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劇場版『銀河鉄道999』ネタバレ感想

銀河鉄道999

■あらすじ『幼少の頃、機械伯爵に母を殺された過去を持つ星野鉄郎。あれから数年が経ち、鉄郎はメガロポリスで機械化人に追われているところを謎の美女メーテルに助けられる。彼女は鉄郎に銀河超特急999号の無期限パスを手渡し、「これをあげるかわりに自分を旅に連れて行って欲しい」という、夢のような条件を差し出した。母を殺した機械伯爵への復讐を誓った星野哲郎は、永遠の命を与えてくれるという惑星を目指し銀河鉄道999号に乗りこむ。アンドロメダに向けて二人の旅が今、始まろうとしていた。メーテルと共にアンドロメダを目指す鉄郎の、様々な出会いと別れを描いた感動超大作アニメーション!(1979年)』



この映画って26年も前の作品なのか!懐かしいなあ。当時僕は小学生になったばかりで、母親にねだって映画館に連れて行ってもらった記憶がある。公開当時は大変な大ヒットを記録し、劇場内は超満員。座る場所も無くて、通路にしゃがんで夢中になって観てたんだよね。

今回久しぶりに観てみたけど、さすがに絵は古い。最近の緻密に描き込まれたアニメを観慣れた人の目には、恐ろしく古臭いヴィジュアルに映るだろう。だが、この映画の凄さは“圧倒的なドラマ性の高さ”であり、“作品とマッチした見事な音楽”であり、“全編を貫く壮大なテーマ”にあるのだ(絵の古さなんて関係無いんだよ!)。

本作の素晴らしさを一言で言うならば、それは「名セリフが多い」という事ではないだろうか。良い映画の条件とは、「心を揺さぶるような名セリフや名場面があるかどうか」だと僕は思っている。その点、本作はまさに「名セリフ」の宝庫だと言っても過言ではない。

●トチローの母「あの子はもう二度と戻ってくる事は無いと分かってる。それでも行くなとは言えないんだよ。男の子だものね、息子は。男の子を産んだんだから、仕方が無いよねえ」


●鉄郎「永遠に生きる事が幸せじゃない。限りある命だからこそ人は精一杯生きるし、思いやりややさしさもそこに生まれるんだ」


ハーロック「男なら危険を顧みず、死ぬと分かっていても行動しなければならない時がある。負けると分かっていても、闘わなければならない時がある!」


メーテル「私は貴方の、思い出の中にだけいる女。私は貴方の、少年の日の心の中にいた青春の幻影」


●ナレーション「今、万感の思いを込めて汽笛が鳴る。今、万感の思いを込めて汽車がゆく。一つの旅は終わり、また新しい旅立ちが始まる。さらばメーテル。さらば銀河鉄道999。さらば、少年の日々・・・」


久しぶりに観たら、あまりにもエンディング前のエピローグが長いんでびっくりした。そうか〜、最後の別れのシーンってこんなに長かったんだ。けど、何度観てもこの場面は泣けるよなあ。「メーテル!」と鉄郎が叫びながら列車を追いかけ、やがて飛び去っていく999号。

そして最後のナレーションが被さると、絶妙のタイミングでゴダイゴの主題歌がかかる!ここで当時、日本中の小中学生が号泣した、という話は決して大げさではないと思う。まさに珠玉の名場面!

単に優れたアニメ作品というよりも、“優れた映画”として成立している事が何よりも素晴らしい。力強く生きる・命の尊さ・友情・愛などがギッシリつまっており、2時間の上映時間の中で鉄郎の成長ぶりが見事に描き切られているのだ。ハーロックやエメラルダスなど松本零士キャラが大挙して登場するあたりもサービス精神満点。

また、映画関係者が見ても驚くほど良く出来ているらしく、オープニングで999号のライトがフレア加工で反射するシーンがあるのだが、撮影のプロが見てもどうやって撮影したのか分からないそうだ。

とにかく、機械vs人間というSFにおいて永遠のテーマともいうべき内容を感動的に描いた不朽の名作であると断言できる。「音楽」と「ドラマ」と「作画」が極めて高いレベルで融合しており、どこをとってもスキが無い。まさに、孫の代まで語り継ぎたい一本だ(笑)。