田陽子。良くこの手の映画に出ていますが、一応国際俳優なのでしょうか?かなり強烈なキャラクターとなっており、特に島田陽子はヌードになったり銃を撃ったり大活躍です。そして相変わらず刑事役で出ているチェッキー・カリョは、有り得ないぐらいかっこ悪い死に方で観る者の意表を突きまくります。こんなんでいいんでしょうか?
総合的に本作は、まったりしたドラマの合間にスタイリッシュなアクションを挟み込んだ、なんとも言えない微妙な映画となっています。唯一誉められる所は、“ヒロインが結構美人”だという事ぐらいでしょうか。名前も良く分からない女優さんですが、ちょっとニコール・キッドマンに似ているような気がしないでもない整った容貌はなかなか魅力的。しかも、お約束のようにベッドシーンまであるのですから、かなり頑張っていますね。
ただし、彼女よりもマーク・ダカスコスの方が脱ぎっぷりがいい、というのは納得できません。画面いっぱいにマークの尻が映し出されるとさすがにゲンナリします。他にも、マークが全裸でいたぶられるシーンなど、誰を喜ばせる為に撮ったのか良く分からない場面が満載なので早送りしたい気持ちを抑えるのが大変でした。まあ、暇で暇でどうしようもない時以外は観ない方が良いでしょう(笑)。
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