■あらすじ『ワーカホリックの夫婦、スーザンとダニエルは、久々のバカンスでカリブ海にやってきた。旅先でも仕事を忘れられない二人は些細なことで口論し、ベッドでも気が乗らぬまま。翌朝、二人はスキューバ・ダイビングをするため、ツアーボートに乗り込む。ガイドの合図で次々と海に潜ってゆくツアー客たち。スーザンもようやく解放されたひとときを満喫するのだった。だがその直後、予想だにしない悲劇が二人を襲う。ガイドの手違いから、ボートが二人を残したまま帰ってしまったのだ。海のド真ん中で孤立無援となった二人に、果たして生き残る術はあるのか!?常に若い才能を生み出し、世界中から注目を集めるインデペンデント映画祭の最高峰:サンダンス映画祭において、「オープン・ウォーター」の上映会場は立ち見が出るほど埋め尽くされ、観客はその驚異の映像に息を呑んだ。CGやスタントは一切無し!主演俳優たちはウェットスーツに身を包み、本物のサメがうごめく海の中で芝居をしたのだ。それは、いまだかつて誰も踏み込めなかった“本物の恐怖”が支配する領域だった!』
まず、映画が始まると何だかやけに画質が悪い事に気付いた。映画全体から“とても貧乏臭い”雰囲気が漂っているのがはっきりと分かる。それもそのはず、主演俳優はダニエルとスーザンの二人だけで、スタッフも監督と奥さんの二人だけという、ほとんど自主制作映画に近いような超低予算ムービーだったのだ。
当然、CGや特撮に掛けるお金などあるはずもなく、俳優たちはサメだらけの海に自ら飛び込んで撮影に挑んだのである。まさに命懸けの映画制作!
だがそのおかげで、この映画は全編にわたって凄まじいばかりの緊張感とリアリティを生み出す事に成功している。しかも本作は、実際に起こった事件を元にした“擬似ドキュメンタリー映画”なのだ。
すなわち、本物のサメを使って本当に起こった事件を再現しているというワケで、リアルという意味ではこれほど“リアル”な映画もなかなか無いだろう。
ただし、映画として面白いかどうかは別問題。本作は“海の真ん中に取り残されたダイバー”というワンシチュエーションのみで作られた映画である。観る前は「周りに何も無い海の真ん中で、どうやって話をもたせるつもりだろう?」と疑問だったのだが、結果は“海の真ん中で延々と繰り広げられる夫婦喧嘩”を観せられただけだった。
厳密に言えばずっと喧嘩をしているワケではないのだが、何しろ画面には海と二人の役者しか映っていないのである(時々、サメとクラゲが絡んでくるだけ)。いくら上映時間がたったの79分とはいえ、ここまでストーリーが無いとは思わなかった。映画としてのドラマもへったくれもありゃしない。これって、面白いのかなあ?
“海の恐怖”だけは確実に伝わってくるものの、海洋パニック映画の最高傑作『ジョーズ』には遥かに及ばない出来に少々がっかり。最大の見所はスーザンの脱ぎっぷりの良さだろう(ベッドから出る時になんか見えちゃってるけど、いいのかアレ?)。
ちなみに、実際に起こった事件は1998年1月27日オーストラリアのグレート・バリア・リーフで、アメリカ人夫婦がダイビングの途中で忽然と姿を消したという事件を元ネタにしている。当時、一週間にわたって大捜索が行われたが、結局夫婦を発見する事は出来ず、現在も行方不明のままだそうだ。
だが、この話には色々と不思議な噂があって、後日別の場所で二人を目撃したという人が現れたのである。実は過去にも、保険金目的で海上での事故死を偽装した事件が起こっているのだ。
この為、当初はサメに食われたと思われていた二人が、「実は生きているのではないか」という説が浮上してきたらしい。う〜ん、まさに事実は小説よりも奇なり(真相はまだ分からないが)。こっちの方をサスペンス・ミステリーとして映画化した方が面白かったんじゃないかなあ。
※なお、この映画がヒットしたせいで似たような内容の作品が山ほど作られたらしい↓
というわけで、『オープン・ウォーター2』以外は続編っぽく見せかけた無関係の映画なので気を付けましょう(^_^)